ハズレスキル【魔物生産】は倒した魔物を無限に作り出せて勝手に成長するチートスキルでした!〜友達だった男にパーティー追放されたけど女だらけの騎士団に雇われたのでストレスフリーなスライム無双を始めます!〜
54話 決戦当日
スライムを【魔物生産】で作るためだ。
アナベルやノエルたち――アルトリア騎士団・第十二部隊のメンバーは決戦の最終チェックをしている。
万全の状態でティアマトを信仰する邪龍教団と戦いたいからな。
まあ、俺はすでに万全とは言えない状態だけど。
「――よし、次だ」
聖剣で魔力を全回復させ、俺は再び壁の上を走る。
一体、どれだけの数のスライムを作り出す必要があるのかだが……よく分からない。
今のところ、四方にある門近くに5000匹のスライムを作り出してはいるが……過剰かもしれない。
でも、相手は5万の軍勢。こちらは最終的に2万のスライムだから、まぁ……妥当かな。
かなりしんどいけど。やっぱり魔力欠乏症はツラい。
頭痛に耳鳴りにめまい。まともに動けなくなるからな。
後……15回魔力欠乏症に陥らなければならないのか。
「しんどっ」
でも、やらないと。これをやるか、やらないかでは、雲泥の差だろう。
とはいえ、俺の戦力がガタ落ちになる。
だから、早いところ終わらせて体を休ませないと。
王都が襲撃される前に――。
――あれから、1時間は経過しただろうか。
ようやく、スライムを作り終えることができる。後は、ここで一回、魔力全解放するだけだ。
「……もう、無理」
魔力は回復できても体調は悪くなる一方だ。
壁の上に倒れ込み、死にそうになる。
本当、誰かに助けてほしい。優しくしてほしい。
俺の本能がそう訴えかけているのが分かる。
「――呼びましたか、マスター」
「……シャロか」
「はい。マスターのシャロです」
昨日からずっと思っていたんだけど、なんか俺とシャロの距離感、近くなってない? 物理的な意味で。
たしか、俺の近くにずっといるんだっけ?
でも、助かった。
「シャロ。太ももを貸してくれ。頭が痛い」
「分かりました。膝枕ですね」
シャロは座り込むと、俺の頭を太ももに乗せてくる。
う~ん、なんか違う。もっとこうさ、恥じらいを持ってもらわないとさ。物足りないよね。ドキドキ感というかさ。
「どうですか?」
「気持ちいいよ。温かいし、いい匂いするし」
「そうですか。ところでマスター。どうして膝枕というのでしょう。これでは太もも枕では……?」
「語感的に膝枕の方がいいからじゃない? 知らんけど」
「……なるほど」
何がなるほどなのか。俺には分からないが、シャロ的には何かしらの理解が深まったらしい?
「マスターの髪の毛、少しチクチクして、むずがゆいですね」
シャロはもぞもぞと太ももを動かした。
それに伴い、俺は太ももの感触を堪能する。
もちろん、不可抗力だ。
「マスター。もうほかの人から聞いていると思いますが、必ず生きて帰ってきてくださいね」
「ああ、そのつもりだ」
「生きて帰ってこなかったら、後追いします。私はマスターのシャロなので。マスターのいない世界に生きる価値はありません」
「重っ。俺がいなくなってもシャルロッテを守ればいいんじゃないのか?」
「嫌です。守るなら私はマスターがいいです」
「そっか」
「はい」
……え? 好感度、めっちゃ高くない?
シャロと言葉を交わした回数、そんなに多くないと思うんだけどなぁ。
でも、そんなに思われているなら、生きて帰ってこないわけにもいかないな。
元々、そのつもりはないけど。
「シャロに1つが頼みがある」
「何ですか?」
「万が一、王都の中に魔物が侵入してしまったら、アイリスを守ってくれ」
「アイリス……マスターの妹ですね」
「うん。大事な妹だ」
「少し、妬いてしまいますね」
「ん? 何がだ?」
「いいえ、何でもありません。それよりも――」
――シャロが何かを言いかけて、大地が揺れた。
それだけじゃない。膨大な魔力だ。肌で感じられるぐらい、濃密で殺気にまみれた魔力。
「マスター」
「分かってる」
俺は太ももに名残惜しさを感じながら立ち上がって、壁の上から下を見た。
「来たか」
「来ましたね」
「よし。俺は下に行く。シャロもやるべきことをやれ」
「はい。マスター、この命に変えても」
こうして俺たちは二手に別れた。
たしか、俺は南門だったな。
そこにはカレンとテレシア、シノアがいるんだっけか。
俺は南門へと急いだ。
「ハズレスキル【魔物生産】は倒した魔物を無限に作り出せて勝手に成長するチートスキルでした!〜友達だった男にパーティー追放されたけど女だらけの騎士団に雇われたのでストレスフリーなスライム無双を始めます!〜」を読んでいる人はこの作品も読んでいます
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