ひざまずけ、礼
第2章16話 壁の向こうの壁
狼共を退けてから数日後、一息つくまもなく、僕たちはまた新たな壁に直面していた。
ただ今回は紅き街関連ではない・・・いやまぁ多少、いや割と結構関係してはいるのだが、あくまで間接的なもの。直接的には関係ないものである。
・・・で、あんまり引き伸ばすと、もったいぶってないで教えろって聞こえてきそうだから、さっさと場面を切り替えるとしよう。僕たちが直面した、その壁の正体とは・・・
??「ですから、あなた方には調査協力を依頼したいんですよ。何でもやる部活、なんでしょう?」
比影「いやまぁ・・・それはそうなんですけど・・・」
佐和「話がよく分からないと言いますか・・・」
アス「・・・」
この、メモを片手に話す依頼人である。
この状況を説明するには、時は数分前に遡る必要がある。
今日も今日とて暇な僕たち3人は、秘密基地内でワイワイとしていたのだが、突然扉がゴンゴンとノックされた。
開けてみると、そこには目の前の依頼人が突っ立っており、こちらから話す前に「依頼です」と一言話して中に入りやがったのだ。せめて案内するまで待てんのか。
・・・まぁ、それは別にいいのだけど、問題はここから。依頼ということで事情を聞いてみると、この人が非常にめんどくさい人であることが発覚したのだ。
??「申し遅れました。私、2年の澤井といいます。以後お見知り置きを。」
佐和「澤井さん、ですね。こちらこそよろしくお願いします。それで、ご依頼は?」
そう言った瞬間、彼女はメモやらノートやら雑誌やらをバッグから出して広げ、自身もメモ片手に話し始めた。
澤井「私の親は警察でして、刑事をやってるんです。その影響か、私も分からないことは調べあげないとすまない性格なんですよ。で、今調べてることが中々進まなくて、独自の情報網だけではやはり限界があるだろうと。そこで、掲示されたポスターを拝見しまして、これだ!と。あなた方の元を訪れたというわけです。」
早口で話され、僕達はあっけに取られた。その間、秒数にして15秒ほど。全く頭に入ってこなかった。
比影「は・・・はぁ。えっと、何かを調べればいいって事ですか?」
澤井「えぇ、調査依頼です。理解が早くて助かります。」
いや、あんまり理解出来てないけどね。ツッコもうかと思ったが、一応黙っておいた。
澤井「で、あなたがたに調べていただきたいのは・・・これです。」
澤井さんは広げたノートと雑誌を指さし、言った。
澤井「異世界について、です。」
ふいた。もれなく全員でふいた。
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