ひざまずけ、礼
第2章11話 苦渋の決断を
予想した通りの答えが、イザレアから返ってくる。だろうなと思う同時に、人の命などこれっぽっちも考えていない神々に怒りを覚えた。
レア「せやから、あたしがしたことは別に悪いことでもないし、それよかよっぽど人道的やろ?ごっつ賢くて、人の命を司る神である、このあたしだからこそできる芸当やで?」
二ヘラと笑いながら、イザレアはそう言った。確かにそう考えれば、イザレアのしたことは、褒められはしても貶されることは無い行動なのかもしれない。だけど、それでも・・・僕はどうしても、これが最善の選択だとは思えないのだ。
紅き街の記憶がトラウマになりかねない、という意見もあるだろう。それは実体験している僕もそう思う。それにイザレアの言う通り、世界が大混乱に陥る可能性も大いにあるだろう。
だが、トラウマになりかねないことだからこそ、危険なのではないかとも思うのだ。トラウマになるほど深く刻まれた記憶を消すと、下手すると後遺症が出る可能性だってあるのではなかろうか?
特に子供は感受性が豊かで、物事を覚える時期なのだから、そんな子供の脳に易々と干渉して良いものなのだろうか?いかに神業とはいえ・・・
レア「わかるやろ?自分ら。今あたしらにできるのは、これしかないんや。それとも、機密事項が守れてあの子にも支障がない、そんな画期的な方法があるんか?そんなら教えて欲しいくらいなんやが。」
比影「・・・っ」ギリッ
佐和「比影くん・・・」
納得は出来ない。だがこの場は、これが最善なんだと自分に言い聞かせる他ない。ここで言い争っていても、何も始まらないからだ。僕は黙って頷いた。
レア「それでええんや、それで。さ、こんなところで突っ立ってないで、秘密基地に帰ろや。あの狼共の対策を考えへんとなぁ。」
比影「・・・そう、だね。」グッ
プルプルと震える腕を抑える。ひとまずは助けられたんだ、それだけでも良しとしないと。
佐和「・・・よっし!ささ帰ろ比影くん!秘密基地へレッツゴー!」ピョンッ
比影「のわぁっ!?」
急に佐和さんが乗っかってきた。なんだなんだと思っていると「足くじいちゃった」とのこと。僕は佐和さんをおんぶして、秘密基地まで戻るのだった。
佐和さんのおかげで、秘密基地まで楽しい時間を過ごせた。あのままだったら、少なくとも秘密基地まではズルズルと引きずっていただろう。
色々な意味で癒されたし、佐和さんには感謝しないとな、と思う僕なのだった。
・・・うん、まぁ、色々な意味でね。あんまり詳しく言うとキモイから言わないけどさ。
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