ひざまずけ、礼

ko-suke

(戻)第2章47話 歩く広告塔

47話の投稿を忘れて、48話を投稿してました。遅れながら、47話を投稿します。申し訳ございません。本編へどうぞ。



僕はお昼すぎ位から、ウェイターとして入ることになった。本当はすぐさま着替えたかったから、朝イチが良かったのだが、そうは問屋が卸さなかった。

しかも、それまでこの服装で過ごせというのだから、まさに鬼畜である。

最初の30分くらいは、誰にもみられないようなところに隠れ、時間を潰していた。だがそうするうちに、自分自身に怒りが湧いてきた。

何やっとるんだ僕は。せっかくの文化祭だってのに、こんなところで時間つぶしなんて。勿体なさすぎるわ!そう思ってきたのだ。

服装なんて関係ない、出店で買い物してやるわ!・・・と息巻いてから、実際に行動したのは、怒りを覚えてから更に30分後だった。しかも、だいぶ及び腰。自分でもわかるくらいには、オドオドしていた。

出店となれば、当然人が多いところに鎮座している。そんなところに、不安そうな顔をした女装男子高校生がいれば、どうなるかは一目瞭然。格好の的だった。写真も撮られた。

どうにか、自分のクラスの出店への顔出しと、他クラスの買い物2件を済ませることが出来た・・・まぁ、それぞれの反応は言うまでもないだろう。

買ったものを持って、何処か座れる場所を探している間も、僕は図らずも注目を集めていた。

「何あれ?」「男?女?」「どこのクラスだ?」「キモ・・・」「いや、あれはあれで・・・」
僕が聞き取れた範囲だけでも、こんな感じである。うーん、残当。(残念ながら当然の結果)

なんとか座れる場所を見つけ、味見用で貰ったたこ焼きをおもむろに頬張る。・・・なぜだか、少し苦く感じた。焦げでもあったのだろうか。

その後、何故か佐賀美くんから呼ばれた僕は、再び空き教室へ。そこで何故か、名札のようなものを差し出された。

比影「何これ?」

佐賀美「どうせなら、歩く広告塔になってもらおうと思ってな。先に名札を渡しておこうと思って。あと、これお前の名刺。声掛けてきた奴がいたら、渡してやれ。」

渡されたものを見ると、クラス名やカフェの名前、僕の名前書かれていた。ちゃっかりこんなものまで用意しているあたり、おそらくこの衣装間違いはわざとなのだろうと確信した。

僕は名札と名刺を持って、また外へ駆り出していく。1種のロボットのようなものに化していた。歩く広告塔ロボットの誕生である。

・・・そして、数分後。

ナンパ「やぁメイドのお嬢ちゃん、お兄さん達と一緒に遊ばないかい?」

オタク「その格好でこんなとこ歩いてちゃ、変な人に捕まっちゃうよ?危ないから、お兄さん達と一緒に居よう?」

比影「いや、あの・・・」

歩く広告塔ロボットは、ナンパとオタクのコンビに挟まれ、更にカオスな状態となっていた。


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