ひざまずけ、礼

ko-suke

第1章79話 筋トレの成果を




比影「・・・かかったな」

小人「・・・な、か、はっ・・・」

僕の肘が、小人のみぞおちに当たる。小人はよろめき、1歩ずつ後ろに下がっていった。

小人「な、なぜ・・・だ・・・」

比影「僕も最近、鍛えてるんでね。お前が油断するところを待っていたのさ。」

小人「く、そっ・・・がぁぁぁっ!」

ナイフを向け、突進してくる小人。だが、先程の痛みが尾を引いているのか、ナイフを持つ手は震えてブレブレ、まともに刺さるような状態でもなかった。

僕は横に避け、小人の手を蹴る。ナイフはどこかへ行ってしまった。その後お返しにと、小人に金的蹴りをかます。

小人「ーーーーっ!!!」

地面にうずくまり、もがく小人。もはや声にすらなっていなかった。にしても、やっとこさ筋トレの成果が出てきたか。やっといてよかったぜ。

と、その時。

佐和「おーい比影くーん!大丈夫ー!?」

佐和さんの声が奥の方から聞こえてきた。返事をすると、佐和さんが小走りで向かってきた。

佐和「もうっ!なんでそんな無茶するのよ!あなたに何かあったら・・・!」

比影「ごめんよ、でもこれがベストだと思ったんだ。・・・自分自身をある意味、試してみたかったってのもあるけどね。」

佐和「試す?・・・って、そこでうずくまってるのって、まさか・・・!」

佐和さんは小人に気づいた。やつは逃げようとしたが、まともに立ち上がれないような状態だった。

比影「例の小人。形勢逆転だなぁおい?」

小人「っぐぐ・・・!」

佐和「・・・比影くん何したの?なんかえげつない声出してるけど・・・」

比影「さぁね、お腹でも下したんじゃない?」

佐和「教えてくれないの?ケチ。」

比影「はは、後で教えるよ。でもまずは・・・佐和さん、やつを楽にしてあげてくれ。」

佐和「う、うん。わかった。」

佐和さんはテキパキと用意する。僕はやつを監視していたが、1度も立ち上がることすらなかった。

佐和「準備OK!いつでもいけるよ!」

比影「よし、やったれ!」

佐和「了解よ!」

佐和さんは小人に近づき、両手をつきだす。やつは未だうずくまっているが、少し楽になったのか、うめき声は聞こえなくなった。

佐和「よーし・・・小人め、覚悟ぉ!ひざまずけ~・・・」

佐和さんが唱える。すると、やつはニヤッと笑って・・・急に立ち上がった。

小人「かかったなアホg」

比影「それはお前な」ピッ

小人「ぁっ・・・」

やつの動きが止まる。所謂、金縛り。

小人「こ、これは・・・動けん・・・誰が・・・」

比影「さぁな、神様とかじゃね?」

小人「ふざ、けるなぁ・・・!」

比影「はいはいおねんねしててね~。じゃ、佐和さん続きどうぞ。」

佐和「はいはい~」

小人「や、やめ、やめ・・・」

めっちゃ怯える小人さん。だけど許しません。今まで皆に怖い思いをさせてきたんだから、自業自得だね。

佐和「さっきはよくも止めてくれたね?じゃあ初めから行くよ?」

小人「いや、いやだ、やめてくれぇぇぇ!」

佐和「ひざまずけ・・・礼っ!!」

小人「あぁぁぁぁ!・・・あぁぁ・・・ぁぁ・・・」

小人は光に包まれ、光の粒子となって消えた。紅き街も崩壊し、またひとつ、目標に近づいたのだった。

・・・で。

比影「いっ・・・ちょ、やめてやめてよ佐和さん。」

佐和「やだ!もう許さないよ!」ポカポカ

比影「もうしません、しませんからぁ!やめてぇぇぇ!」

佐和「比影くんのばかー!」ポカポカ

その後、僕の体は結局アザだらけになってしまいましたとさ。・・・トホホ。







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