ひざまずけ、礼
第2章85話 来た理由と忠告と
比影「おい神様よ、なんでここにいる?」
アス「イザレア様、どうしてここへ?」
ふたりして同じような疑問をぶつける。イザレアはこちらを向き、ため息をついて言った。
レア「なんや、私がここにいたらあかんのか?別におかしなことでもないやろ。」
比影「いや充分おかしいからな!?仮にも神様が、人の母親と世間話してんじゃねぇよ!てかそもそも、なんで母さんと一緒にいんだよ!?」
レア「なんでって・・・ほら、人間挨拶は大事やろ?今までお会いしたことなかったし、部活の顧問ってことにして挨拶したろと思ったら、いつの間にか家に入れられててな?・・・私が言うのもなんやけど、君のお母さん大丈夫?ほいほい人を家にあげてない?」
比影「お前がいらん心配すんな。母さんめ・・・お人好しすぎるんだよなぁ。いいことだけど、やっぱ危険だよな。」
アス「行動力もありますし、すごく丁寧ですし・・・将来はあんな女性になりたいものです、はい。」
レア「せやなぁ、私も思うとったわ。」
比影「そんなもんかなぁ・・・」
長らくこの家にいるため、こういうのが当たり前だと感じる部分も多々あるが、どうやら異常らしい。
レア「ま、比影のお母さんとも話せたし、ひとまずはOKかな。」
何がOKなのかはよく分からないが、とりあえず帰ってもらえるらしい。朝から騒がしいことにならずに済みそうだ。
・・・そう、思っていたのだが。
レア「いやー、お義母さんの料理美味しいですね!煮物は味が染みてるし、唐揚げはカリカリだし!」
母親「ふふ、ありがとうございます。唐揚げはこのこの好物なんですよ、ね?比影。」
比影「・・・ノーコメント」
レア「ふふ、確かに幸せそうな顔してましたね。」
比影「・・・ははっ」ギリギリ
アス「あ、あはは・・・」
何故かこいつは昼時まで居候した挙げ句、さも当然かのように食卓へ参加してきた。胃が痛てぇ。
というか母さんも、なんでチャッカリ昼飯まで用意をしてんのよ。用意しなくていいよ、帰らせずらいからな。
しばらくストレスのたまる時間が続き、2時過ぎ頃。
レア「んじゃあ、私は戻るで。ありがとうって言っといてや。」
比影「おう、もう二度と来んな。」
レア「うへぇ、相変わらず厳しめですな。絶対くるからね!」
アス「イザレア様ェ・・・」
長らく居座っていたイザレアが天界に戻ろうとしていた。見送る必要もないし、勝手に帰ってもらっていいのだけど、駄々をこねはじめたため、仕方なくこうしている。
レア「んじゃ、2人で仲良くな~」
そう言い残して、イザレアは消え
レア「あぁそうや、1つ言い忘れてたことが。」
たと思った矢先、そう言ってまた出てきた。
比影「もう、なんなんだよ!?」
レア「悪いね、すぐ終わるから。」
イザレアはそういって、ナーテアさんの方を見る。イザレアは、何故か難しそうな顔をしていた。その意味は、すぐに判明することになる。
レア「紅き街については、これ以上深堀しない方が身のためやで・・・長生きしたいんならな。私が話したことだけ知ってりゃえぇやろ?」
比影「っ!?え、いや・・・」
レア「・・・じゃーにー♪」フリフリ
笑顔で手を振って、再度光の中に消えたイザレア。だがその目は、明らかに笑っていなかった。それどころか、光がなかったように感じた。
あいつはいったい、何を隠している?
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