ひざまずけ、礼

ko-suke

第2章5話 息が合い、地獄となる




比影「は、八尺様・・・?」

女性「・・・」

彼女は定期的にフラフラと横に揺れ、ニヤニヤと笑っていた。

アス「身長が8尺ある女性で、子供を攫うと言われています、はい。ただそこにいる八尺様は、聞いた限り見上げ入道や、他の化け物の力も備えているようです。」

佐和「なかなか厄介ね、それは・・・」

女性「・・・ケヒヒ」

彼女はケタケタと笑いだす。手には鋭い爪が生え、より変わっていく。

比影「厄介だとしても、やるしかないさ。今どうにか出来るのは、僕達だけだ。」

身構えた瞬間、彼女は襲ってきた。・・・いや、もうそれは化け物としか言えないほどに、数分前の彼女とはかけ離れた存在になっていた。

引っ掻きを避け、佐和さんに目配りをする。佐和さんは頷き、離れた。僕はパチンコを彼女めがけ数発放つ。目標は、目。

腕や足を狙うのは得策ではない。蛇のような肌へ変化しているためだ。どうやら、メデューサのような力もあるようだ。こうなると、さらに目を塞がなければ。

女性「・・・シャヒャヒャヒャ!」

玉を弾かれ、全て防がれる。色んな角度から打ち込むが、全て防がれた。

比影「それなら・・・!」

別のポケットをあけ、ある玉を取り出す。これは先程のものとは違う、特別なものだ。

比影「こいつを防げるなら・・・防いでみやがれっ!」

パチンコから放たれた玉は、彼女めがけて飛んでいく。先程と同じように、防がれた・・・瞬間、玉が爆発。

爆発とともに散布された薬品が、彼女の目に入る。瞬間、彼女はもがき出した。

この玉は、この前ナーテアさんに作ってもらった、催涙弾。催涙スプレーの中身を玉に込め、防がれたとしても当たった瞬間爆発し、散布されるというもの。こう言った場合には有効打となる。

彼女は蹲り、動けなくなった。仕掛けるなら今しかない!僕は手首足首に紐を括りつけ、佐和さんに合図を出す。

佐和「はいはーい!」

佐和さんは塀から彼女の背中に飛び移り、僕が投げたものと同じ玉を頭に投げつける。

追加攻撃を受けた彼女はさらに藻掻く。そのまま佐和さんは、奴に手をつけて・・・唱えた。

佐和「ひざまずけ・・・礼ぃ!」

光の粒子となり、消えゆく彼女。彼女は変わらず、「ぽ、ぽ、ぽ・・・」と呟き、消えていった。

比影「ふぅ・・・」

佐和「お疲れ、比影くん。」

比影「佐和さんもね、お疲れ。」

僕達は紅き街が消え去った後で、地面に座り込んでいた。

比影「ナーテアさんもサポートありがとう。助かったよ。」

アス「いえ・・・」

佐和「いやーやっぱり私たちは最高のコンビだね!ベストパートナーだね!!」

コンビ、パートナーといった単語をなぜか強調して、佐和さんはそういった。その後戻った秘密基地内の空気は、この世の地獄と言っても差し支えないほど、どちゃくそ重苦しかった。

・・・どうしてこうなるの!?


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