ひざまずけ、礼
第1章81話 新たなる脅威、出現す
次の日のこと。ポストを見ると、1枚の紙が入っていた。みたところ、メモ用紙の切れ端のようだ。
内容としては、以下の通りだった。
「正門近くに不審者がいます。ずっとこっちを見つめてきて、気味が悪いです。即刻排除してください。」
匿名希望か、差出人は不明。にしても、助けを乞うでも追い払うでもなく、即刻排除ときたか。ただの言い回しかもしれないけど、物騒なこって。
佐和「不審者ねぇ。この学校、こういうの多くない?なんか鳥肌立ってきたわ。」
比影「それは言えてる。この件の差出人のためにも、早めに解決してあげたいね。」
メモ用紙を見ながら、佐和さんと話し合う。前回の小人といい、今回の不審者といい、変なやつが絡んでるパターンが多いような気がしている。
まぁ、何も無かったら部活動ができないわけだから、なんとも言えないのだけど。もちろん平和が1番だけどね?
佐和「文章の感じからして、差出人は女子生徒だろうね。大方、女子生徒をみてニヤニヤしてくるキモイやつがいたんでしょう。気味悪いやつ・・・。」
比影「佐和さん、もうすこしマシな言い方は・・・」
佐和「不審者に肩入れしてどうするのよ。女子生徒を狙う不届き者は、即刻ぶっ倒してやるわよ!」
比影「頼もしいんだか、危なっかしいんだか・・・」
佐和「何か言った?」
比影「いや、なんでも。」
佐和さんは怪訝そうにこちらを見つめてくる。もし佐和さんが言ってることが合っていて、女子生徒を狙う不審者なら、佐和さん1人で行かせるにはちょっと怖い案件だ。佐和さんには悪いけど、ここは僕が行くべきであろう。
・・・というか、それ以上の特徴が何も書かれてないのがなぁ。雰囲気だけでも分かれば、ある程度簡単に見つけられると思うのだけど・・・まぁ、仕方ないだろう。ないものねだりは時間の無駄だ。
比影「ひとまず、もう少し詳しく調べてみようか。今日の帰りに、その不審者とやらにコンタクトが取れるか、試してみるしかないね。」
佐和「そうね、そうしましょっか。」
比影「決まりだね。じゃあ今日はここまでにして、佐和さんは帰ってもらっていいよ。不審者ねぇの件は僕が見てみる。」
佐和「・・・え?」
佐和さんは「こいつ何言ってんだ?」と言わんばかりに、ポカーンとした顔になった。
佐和「・・・なんで?2人で帰ればいいじゃん。」
比影「この手の不審者は、ペアとかグループでいるやつには話しかけてこないし、複数人で見てたら、逃げ出すと思うよ?」
佐和「そこはほら、前みたいに神様の金縛りとかで・・・」
比影「あれはあの時限定の特別処置でしょ?そもそも今回は現実世界のことだし、紅き街で起きてる事じゃないなら、イザレアに手出しは出来ないでしょ。」
佐和「むう・・・」
この前の小人討伐の際、イザレアが金縛りで動きを止めたことがあった。が、あれは、イザレアが必死にお偉い方を説得して、今回限りと許しを得たものだから、そう簡単に2回目の許可は降りないだろう。
結局、10分以上に渡り佐和さんを説得し、なんとか僕の案が可決されたのであった。・・・心配症だよなぁ、佐和さんって。
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