ひざまずけ、礼

ko-suke

第2章40話 真実と少女の願い




アス「さっきの、夢の話ですが。」

比影「うん。」

アス「比影さんと佐和さんが結婚する夢を見ました。」

比影「・・・えっ」

ナーテアさんは淡々とそう言った。

アス「とても、幸せそうでした。比影さんは白いタキシードをピシッと着こなして、かっこよくて。佐和さんはウェディングドレスを着て、本当に綺麗で・・・私は、ただの傍観者でした。」

比影「ナーテアさん・・・」

ナーテアさんの頬をつたい、1粒の雫が布団へと落ちる。

アス「そんな幸せな2人を見るのが辛くて・・・だけど逃げ出すことも出来なくて・・・。ブーケが空を舞ったところで、目が覚めました。」

比影「・・・」

アス「汗びっしょりで、顔もぐしょぐしょで・・・気づいたら私は、手をし・・・た・・・」

ナーテアさんはそこまで言って、止まった。

比影「・・・?ナーテアさん?」

アス「・・・はひゅっ!?わ、私何言って、あうぅ!」ボンッ ガバッ

いきなり顔を真っ赤にそめ、布団に顔を埋めた。

比影「え!?ナーテアさん大丈夫!?」

アス「あううぅ・・・だいじょばないです、はい・・・少しこのままにさせてください・・・」

比影「う、うん、いいけど・・・」

ナーテアさんは1分くらいそのまま、顔を布団に埋めていた。

アス「え、えーっと・・・失礼しました。」

比影「だ、大丈夫?体調でも悪いの?」

アス「いえ・・・ちょっと感情が昂りすぎました、はい。」

あれでちょっと・・・?とも思ったが、黙っていることにした。

アス「それはさておき、です。そんな夢を見てしまったので、無性に比影さんの顔を見たくなって・・・」

比影「布団に潜り込んだ、ってこと?」

アス「ザッツライトです、はい。寝込み襲うとかそんなことは考えてないですよ、ナイナイ。」

比影「・・・?そ、そっか。」

一瞬目の光が消えたように見えたが、きっと気のせいだろう。そう思うことにした。

アス「あ、そうだ。せっかくなのでお願いが。」

比影「ん、なに?」

アス「そ、その・・・2人きりの時だけ、比影さんのこと『比影くん』って呼んでもいいですか?」

比影「全然いいよ、2人きりの時だけじゃなくて、いつもくん呼びでもいいし。」

アス「いえ、2人きりの時だけがいいです。」

比影「そ、そう?まぁいいけど・・・」

アス「やった、"2人だけの"約束ができました。2人だけの・・・ふふ。」

やけに「2人だけの」を強調して、ナーテアさんは笑顔で言った。ふと、あることを思いつく。

比影「あ、じゃあ僕からも1つ提案いいかな。」

アス「あ、はい。何でしょうか。」

比影「そのかしこまった言葉遣い、2人きりの時だけ禁止ってのはどう?」

アス「・・・え、えぇっ!?」

ナーテアさんは何故か、すごく驚いていた。

アス「こ、言葉遣い・・・ですか。」

比影「そそ、僕だけこんなフランクに喋ってるのも変だし。本当は僕の方が敬語を使わなきゃいけない立場なのにさ。」

アス「で、でもですね・・・」

比影「紅き街攻略にはなんも関係ないし、ね?」

アス「・・・わ、わかりまし・・・わかった、善処し・・・するね。」

比影「ん、合格。」

ナーテアさんはさっきと同じくらい顔を赤く染めるのであった。


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