ひざまずけ、礼
第2章80話 力の真意
佐和「・・・は?何言って・・・」
レア「せやからそれは、ただの手袋。神具ちゃうって話。」
意味が理解できなかった。さっきとはまた別の意味で訳が分からなかった。
比影「ど、どういうことだよ?だってお前言ってたろ、これは優れもんだって。これで指さすだけで敵を倒せるって・・・」
レア「え?そうやっけ?・・・あー、なんかそんな記憶もあるな。だとしたら多分、冗談のつもりで言ったんやろなぁ。」
佐和「そ、そんな!?だって、実際に紅き街を・・・!」
レア「ん?まぁ、佐和ならできるやろなぁ。」
イザレアは気の抜けた回答をする。だが、その一言のおかげで、ずっと聞きたかったことを思い出した。
比影「なぁ・・・その手袋、なんで佐和さんだけにしか扱えないんだ?ただの手袋なら、それこそ僕とかに使えない理由が分からないんだが・・・」
初めてこいつと会った時、手袋を渡された際に佐和さんしか使えないと説明を受けていた。ただの手袋であるならば、その説明の筋が通らなくなる。
レア「あぁ、それはな」
イザレアはこれまた淡々と告げた。
レア「佐和が、陰陽師の末裔やからだ。」
比影「・・・え!?」
佐和「へっ!?」
それは、あまりにも大きすぎる爆弾発言だった。
佐和「お、陰陽師?陰陽師って、あの陰陽師?」
レア「多分その陰陽師やで。佐和はその末裔で、少なからずその力を身につけていたからな。その手袋は、その力の発動を外気から邪魔されないためのものなんや。」
比影「外気から邪魔されないためのもの・・・?」
レア「ほら、紅き街は大まかに言えば死後の世界って言ったやろ?それだけでも結構なのに、強い怨念を持った奴が近くにいるからな。その辺の空気は、まるで他を寄せつけないように聖なるものを邪魔してくるんや。」
比影「・・・ふむ」
レア「せやから、手袋をすることで手を外気から守り、『ひざまずけ、礼』の発動を確固たるものにしとるんやで。」
佐和「そ、そんな効果が・・・」
比影「・・・待ってくれ」
ここで、ある疑問が浮かんだ。彼女が特別な力を持った人間であるというのなら・・・
比影「だとしたらあの時、ゾンビによって佐和さんが命を落としたのは、偶然なのか?」
レア「・・・」
イザレアは黙りこくった。この態度、やはり・・・。少なくとも、佐和さんの件はおそらく、偶然では無いことは確定したも同然だ。・・・そして、僕は。
比影「それと・・・俺については、正直誰でもよかったんじゃないか?たまたまいたのが僕だっただけで。」
レア「・・・」
イザレアはしばらく黙っていたが、ゆっくりと口を開いた。
レア「詳しいことはあたしにも分からん。もしかしたら、比影が巻き込まれたのはたまたまかもしれない。・・・ただ、あたしはこれもきっと運命なんだと思ってる。だから、その・・・」
比影「・・・そっか。心配しなくても、紅き街の対処は続けるさ。僕の命もかかってるし、佐和さんもいるし。」
レア「・・・ありがとう。そういうところが・・・」
比影「・・・?なんかいったか?」
レア「ふふ、何も?」
今回は、衝撃の事実の連続であった。佐和さんのこととか、紅き街のこととか・・・。
いろいろ思うことがあるにはあるけど、僕らは平和のために紅き街に抗い続ける。それが、僕らの使命なのだから。
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