ひざまずけ、礼

ko-suke

第2章38話 現実はビターチョコの味




レア「まずナーテア。自分の立場をちゃんと理解してるか?神様なんやで?普通に考えて、下界の人間と恋愛なんてしていいわけがないやろ。」

アス「立場は理解してますし、そんなの重々承知です、はい。その上で、私は・・・」

レア「分かってるなら尚更や。許されざる行為を上司がみすみす見逃すとでも思うんか?」

アス「み、見逃していただけないのですか?」

レア「当たり前やろ、そんなもん。なんで違反行為に肩貸さなあかんねん。まだ神を辞めとうないわ。」

アス「うぅっ・・・ごもっともで・・・」

レア「・・・まぁ、あたしも女やさかい、自分の気持ちがわからんでもないよ。特に比影くんは、あたしからしても魅力的だからねぇ。・・・比影くんや、あたしはどう?」

比影「・・・」

レア「あれ、無視?・・・ま、まぁえぇわ。とにかく、気持ちはわかるけれども、容認はできんわ。」

アス「そんなぁ・・・」

がっくりと項垂れるナーテアさん。神と人との恋愛は、中々に厳しいらしい。まぁ、神々のお偉いさん方って、なんとなく頭が固い人が多そうだしねぇ・・・。

レア「・・・比影くん、ほんまその通りやで。あの頑固じ・・・なんでもない。」

・・・どうやらイザレアも相当苦労しているようだ。

佐和「わ、私は別にいいでしょ!?人間だし!」

佐和さんは前のめりになって、イザレアにそう聞いた。下手すると掴みかかりそうだ。

レア「あんな佐和、冷静になって考えてみい。自分がナーテアの立場だったらどうかを。」

佐和「ナーテアさんの立場だったら・・・?」

レア「好きな人が近くにいるのに、神様だから恋愛できない。そんな状態で、好きな人が身近な人に取られて、目の前でイチャイチャされるんよ?耐えられるか?」

佐和「・・・無理、です。」

レア「やろ?ナーテアばっかり我慢させるのも忍びないし、耐えてくれや。」

佐和「で、でも・・・」

レア「それに、や。今はみんなチームで、紅き街の撲滅に向けて一丸となって頑張ってる。それなのに、個人的な感情で、そのチームがバラバラになるんやぞ?このままじゃ、化け物共に勝てんわな。ナーテアだって目の前でイチャられたら、非協力的になるかもしれんし。」

アス「・・・それは・・・」

佐和「っ・・・」

レア「別に今である必要は無いやろ?恋愛なら、紅き街を撲滅した後でもできる。せやろ?」

アス「・・・そう、ですね。」

佐和「はい・・・」

レア「辛いかもやけど、これからのためにも頑張ってや。それと、佐和は比影に変な虫がつくのを恐れてるみたいやけど、大丈夫や。もしそんなのが居たら、あたしが黙ってないで!」

佐和「イザレア神様・・・!」

レア「比影も、変なのにホイホイ付いてったらアカンで?」

比影「分かってるよ。佐和さんとナーテアさんを悲しませるようなことはしないさ。」

レア「よぉ言った!それでこそやで比影!」

イザレアは僕の背中をバシバシと叩いて笑った。めっちゃ痛いが、ここは我慢する。

レア「色々と不満も溜まると思うけど、そんな時はまた喧嘩しぃや。溜め続けると爆発した時が怖いからね。本音を言い合うのも仲間やからな!そしてそのあと仲直りや!」

アス「・・・ふふ、そうですね。佐和さん、色々とごめんなさい。」ペコリ

佐和「うぅん、私の方こそごめんね?」ペコリ

比影「2人とも、僕もごめん。あんまり無茶はしないようにするから。」

佐和「あんまり、じゃなくて2度としないで!心臓に悪いんだから、もう!」

アス「全くですよ、はい。」

比影「あはは・・・ぜ、善処します。」

レア「ふふ、青春やなぁ・・・」

こうして僕達は、ひとつの山を超えることが出来たのだった。たまには役に立つんだね、イザレアも。

レア「そこ、たまには余計やで。」

比影「まとめに入ってこないでくれないかな」

・・・そして同時に、佐和さんとのお付き合いも幕を閉じたのだった。今まで通りになるだけだし、なにも変わらないけどね。


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