ひざまずけ、礼
第2章30話 一か八かの大勝負
僕はパチンコを構え、1発ヤツの顔面に放ってみた。予想はついていたが、槍で弾かれる。
するとヤツは、今度は武器を槍から弓矢へと変化させた。放たれた矢をなんとか避けた。ほんとスレッスレだった。マジかよ、近中遠距離なんでもごされかよ!
佐和「こんにゃろ!」
佐和さんも玉を発射する。ただし今度はただの玉ではなく、防がれること前提で催涙弾をチョイス。
槍に変化させて防ぐ・・・かと思いきや、弓矢で玉を撃ち抜きやがった。なんてコントロール力。
佐和「不味くない?これ。なかなか強いよ!?」
比影「・・・いや、こういうパターンに対する対処方法ならまだある。全て試してみよう、何かしらはきくかも。」
佐和「う、うん。わかった。」
こうして僕達は、色々と試してみることにした・・・のだが。
パチンコの玉は、どこに撃とうが何を撃とうがほとんど撃ち落とされるか防がれて、効果なし。電気棒マキシマムはそもそも近づける気がしない。縄でひっかけて捉えようとしても、縄を切られる。この有様ですよ。
佐和「ひ~か~げ~く~ん?なーんにも効かないんですどぉ?」
比影「あ、あはは・・・まぁ、こんな時もあるさ。」
佐和「こんな時もあるさ、じゃないよ!どうすんのよこれぇ!」
比影「お、落ち着いてってば・・・」
焦りから騒ぎ始めた佐和さんをなんとか宥める。ただまぁ、何も効かなかったという事実はマジだからなぁ・・・はてさて、どうしたものかなぁ。
こうしてる間にも、ヤツはこちらへ突撃してこようとしている。この状態で突撃されたら、どうしようもない。
なんとか相手の動きを封じ込めることができれば、活路が見いだせそうなんだけどなぁ・・・そんな簡単に電気棒マキシマムが効くような相手には見えないし。・・・ん?
比影「・・・・・・」
思いついた、思いついてしまった。すっっごい賭けになるけど、この状況を打開出来るかもしれない、たったひとつの手段が。
ただ、佐和さんがこの作戦にOK出すとは思えないや。いつも僕のことを気遣ってくれるし、まず間違いなく止められるだろうね。だから・・・黙って決行しようじゃないか。
そんなことを思っていると、幸か不幸かヤツがこちらへ突撃してきた。
比影「佐和さん離れてっ!」ドンッ
佐和「きゃっ!?」
佐和さんを道の脇へと押し出し、ヤツの直線上に立つ。ヤツは槍を僕へ向けてきた。
佐和「っひ、比影くん避けてっ!!」
佐和さんの叫びが木霊する。僕は返事をせず、あるものを手に持ち・・・
比影「・・・ここだっ!」
ヤツの繰り出した槍の一撃がギリギリまで迫ってきたところで、しゃがんで手に持っていたものを投げる。ヤツの槍の一撃は、僕が持っていたものを貫いた。
・・・そして
ヤツの動きは、止まった。
ヤツが貫いたのは、電気棒マキシマムの電気が溜まっているバッテリー。つまり、電気棒から少しずつ流れる電気が、ヤツの槍を通していっきに流れたのだ。すかさず、馬の足に縄を投げ、動きを封じる。
比影「佐和さん!離れたところからいつものやつを!」
佐和「・・・へっ、あ、うん!」
佐和さんは言った通りに、離れた場所から手をかざす。感電しえピクピクと動くヤツと、縄で動けない馬に向けて、あの言葉を放った。
佐和「ひざまずけ・・・礼っ!!」
瞬間、眩い光がヤツらから発せられ、粒子となって少しずつ消えていく。赤黒く染まった暗い世界に、少しずつ光がともる。
そして、ヤツらが完全に消え去った瞬間、紅き街は崩壊したのだった。僕らの勝利である。
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