ひざまずけ、礼

ko-suke

第2章1話 新環境での懸念点




ナーテアさんが来てからというもの、秘密基地内での部活動はガラッと変わった。

今まではポストを見て何も無ければ、ゲームするか本読むか、はたまたおしゃべりするか位のものだったが、ナーテアさんが来てからは、そこに武具制作という暇つぶし方法が加わった。

基本的にはナーテアさんが制作するのだが、さすがに女の子1人(しかも神様)にやらせるのは・・・と思い、できるだけお手伝いをするようにしている。が、そうすると佐和さんが不機嫌になる。

「お家でも学校でも秘密基地でも、あちらこちらでイチャコラしやがってまぁ!」とのことだが、僕にそんな気はないし、半分以上僕のせいではないと思う。7割方イザレアのせいだ。

そんな時には佐和さんに構って機嫌を治す。が、しばらくすると今度はナーテアさんの手がピタッと止まり、じーっとこちらを見てくる。そうしたら今度はナーテアさんの機嫌を治す番だ。

彼女、物静かなタイプではあるけど、目と表情だけで何を言わんとするかは大体わかる。ナーテアさんのお手伝いを再開すると、なんというかふわっとした表情になる。

というか、物静かなのは学校だけだったりする。家では結構おしゃべりだ。

そんなことの繰り返しで、僕は疲弊していた。というか、佐和さんはまだわかるとしても、ナーテアさんが嫉妬する意味がわからなかった。

出会って数日だし、彼女のこともよくわかっていないというのもある。だが、それ以上に彼女の本意が掴めないのだ。からかっているのか、本気で嫉妬してるのか、はたまた・・・。

そんな彼女の不可思議な行動は、家に着いてからも続く。家の中ではずっと後ろをついてくる。自分の好きにしていいと言っても、「はい」というだけで、ついてくるのをやめようとしない。

極めつけは、風呂に入っている時だ。・・・まぁ、こんな表現をしているあたり、なんの事かだいたい察しがついているとは思うけど・・・一緒に入ってきて、背中を流すと言ってくるのだ。

その場は押し返し、あとで詳しく理由を聞いたところ、こんな回答が。

アス「イザレア様の元に居た時は、これが普通でしたので、はい。」

比影「・・・後ろをついてくるのも、お風呂で背中を流そうとするのも?」

アス「はい。何かあればすぐ対応できるように、ついてまわるよう言われてましたので。あとお風呂は、疲れた上司を癒すのも部下の仕事だ、と。」

それは労基に訴えていいのではなかろうか。天界に労基があるのかは知らんけど。

比影「でも僕は上司じゃないから、イザレアの時みたいにしなくていいんだよ?」

アス「・・・イザレア様からは、『泊まってる間は比影を上司だと思って、行動するように』と言われてますので、はい。」

僕は頭を抱えた。またひとつ、イザレアに説教する種が増えた。マジで後で覚えとけよ、あのエセ関西弁神め。というか、神のくせして関西弁とはどういうことなのだろうか?

比影「そんな命令、無視していいからね。僕は上司じゃなくて、友達なんだから。いい?」

そう伝えると、何故か少し悲しそうな顔をして「はい」と一言。だがその次に悪戯っぽい顔になり、言った。

アス「これからは、自分の意思でお背中流しますです、はい。」

僕はさらに頭を抱えることになるのだった。家でも学校でも休まらない僕。もうやめてくれぇぇぇぇ!


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