ひざまずけ、礼

ko-suke

第2章50話 予知できた悪夢




ウェイターとしてシフトに入り、1時間が経過した頃。それまでは、僕が料理を持っていくと、明らか苦笑いをされていたのだが、何グループかの物好きはパシャパシャと写真を撮っていた。

それが、写真の影響なのかは分からないが・・・

比影「お、お待たせしました。ご注文のホットコーヒーとチョコケーキです・・・」

名無1「うひょ、マジじゃん!」

名無2「直の方が可愛いぞ!噂は本当だったんだな!」

名無3「メイドさんハート!ハート作って!」

比影「こ・・・こう、ですか?」

名無s「おおぉぉぉ!」

比影「あ、あはは・・・」

ほとんどがこの状態である。どうしてこうなった。SNSの拡散力は想像以上だった。

注文の品を運んでいるところ、運ぶ準備をしているところ、さっきみたいなサービスをしているところ・・・そういった部分を写真なり動画なりで収め、SNSで拡散されたようだ。 

というか、その中にシフト表の写真があったんだけど。内部にスパイいるだろこれ。っべー、マジやっべー。

佐賀美「・・・こりゃすげぇな、客の入りも性格も。」

箕浦「性癖の間違いじゃねぇのか?」

佐和「やめなさい、客に聞こえるよ。」

どこからか、3人の声が漏れていた。コアな層であることは間違いないが、それでも男のメイドにはある一定の需要があるようだ。全くもって理解しかねるがね。

比影「お待たせしました、カップケーキです」

名無4「待ってました!・・・あれ、メイドさん?何か足りないんじゃないですか?」

比影「え?いえ、カップケーキのご注文のみだったかと・・・なにか途中で追加されました?」

名無5「違う違う!メイドさんなら、やらなきゃダメなことあるでしょ?」

比影「や、やらなきゃダメなこと?」

名無4&5「美味しくなーれ、萌え萌えきゅんだよ!!」

比影「そ、それは・・・さすがに・・・ちょっと・・・」

名無4「やってくんないの?俺たちご主人様なのに?」

名無5「いいんだぞ?SNSであることないこと書いてやっても。」

比影「う、うぐぐ・・・お、美味しくなーれぇ、萌え萌え・・・きゅん」

名無4&5「よぉし!」

思わず声が裏がえるほどの恥ずかしさ。1番やりたくないことをやらされた。

佐和「あいつら・・・お礼しながら蹴飛ばしてやろうかしら」

佐賀美「やめろ、大事な客だ」

箕浦「ありゃ地獄だな・・・比影、どんまい。」

またどこからか、そんな声が聞こえてきた。そう思うなら変わっていただけませんかねぇ!?死にかけなんですがこっちは!!

・・・まぁ、そんな感じに、対応する度魂が抜けかけながら、接客をするのだった。マジで許さんからな、佐賀美くん。


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