ひざまずけ、礼

ko-suke

第2章10話 秘密の死守は最優先?





比影「・・・一体なんのようだ、イザレア。今から僕達はこの子を送り届けなきゃ行けないんだけど。」

振り向かずにそう言う。

レア「いんや、その必要はないよ。この子は1人で帰れる。」

佐和「え・・・何言ってるんです?さっき嬉しそうに『帰ろ帰ろ』って・・・。一体なにをするおつもりで?」

レア「なぁに、簡単なことよ・・・」

イザレアは男の子に向かって歩く。嫌な予感がした僕は、臨戦態勢に入る。

だが、イザレアは身構えた僕を吹き飛ばすでもなく倒すでもなく、すり抜けたいった。

驚いている間に、イザレアは男の子の頭に手を乗せる。その後、一瞬光ったかと思うと、彼は倒れた。

比影「なっ!?お前、一体何をした!」

佐和「イザレア様!?」

レア「なぁに、ちょいと眠ってもらうだけよ。・・・起きたら分かる。」

イザレアはあっけらかんとそう言う。殴り掛かりそうになったが、彼はすぐに起き上がったため、ひとまずその場は抑える。

比影「君、大丈夫!?なんともないかい?」

佐和「怪我とかしてない?違和感とか・・・」

僕と佐和さんは交互に話しかける。だが、彼は下を向き、ボーっとするだけで返事がなかった。こころなしか、目にも光がないような・・・

心配になって肩を叩くと、彼はハッとしたように顔を上げた。目にも光が戻っている。

比影「あぁ、よかった。植物人間にでもされたんじゃないかと・・・」

佐和「さすがにイザレア様でも、そこまで鬼畜じゃないよね~。」

だが、その後に彼から放たれた言葉は、想像していない言葉だった。

男子「・・・お兄ちゃんとお姉ちゃん、だぁれ?」



比影「・・・へっ?」

佐和「え、え・・・?」

突発的なことで、しばらく彼が何を言っているのか分からなかった。彼は何を言ったのだ?僕と佐和さんに、お前は誰だ、と?

そしてここにきて、やつが、イザレアがこの子に何をしたのか。それを理解した。

比影「イザレアァ!あんた、この子の記憶を・・・!?」

レア「ご名答、消させてもらったで。」

イザレアは彼に近づき、頭に手をおいた。

レア「ほら、もうこんな時間やで?良い子はお家に帰る時間や。」

男子「え?あ、ほんとだ帰らないと!じゃあねお姉ちゃん達!」ダッ

佐和「あっ・・・!」

彼は走ってどこかに行ってしまった。とりあえず、怪我とかはないようでよかった、が・・・。

佐和「・・・イザレア様、あなたって人は・・・!!」

レア「前に言うたやろ?紅き街の情報は機密事項や。限られた者のみしか、知ってはならない。彼は知ってしまったから、紅き街に関する記憶を消させてもらったんや。」

比影「機密機密って・・・なんでそこまで隠そうとする!?世界の危機なんだぞ!?いっそ公表して、警察とか自衛隊とかにも協力を仰いだ方が・・・!」

レア「公表して、何になる?一般市民を恐怖に染めるだけやろ。だから隠して、秘密裏に対策するんや。」

佐和「だとしても、記憶を消すなんてこと・・・!」

レア「なにゆーてんや君。優しいほうやろ?」

佐和「なにを・・・!」

レア「うちらの場合、機密事項を知られた場合の処置として、普通は記憶抹消という措置はとられない。なんでやと思う?」

比影「・・・さぁね。頭お花畑の連中が考えてる事は分からないよ。」

レア「答えは簡単、面倒なうえ不確実やから。神々にも技量の差ってのはあるからなぁ。だからその代わり、簡単で誰でもできる、尚且つ確実ですぐに済む方法がとられるんや。・・・もうわかってるやろ?その方法。」

佐和「・・・知らない、言いたくない。」

レア「なら言うたるよ、その方法。」

イザレアは、慎重な面持ちで、淡々と言った。

レア「・・・抹殺、○害や。」


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