ひざまずけ、礼
第1章17話 さぁ行け我らのRC(2)
ある場所を境に、周りの景色が一瞬にして赤く染まった。これを不意に体験してしまった佐賀美くんの気持ちは、察しがたいものだろう。
・・・まぁ、僕も佐和さんも同じ目にあってるし、なんとなく分かるけどね。というか、やっぱり慣れないなぁほんとさぁ・・・。
ふと、腰のベルトがクイッと引っ張られる。おそらく、立ち止まってるのがバレたのだろう。早く行けと言うことか。まぁ、立ち止まってる必要も暇もないし、さっさと行こう。
少しずつ歩いていき、少し進んだあたりで、なんとなく空気が変わったような気がした。僕はここでラジコンを起動した。
このラジコンは、たまたまおもちゃ屋で売っていたもの。無線タイプなのだが、混戦のしにくさと届く距離の長さを売りにしていた。それを今日はいかんなく発揮して頂こう。
物陰に隠れながらゆっくりと走らせていると、カメラと連動させたスマホ越しに、化け物の姿を発見した。
あれは・・・ゴリラ?ネクタイはしていないようだ。それに、色がなんか・・・。
表現しにくいが、とにかく気色悪い色をしていた。色んな絵の具を混ぜてる途中の感じと言えばいいだろうか・・・。
そんなことを思っていると、奴がラジコンに気づいたようで、ドラミングのようなものをしだした。とりあえず写真を撮り、録画を音にしながらすぐにラジコンをひっこめた。
ラジコンを回収した直後、奴が移動を始めたため、ダッシュで逃げた。奴は僕の足音に気づいたようだか・・・もう遅い。僕は余裕をもって紅き街から脱出することが出来た。
比影「はぁっ、はあっ・・・!」
佐和「比影くん大丈夫!?怪我してない!?」
 
比影「だ、大丈夫・・・とりあえず写真と動画を撮ったよ。中々強そうなやつだったね・・・。」
佐和「そっか、ご苦労さま。」
そういって頭を撫でてくる佐和さん。・・・なんていうか、うん。心地よいけど・・・恥ずかしいな。
と、レア様から電話がかかってきた。
レア「おいっす。紅き街、一旦消えたみたいやで。」
比影「分かりました。とりあえず相手がどんなやつかは分かったので、対策立てて倒します。」
レア「おう、頼むでー。ほんじゃな!」
佐和「ええ、お疲れ様でした。」
レア様との通話は、そんな感じにゆるーくと終わった。
佐和「さて、じゃあまた比影くんの部屋に行きましょうか。映像と写真みて、対策練りましょ?」
比影「それはいいけど・・・大丈夫?もう結構遅いけど。」
佐和「え?・・・ありゃ、ほんとだ。さすがにそろそろ帰らないとまずいかなぁ。」
比影「じゃあ後で送っとくね。対策も電話でいいかな?」
佐和「そうしましょっか。」
僕達はそれぞれの家に帰り、対策を電話で話し合う・・・つもりだったのだけど。
残念ながら2人とも途中で寝てしまい、結局対策は決まりませんでしたとさ。睡魔には勝てなかったよ・・・。
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