ひざまずけ、礼

ko-suke

第2章20話 解決に向けて




澤井「さてと、早速ですけどお聞かせください!あなた方は異世界について、なにかご存知ないですか?」

澤井さんは、僕たちが了承したあと椅子によりかかり、ド直球な質問を投げかけてきた。とはいえ、素直に答える義理はない。そもそも、紅き街の事じゃないかもしれないし。

比影「いやぁ、僕らもいまさっき知ったばかりで、皆目検討つきませんね。そもそも、異世界ってどんな感じのなんですか?ラノベ系の異世界じゃないなら・・・」

澤井「んー、目撃情報がないので微妙なんですが・・・この世の裏の世界じゃないかって。別の場所じゃなくて、今の世界がベースのもうひとつの世界なのでは?って言われてますね。」

うーん、これは十中八九紅き街のことだね。しかも大体合ってるときたよ。なんか怪しいぞ。

佐和「ふーん、裏の世界ね・・・目撃情報がないっていうのに、その世界のことにお詳しいんですね、澤井さんは。」

佐和さんが違和感と皮肉を込めて言う。澤井さんは、微笑んで言った。

澤井「私が詳しいんじゃないんです。情報提供者からの又聞きですよ。色々とその人が教えてくれました。」

アス「・・・情報提供者?」

澤井「同じクラスの、新聞部の人です。叶多くんって言うんですけど、雑学とか都市伝説とか、色んなことに詳しい人なんです。」

比影「じゃあ、このノートに書いてあることとかは、その叶多さんから聞いた事?」

澤井「えぇ、叶多くんから聞いたこととか、匿名掲示板なんかに書かれてることとか、そういった情報を集めて、私なりにまとめたものです。」

僕ら3人は顔を見合せた。叶多さんとか言う奴、どう考えても怪しい。彼の言ってることがえは本当に紅き街のことかは定かでは無いが、恐らくそうであろう。なら、新聞部とはいえ普通の一般人なら知るはずの無い情報だ。

それなのに、ここまで詳しいのは、関係者ですと言っているようなものだ。

比影「澤井さん、もし可能ならその叶多さんともお話が聞きたいんですが・・・連絡頂けませんか?」

澤井「叶多くんとですか?はぁ、いいですけど・・・」

どうやら澤井さんは、この違和感に気づいていないようだ。叶多さんに対して、絶対の信頼を置いているのだろう。もしかしたら、恋心のようなものを抱いているのかもしれない。澤井さんほどの人なら、1発で違和感に気づくと思うし。

その後、叶多さんと連絡が取れ、明日の放課後に話を聞くことになった。色々と思うところはあるが、ひとまずは、僕たちの予想が外れていることを願うばかりである。


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