ひざまずけ、礼
第2章37話 意外な来訪者
10秒、30秒、1分、2分・・・ドンドンと時間だけが過ぎていく。状況は、未だ変わらず。じっと僕のことを見つめてくる2人。
この場で決めろって事なんだろうけど・・・いやいや厳しいって。やめていただきたいですね。
僕自身、佐和さんとナーテアさんのどっちがより好きかと問われると、佐和さんのほうに軍配があがると思う。真っ直ぐで、優しくて、可愛くて。とても頼りになる相棒だ。
だけどこの場で佐和さんと即答できるほど、僕は無責任でも無知でもないつもりだ。どちらがより僕のことを好いてくれているか、という話になると・・・多分、ナーテアさんになるんじゃないかと思っている。
彼女は僕に一目惚れしたから現世に来た、とまで言い放った。それに、神様という立場を恐れず、気持ちを前面に押し出してくれている。決して佐和さんが弱い訳では無いけど、ナーテアさんのそれは規模が違う。
だからこそ、言えないのだ。佐和さんとも、ナーテアさんとも。選べない、選びたくない。どちらかを選んでしまうと、どちらかが遠のきそうで、怖い。崩れるくらいなら、今の関係がいい。
・・・このことも、ナーテアさんには筒抜けなのだろう。けれど、それをわかった上で待ってくれているのも事実。
僕は、僕は・・・
比影「僕は・・・」
と、その時だった。
??「自分ら、悪いけどその返事はさせられへんなぁ。」
上から、声が聞こえた。聞き覚えのある声だ。
アス「い、イザレア様・・・!?」
ナーテアさんがビックリしたような顔をする。だが、その顔は声のした上ではなく、僕の後ろ、秘密基地の入口付近に向いていた。
レア「よ、ナーテア。元気にやっとるみたいやなぁ。天界にいる時より生き生きしてるみたいで、嬉しいやら悲しいやら・・・」
振り向くと、そこには奴が・・・イザレアがいた。
レア「なんや比影、嫌そうな顔やなぁ。せっかくピンチを救ってやったと言うんに・・・」
比影「あんたの顔はできるだけ見たくないからな。・・・ただまぁ、今回は助かった。」
レア「素直なのはええことやけど、いつもそんな顔されたんじゃ、お姉さん悲しいな~?」
比影「なら自分の態度を改めるんだな。前にも言ったが、僕はあの時のことを忘れないし、あなたを許す気もないからな。」
レア「相変わらず手厳しいこって・・・まぁ今はええわ。」
イザレアと軽口を叩き合う。傍から見れば、神様にタメ口聞いてる時点で結構凄いことしてるんだろうが、こいつは中身がアレだからな。敬う気も起きん。
佐和「・・・あの、どういうことです?なんで比影くんの返事を聞いちゃダメなんですか。意味がわかりません。」
アス「そうですよイザレア様、いいところなんですから邪魔しないでください。」
レア「おぉう・・・すごい剣幕やな。まぁ気持ちはわかるけどね・・・。でもね、その行為を容認するわけにはいかんのよね。」
イザレアはヤレヤレとでも言いたそうな仕草をした。
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