ひざまずけ、礼

ko-suke

第2章22話 表があれば裏もしかり




澤井『ね、優しそうな方達でしょ?私の依頼も
快く受け入れてくれたし!』

叶多『そうだな・・・わりかし、きちんとしてる人達だったな。』

澤井『うんうん!それにしても叶多くん、なんでさっき、あんなにかしこまってたの?いつもは先生以外には初対面でもタメ語でしょ?』

叶多『まぁ、あっちも敬語だったしな。それに、これから新聞部のことでも手伝って貰いたいこともあるし。』

澤井『へ~。叶多くんって案外ちゃんとしてるんだね。』

叶多『案外、は余計だろぉ?』

澤井『へっへへ~』

叶多『全く、お前ってやつは・・・あぁ、ちょっと止まってくれ。』

澤井『へ?どうしたのいきなり。』

叶多『いや、いつも澤井には世話になってるからな。・・・少し、お礼がしたくて。』

澤井『お、お礼?もう、そんな間柄じゃないでしょ?幼なじみなんだし、当たり前じゃん。・・・まぁ?貰えるものなら、貰っとくけど?』

叶多『素直じゃないなお前は。』

澤井『お黙り。で?』

叶多『いや、さっきまで忘れてたんだが、お前に教えた異世界について、今朝新たな情報が見つかってな。お礼として、その情報を教えておこうかなって。』

澤井『え、マジで!?そういうことは早く思い出してよぉ!』

叶多『はは、ごめんごめん。』

澤井『ちょ、ちょっと待ってね、メモを・・・・・・っと、はい。その情報教えて!』

叶多『あぁ。実はあの異世界、どうやらただの裏の世界じゃなくて、化け物が住み着いてるらしいんだ。』

澤井『ば、化け物が住み着いてる!?じゃあ、その世界に迷い込みでもしたら・・・』

叶多『化け物に見つかって、人生おじゃん!ってこったな。ハハハハッ!』

澤井『わ、笑い事じゃないよぅ・・・うーん、調べるの怖くなってきたなぁ。』

叶多『何言ってんだよ澤井、笑い事だろう?』

澤井『・・・え?』

叶多『何も知らなければ幸せだったのによ。ちょっとした好奇心で真実を知った結果、人生を終えることになるんだからな。俺も・・・お前も。』

澤井『な、何言ってる、の?叶多くん・・・』

叶多『分からねぇか?なら身をもって教えてやるよ・・・紅き街この世界の真実をよぉ!』

比影「させるかっての!」ガバッ

タイミングを見計り、飛び出す。叶多さんの姿をしたソレを、澤井さんから引き剥がす。

叶多?「う、おっ!?は、離せ!」

佐和「ナーテアさん、今のうちに澤井さんを!」

アス「分かりましたです、はい。澤井さん、こっちへ!」

澤井「え?・・・え?」

叶多?「き、貴様ら、いつから!」

比影「秘密基地から出ていく直前、発信機を仕掛けておいたんだ。しかも盗聴機能付きのな!あんたらの会話、全部聞いてたぜ!」

佐和「悪いけど、あんたの好きにはさせない!澤井さんを巻き込むな!」

叶多?「う、ぐぅ・・・こうなったらヤケだ!どぁぁぁぁっ!」

叶多さんの姿をしたソレが叫ぶと、周りの景色がもはや見慣れたものへと変化した。やはり、コイツは・・・!

叶多?「クソぉぉぉ!うぉぉぉぉぉ!!」

再度空に向かって叫ぶと、叶多さんの姿をしたソレは、姿形を変えていった。



澤井「・・・い、一体何が・・・」

アス「詳しくは話せません。・・・一つだけ言えるのは、先程の叶多さんは、叶多さんでは無いということです、はい。」

澤井「どういう、ことですか・・・叶多くんは、叶多は、どこに?あの叶多は、いったい・・・」

アス「・・・お話します。」


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