ひざまずけ、礼

ko-suke

第2章54話 逃げ果せた後は




佐賀美「た、たす、かった・・・んだよな!?生きてるよな俺!?やったー!!」

箕浦「さっきまで真っ赤だったのに、元に戻ってる・・・これはいったい・・・」

比影「2人・・・いや3人とも大丈夫!?怪我とかない!?」

危うく世脇さんを忘れるところだった。地面に寝そべって気絶している世脇さんも、佐賀美くんも、箕浦くんも、とりあえずは無事そうだ。

佐和「なんなのかしらね、あいつ。なんか人とドロが混ざったようなやつだったけど・・・」

比影「そうだね、うーん・・・さしずめヘドロ人間ってとこかな。人間なのは形だけで、ただの化け物だったけどね。」

佐和「そうね・・・また3人で作戦会議しましょっか。」

アス「みなさーん!大丈夫ですかー!」

少し離れた所から、ナーテアさんも駆けつけてきた。そこでちょうど、世脇さんが目を覚ました。

世脇「・・・う、ぐ・・・」

佐賀美「世脇!!大丈夫か!?」ユサユサ

箕浦「佐賀美、そんな揺らしてやるな・・・気持ちはわかるが、冷静にな。」

世脇「ぐう・・・ん、ん?ここは・・・」

完全に目を覚ましたようだ。箕浦くんに抱えられながら、起き上がった。僕は気になっていたことを聞いた。

比影「あのさ、どうして3人はあk・・・あんなところに居たの?」

佐賀美「俺と箕浦は成り行きだ、世脇に電話もらってな。なんか焦ってる様子だったから急いで行ってみたら、このザマよ。」

箕浦「俺らが着いた頃には、もう世脇は気絶しててな。なんとか化け物から世脇を遠ざけて、お前らと合流して・・・って感じだ。まぁ、助かってよかったじゃないか。」

比影「そっか、そうなると・・・」

世脇さんに目線が集中する。当の本人は困惑していた。

比影「すみません、大丈夫ですか?話せますか?」

世脇「・・・あ、あぁ」

比影「よかった。辛いかもですが、休憩しながらでいいので教えてください。・・・あの時、あの場所で何があったのですか?」

世脇「・・・それは・・・」

世脇さんは目線をそらす。言いたくないというより、信じたくないといった顔をしていた。きっととんでもない光景を目にしたのだろう。だが、本人のためにもきちんと聞いておかなくては。

だが、それから1分ほどたっても、返事は来なかった。慎重に、ゆっくりと待つ。この情報が鍵となる可能性もあるし。

箕浦「・・・そういえば」

ふと、箕浦くんがあることを思い出した。

箕浦「お前、文化祭の時一緒にいた、あいつはどうした?帰りは一緒じゃなかったのか?」

比影「文化祭・・・あ、そうだ。確かに誰かいたね。」

箕浦くんが聞くと、世脇さんの表情がどんどんと曇っていくのがわかった。

世脇「・・・あいつは・・・」

震え声で、彼は言った。

世脇「あいつは・・・俺の目の前で・・・目の、前で・・・」

彼は、絶望に満ちた顔になっていた。


コメント

コメントを書く

「学園」の人気作品

書籍化作品