ひざまずけ、礼
第2章92話 夢の中に蔓延るもの
夢の中で、紅き街内を練り歩く僕ら。やはりというかなんというか、見たところ普通の紅き街となんら変わらない風景だった。
街自体もどこかで見たことあるような場所で、ここが夢の中であることを忘れそうなほどには、紅き街そのものだった。
ただ、少なからず普通の紅き街とは違う点もある。
佐和「うーん、こっちで合ってるのかしら・・・」
比影「さぁ・・・?いつもと違って、どっちが中央なのかわかんないし・・・」
そう、境界線を踏んで紅き街に入ったわけではない上、ここがどこなのか分かっていない状況のため、この場所からどっちへ行けば、紅き街の中心なのかが分からないのだ。
なんとなくだが、化け物は中心に鎮座していることが多い傾向にある。まぁ、化け物を中心として紅き街を展開するのだから、動いてなければ中心にいるのは当たり前だ。だからこそ、中心へ向かいたいのだが・・・。
箕浦「いつもこうなんだよな・・・だから、だいたい30分くらいさまよった後に、化け物に見つかって、逃げても追いつかれて・・・んで、起きるってのがいつものパターンだ。」
比影「なかなか苦労してるんだね・・・こんなところに長居したら、気が狂いそうにならない?」
箕浦「最初こそずっとテンパってたけど・・・何回も来てたら、流石にな。」
佐和「慣れって凄いわね、ほんと・・・」
佐和さんの発言に、頷く僕と箕浦くん。実際慣れとは凄まじいもので、最初はめちゃくちゃ緊張してても、数回同じことを経験したら、あんまり緊張しなくなる。マジやばですね。
そして、紅き街をさまようこと10数分後、やっとこさ化け物の姿が見えた。今回の敵は・・・
比影「あれは・・・いやなんだありゃ。豚みたいな子供の象みたいな・・・」
箕浦「あ、あいつは・・・!」
比影「箕浦くん、知ってるの?」
箕浦「・・・俺が最初に夢でここにきた時に、出てきた化け物だ。」
比影「へぇ、あれが最初だったんだね。佐和さん、あれなんだか分かる?」
佐和「うーん・・・あ、あれじゃない?バクってやつ。」
箕浦「バグ?ゲームとかのか?」
佐和「“バグ”じゃなくて“バク”よ。」
比影「バグ?」
頭に?をうかべる僕と箕浦くん。
佐和「そそ。ただし、ただのバクじゃなくて、夢を喰らうって言われてる伝説上の生き物のほうね。」
箕浦「へー・・・伝説って?」
佐和「あぁ!・・・って、危ない危ない、ネタに走るところだったわ。要は、取り憑いたものの夢を食べる化け物って思っとけばいいわ。」
比影「いや、もう遅い気が・・・」
箕浦「なるほどな・・・つまり、そんな化け物に取り憑かれたのが俺で、そのせいでこんな夢を見てるってことか?」
佐和「多分ね、それしか考えにくいわ。」
比影「ああ無視ですか、そうですか・・・」
僕は心の中で泣いた。
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