ひざまずけ、礼

ko-suke

第2章23話 化け物の思惑と提案




叶多?「はぁ、はぁ・・・ウゥゥゥ・・・」

叶多さんの姿をした・・・いや、叶多さんの姿をしていたソレは、1分足らずで元の姿の面影が消え、変化を遂げた。

叶多?「ち、ちくしょうが・・・もう少しでアイツもこっちの住民になれたのに・・・」

声は叶多さんのままだが、腕や足は爬虫類のような皮膚となり、顔も長く突き出たように・・・言うなれば、エイリアンのような見た目になっていた。

比影「・・・今回はエイリアンか。中々に手強そうだな。」

佐和「うん、油断は禁物だね。」

叶多?「許さん・・・決して生きては返さんぞ貴様らぁ!」

比影「それはこっちのセリフだ。叶多さんの姿で散々澤井さんを引っ掻き回して・・・挙句の果てには紅き街で殺そうとした!僕達はお前を許しはしない!」

佐和「そうだそうだ!そんな卑怯なやり方で人を欺いて・・・どうせ新聞部の他の人も同じように殺そうとしてたんでしょう!?この化け物め!」

叶多?「違う、違うっ!俺は化け物じゃない!俺は、澤井を幸せにしたいだけだ!」

比影「幸せだと?人々に恐怖をうえつけ、侵略しようとしてるヤツらが?冗談も大概にしろ!」

叶多?「冗談じゃない、本気だ!実際、俺は今幸せだ!だから澤井にもこっちの世界に来てもらおうと・・・!」

佐和「戯言を抜かすな!比影くん、こんなやつはさっさと倒しちゃおう!」

比影「そうだな、長居は無用だ。」

叶多?「倒れる訳には行かない、あいつもこっちに来てもらうまでは!それを邪魔するやつは・・・容赦しない!」

ソレは雄叫びを上げ、爪を展開して突進してきた。2人別の方向に避け、回避する。

すぐさま相手の足にロープを引っかけ、転倒させる。起き上がろうとするところに、催涙弾をぶち込んだ。

苦しんでいるスキをついて、2人がかりで柱に括りつけた。世にも珍しいエイリアンのはりつけの完成である。

佐和「もう観念しな!アンタに勝ち目はないよ!」

叶多?「くそ・・・こいつを解け!」

比影「嫌だね。なんで解く必要があるんだ?」

叶多?「ぐぅっ・・・」

佐和「よーし早速やっちゃうよ~」

佐和さんは手袋をつけ、手をかざした。と、ここで余裕が出来た僕の頭はあることを思いついた。

比影「佐和さんごめん、ちょっと待ってもらってもいいかな。」

佐和「え?なんでよ、さっさと倒しちゃった方がいいじゃん。」

比影「それはね・・・」

僕はヤツに聞こえないよう、佐和さんの耳元で話す。内容を理解した佐和さんは、渋々引き下がった。

叶多?「な、なんの真似だ・・・」

比影「さっきまでのお前の話が気になってな。いくつか聞きたいことがある。」

叶多?「ふん、嫌だね。なんで答える必要がある?」

比影「確かに必要は無いな。ただ、少なからずメリットはある。」

叶多?「メリットだと?」

僕はニヤッとして言った。

比影「お前の回答次第では、消さずにこれを解いてやることを考えてやろう。その後は自由にしろ。人を殺す以外なら、目を瞑ろう。」


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