ひざまずけ、礼
第2章84話 いるはずのない者
目覚ましの音で目を覚ます。今日は寝付きがあまり良くなく、あまり眠れなかった。
もちろん、昨日のナーテアさんが言っていたこともある。だが、あの神は隠し事だらけだから、今更な気はしている。
一番の原因は、自分なりに紅き街について調べようと少し前からノートを付けるようにしており、それが熱中してしまったからだ。
あくびをしながら、1階へ降りる。今日は休みだし、もう少し寝ておくべきだろうかとも思ったが、目が覚めてしまったため仕方ない。
リビングへ行く途中で、ナーテアさんと会う。昨日のことを気にしているのか、ソワソワした様子だった。
声をかけようとしたところ、ナーテアさんに手を掴まれた。
アス「比影さん、大変なんです!ちょっと来てください!」
比影「え、ちょっと!?」
僕はナーテアさんに引かれるまま、リビングへと連れていかれた。全然昨日の事じゃなかったわ。
リビングへ行くと、2人の女性が何やら話をしていた。片方はうちの母親。・・・で、もう1人は・・・ナーテアさんの反応で察した人がいるかもだが。
母親「あらまぁ、そうなんですかぁ?全然知りませんでした。」
レア「えぇ、最近の子らは凄いですよねぇ。」
イザレアだった。・・・夢であってくれよ。
母親「それで・・・ってあら?比影起きたのね。」
親が僕に気づく。逃げ出そうとしたが、その前にイザレアに声をかけられた。
レア「こんにちは、比影くん、ナーテアさん。」
比影「・・・ども」
アス「・・・こんにちは」
母親「こら比影、ちゃんと挨拶しなさい。すみませんうちの子が・・・」
レア「いえいえ、構いませんよ。」ニコニコ
笑顔のイザレアに、僕は凍りついた。いつものエセ関西弁はなりを潜め、あたかもただの一般人のように接している。何もかもが不気味だった。
そもそも、こいつは何故ここにいる!?干渉しないのが神じゃねぇのかよ!?
とにかく、母親から引き剥がさないと。母親が一緒じゃ、まともに話も出来ないからな。そう思って口を開いた瞬間、母親から衝撃の言葉が発せられた。
母親「こんなやつですけど、よろしくお願いします。部活の顧問として、ビシバシ叩いてやってくださいな。」
レア「はは、分かりました。」
発言のために開けた口は、そのまま閉じなかった。開いた口が塞がらないというのがピッタリな光景だった。
こいつ、母親に嘘で騙して近づきやがった。何考えてんだ!?と思いつつ、早急に引き剥がそうと手を打った。
比影「母さん、俺ら先生に相談があるから、3人だけにしてくれないかな。」
母親「えぇ?でも・・・」
アス「お願いします、お義母さん。」
母親「うーん・・・わかったわ。先生すみません、少し席を外します。2人とも、失礼のないようにね。」
2人「はーい」
母親「はいは短く!全くもう・・・これだからこの子は・・・」ブツブツ
母さんは、小言を言いながらリビングを出ていった。・・・さて、こいつをどうしてやろうか。
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