ひざまずけ、礼

ko-suke

第2章36話 神と人の泥試合




アス「か、仮にも神様だって言うのに、下界の人間にスリッパでひっぱたかれるとは・・・佐和さぁん?いい度胸してますねぇ?」

佐和「あら、人にあんだけ色々と抜かしながら、自分だけ抜け駆けしようとしたあなたが悪いんじゃなくて?」

アス「先に抜け駆けしたのはあなたですよね?だから私も抜け駆けしたまでです、ハイ。言ったでしょ?足並み揃えるって。」

佐和「あれのどこが足並み揃ってるって言うのかしらね?あなたがやったことはね、ナイフを使った決闘で相手がピストル使ってきたからって、ロケラン使い出すようなことなのよ?」

アス「また絶妙に分かりにくい例えを言いますねあなたは。私はただ、マラソン大会でライバルがバイク乗り出したから、私も乗っただけですよ。違いと言ったら、私のにはロケットエンジン積んであるだけです。」

佐和「ぶっ飛んだことやってる事には変わりないわよ!いいから私に謝りなさい!そして結婚云々の話は撤回しなさいな!」

・・・うーん、僕はどうしたらいいんだろうか。ボーっとしながら隅っこでお茶飲んでるくらいしか、やることないんだけれど。

かといって僕が話に入ろうものなら、一瞬でボコボコにされそうだし・・・あの手の喧嘩は、同じ方向向いた瞬間、超火力になるんだよなぁ。

ま、触らぬ神に祟りなしですわ。しばらく傍観しとこ。

アス「なぜあなたに謝る必要が?あと発言は撤回しませんよ、ハイ。子供は・・・そうね、男の子3人、女の子7人くらいがいいかなぁ。」

佐和「私に説教しといて、それ以上にぶっ飛んだことしやがったからよ!あとリアルすぎてなんかヤダ!さっさと撤回しろぉ!」

アス「あらぁ?おこちゃまな佐和さんは、リアルな話はお嫌いですかぁ?私と比影さん、相性いいと思うんですよねぇ・・・○的な意味で。だから撤回しません、はい。」

佐和「仮にも神様なら自重しなさいよ!色々とアウトなのよあなた!さっさと撤回しなさい、もう我慢の限界なの!」

撤回しろ、撤回しないの繰り返し。泥試合と化してきたな。

と、ここで2人の怒りの矛先が変わった。その矛先が誰に変わったのかは、お察しの通りである。

アス「ちょっと比影さん、さっきから何黙ってるんですか!あなたからもなんとか言ってください!」

佐和「比影くん、まさか他人事のように思ってないよね!?あなたを巡って言い争ってるのよ!?わかる!?」

比影「わ、わかってるよ。ただ発言するタイミングがなかっただけで・・・」

やっぱり、同じ方向を向いたら火力高いね。というか原因元は僕とはいえ、2人の言い争いに巻き込まれたくないなぁ・・・勝てそうにないし。

アス「もうここはハッキリさせましょうよ。どっちを恋人にするか・・・いや、正妻にするか。比影さんに決めてもらいましょう。」

佐和「そうね、これ以上言い争っても進展するようには思えないし。ここらで上下関係をハッキリさせときましょ。」

めっちゃ巻き込まれたわ、というか主軸にされたわ。なんでこうなるんですかね・・・。

2人がじっと僕を見つめてくる。こうして改めて正面から顔を見ると、やっぱり2人とも可愛いなぁと思う。僕にはもったいないと思ってしまうほどには。

かといって、誰かに取られたくは無いとも思う。多分、こういうのが僕のダメなところなんだろうね。欲張りというかなんというか。

・・・さて、どうしますかね、この状況。


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