ひざまずけ、礼
第1章92話 正体不明の転校生
僕達は秘密基地についた。ナーテアさんは目をキラキラとさせていた。彼女曰く「秘密基地とかそそられます。格好良いです、はい。」とのこと。
ポストを確認するが、空っぽ。依頼があるから~という手は使えないようだ。
中に入り、人数分のコーヒーを用意する。僕はブラック、2人には後入れのシュガーとミルクを添えて。
一息ついたあと、とりあえず部活見学ということで、部活の説明に入った。
佐和「さて、この部活は『何でも部』。つまり、みんなの困り事を集めてなんでもやる部活なんです。」
アス「なるほど、地道に活動してるのですね、はい。」
比影「学校で困ってることとか、身近で起きた不思議体験とか、はたまた都市伝説とか。そういう情報を集めて、僕らで解決する。というのがこの部の活動理由なんです。」
アス「ほうほう、そういうところから情報を集めてるのですね。地道だけど確実、というところですね、はい。」
比影「まぁ、そうだね。ポスターをみて依頼してくる人とか、前のポストに解決して欲しい内容を紙に書いて入れてもらったりとか・・・地に足をつけて情報収集してます。」
アス「その点については、よく分かりましたです、はい。ご説明感謝です、はい。」
佐和「なにか分からないこととか、あります?それか、ナーテアさん自身が困ってることとか。」
アス「分からないこと・・・なら、ひとつだけ。」
佐和「はい、なんでしょう?」
ナーテアさんの表情が急にピシッとした。なんだろうと身構える・・・が。彼女の口から発せられた言葉は、僕たちの想像をゆうに超えることだった。とても、信じ難いことだった。
・・・それは
アス「貴女方の"本来"の活動目的・・・紅き街については?」
場が、一瞬にして凍りついた。
2人「・・・はっ?」
最初、意味がわからなかった。唐突だったのもあるが、一般人で転校生のナーテアさんから、その単語を聞くとは思わなかったから。
・・・いや、まさかな。
比影「・・・なぜ、その言葉を知ってる?それは、限られたものだけが知ってる言葉のはず。あなたのような一般人が、知ってるはずがない。」
アス「・・・」
比影「あんた、何者だ。紅き街との関係性は?まさか、紅き街から来たスパイじゃないだろうな。」
佐和「ちょ、ちょっと比影くん。流石にその言い方は・・・」
比影「よくよく考えりゃ、色んなおかしい点がある。佐和さんだって少しは思ってるだろ?何故わざわざ僕の近くの席を選んだのか、何故最初からこの部活を見学したいと言い出したのか・・・答えてもらっていいかな。」
佐和「それは・・・」
佐和さんはどもった。すると、ナーテアさんは笑いだして、言った。
アス「・・・ふふ、聞いてた通り。あなた達がここまで上手くやっていけてる意味が、なんとなくわかった気がします、はい。」
比影「・・・聞いてた通り?それはどういう・・・」
そう聞くと、答えがすぐに返ってきた。・・・ただし、ナーテアさんからではなく。
??「その質問の答えは、あたしから答えよう。そのほうが、お前らも納得しやすいやろうし。」
比影「・・・この声は」
佐和「イザレア神・・・様?」
レア「やっほー!元気しとったか?」
唐突に出しゃばってきたイザレアからだった。
レア「出しゃばってきた言うなや!」
比影「心読むなよ!」
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