ひざまずけ、礼

ko-suke

第2章53話 悪夢の先を見るために




佐賀美「なんなんだよ、なんなんだよあれはよぉ!!いったいなんでこんな事になってんだよぉ!!」

佐和「つべこべ言わない!とにかく走りなさい!」

比影「ひとまずはギリギリまで端に行こう、今はそれしかない!」

箕浦「さっきまで躊躇してたくせに、一体なんなんだ・・・!?」

僕達は一目散に走り出し、紅き街の端、僕たちが入ってきた所まで戻ることにした。追いつかれるのは時間の問題だが、このまま棒立ちという訳にも行かないし、仕方ない。

走り出して数十秒、紅き街の橋までたどり着いた。

佐賀美「ちょ、なんで止まるんだよ!あいつまだ追ってきてるぞ!!」

箕浦「止まってる時間はないだろ!?早く先に・・・!」

佐和「行けないの、これ以上先には。」

比影「この場所から1mもない先に、壁があるんだ。これ以上は・・・」

佐賀美「はぁ!?んなわけあるか!ここ路地だぞ、そんなとこに壁ねぇよ!ちょっとどけ!」

佐賀美くんは僕と佐和さんの静止も聞かず、紅き街の壁へと走り出し・・・思いっきり顔を打った。

佐賀美「い、いちちち・・・」ハナオサエ

比影「だから言ったのに・・・人の話はちゃんと聞こうね?」

佐賀美「おう・・・すまん・・・」

佐和「いい気味ね」

佐賀美「な、なんだとぉ!」

箕浦「言い争ってる場合か!化け物が追いついてきたぞ・・・!」

こちらへ歩いてくる・・・いや、這いずってくる化け物。ゆっくりと、逃げ道を塞ぐように。

比影「佐和さん、ここは・・・」

佐和「うーん・・・仕方ないわね。2人とも、私と比影くんから離れてなさい。」

佐賀美「は?何するつもり・・・ま、まさかあの化け物とやり合おうってのか!?」

箕浦「無茶だ、死ぬぞ!?」

比影「死ぬつもりは無いよ、少なくとも今のところはね。別に倒そうってんじゃないさ。」

佐和「そそ、情報収集ってとこね。今の状態じゃ、明らかに装備不足だもの。」

佐賀美「な、何言って・・・」

比影「佐和さん、行くよ!」ダッ

佐和「えぇ!」ダッ

パチンコを構え、化け物に近づく。化け物は動きを止め、ヘドロのようなものを飛ばしてきた。

すんでのところで躱し、奴が飛ばしてきたものは地面へと着弾した。催涙弾を手に持つが、ふとあることを思い出し、佐和さんに声をかける。

比影「佐和さん、ここは新作のやつにしよう!あと奴の打ってくる玉は強力な酸らしい!絶対避けてね!」

先程避けた玉の着弾地点には、あるはずの地面のコンクリートがぽっかりとその周辺だけ、跡形もなく無くなっていた。

佐和「え、うわマジじゃんすご・・・おっけー新作のやつね!」

佐和さんと僕は、それぞれポケットから弾を取り出す。こいつは昨日できた新作の弾。効果は目くらましと、放熱により液状化した敵の蒸発。所謂閃光弾・・・もとい「太陽弾」だ。

ただの目くらましではなく、目の前に小さな太陽を生成することにより、対象を蒸発させるとのこと。場合によっては目自体を蒸発させるという、ちょっとグロテスクな弾ではある。というかオーバーテクノロジーすぎるよ。

比影「こんにゃろい!」

佐和「せいっ!」

2人してその弾を放ち、やつの目の前で両方とも炸裂した。小さな太陽が、やつの視力を消しにかかる。

やつは悶え・・・地面へと消えていった。どうやら撤退したようだ。

数秒後、紅き街がゆっくりと晴れ、元の世界へと戻ったのだった。


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