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ハズレスキル【魔物生産】は倒した魔物を無限に作り出せて勝手に成長するチートスキルでした!〜友達だった男にパーティー追放されたけど女だらけの騎士団に雇われたのでストレスフリーなスライム無双を始めます!〜

霜月琥珀

36話 情報屋が得た情報

「……今から66時間後のこと。邪龍教が五万を超える魔物を召喚して王都を襲わせるんだ」
「……何? それは本当か!?」

 アナベルがミストに詰め寄った。
 しかし、そうしてしまうのも無理もない。誰がさっきの話を信じるだろうか。
 ミストに全幅の信頼を寄せている俺であっても、ほんの一瞬疑ってしまったぐらいだ。

 それにしても五万の魔物か……。

 不思議と笑みが溢れそうになる。
 人間、おかしな状況を目の当たりにすると笑いたくなるものらしい。

 でも、笑っていられる状況じゃない。

「何とか言わないか! それは本当なのかと聞いている!」
「本当だ。ボクは嘘をつかない。『情報屋』の名にかけて」
「……何てことだ」

 アナベルも理解したのだろう。
 ミストが嘘を一つもついていないことを。

「まさかここまで絶望的な状況だとは……」

 アナベルは頭を抱えた。
 それは話を聞いているノエルやオルガたちも同じだ。みんな、表情が暗い。

 ただ、俺だけは楽観視していた。

 だって相手はたったの五万だ。騎士一人が十匹倒す計算なら、五千人いればどうにかなる。

 アルトリア騎士団が何人いるかは知らないが、五千人はいるはずだからな。
 何だったら俺の【魔物生産】で五万の半分を相手にしてやってもいい。

 だから、

「何でみんな暗い顔してんの? 騎士団全員が力を合わせたら五万くらい……」

 と軽い気持ちで聞いた。

 だが、アナベルの言葉でその気持ちは消し飛ぶ。

「それができたら苦労しない。でも、無理なんだ。アルトも分かっているだろう? アルトリア騎士団は国が運営している。しかし今、その国はどうなってる? 次期国王の継承者たちが互いに睨み合ってる状態だ。だから、騎士団全員が協力するなど不可能なのだ」

 あぁ、そうだった。軽く考え過ぎていた。

 俺たちアルトリア騎士団・十二番隊がシャルロッテ第二王女の下についているように、ほかの部隊もそれぞれ別の継承者の下についている。

 一人の継承者が協力しないといえば、単純計算で三分の一以上の騎士団員に協力してもらえなくなってしまう。

 ということらしい。

 確かにアナベルの言うように絶望的状況だな。

 しかし、ふと思うのだった。

「……あれ? もしかしてそこまでの状況じゃないんじゃ……?」
「どういうことだ?」
「ん」

 俺は腰に下げていた聖剣を見せた。

「……あ、あぁ!? そういうことか! 確かにそれならいけるかもしれない!」

 聖剣には魔力を回復する能力がある。

 そして、俺は一回の魔力全解放で千匹以上のスライムを作り出すことができる。
 つまり、魔物が攻めてくる前に五万の魔物を倒せるぐらいのスライムを作り出していれば何の問題もないのだ。

「ただ、ミストがこのことを知らないわけがない。もしかしてそれ以外にも何かあるんじゃないのか?」
「うん。敵は五万の魔物だけじゃない」
「やっぱりか……」

 俺は天を仰いだ。

 ただでさえ五万を超える魔物の対処で何度も魔力欠乏症に耐えなくちゃいけないのに、まだこれ以上の難題が残っているとは……。

 もしかして俺、死ぬんじゃね?

 と内心で冗談を言っていると、アナベルがさっきの話を理解できなかったらしい。

「ど、どういうことなのだ? 私にも教えてほしい」
「端的に言うと、五万の魔物よりも厄介なのが残ってるってこと。俺にも何が敵なのかまでは分からないけど。ミストはもちろん知ってるんだろ?」
「……聖獣が四体。それが今回の襲撃で最大の敵」
「聖獣!? しかも四匹だって?」

 これはたまげた。頭がおかしくなりそうだ。
 俺もあまり詳しくは知らないが、聖獣は白虎のほかに四体しかいないSランクの魔物だ。

 名前は確か、青龍・玄武・朱雀・麒麟……だっけか。

「アルト。私は魔物について詳しくないから分からないのだが、聖獣とは何なのだ?」
「聖獣っていうのは大陸を支配している魔物で、めちゃくちゃ強い。世界に一匹ずつしかいないからほかの魔物とは比べ物にならない。そのうちの一匹を俺たちは倒したが……もう二度と戦いたくねぇって神に誓ったぐらいだ」

 そうアナベルに話したら、今の今まで一言も発してこなかったオルガが何故か詰め寄ってきた。

 ちけぇな、こいつ。

「聖獣を見たことがあるのか!? な、なぁどんなだった!?」
「どんなって言われても俺たちが倒したのは白虎だから、虎だったとしか……」
「しかも白虎……! オレ様が一番戦ってみてぇ相手だったのによぉ……」
「な、何かごめん。でもほら、他の四体と戦えるみたいだし……落ち着けって。な?」

 俺はオルガを落ち着かせて、話の続きをする。

「こうなったらやっぱり騎士団に協力してもらわないと無理なんじゃないか?」
「う、うむ……。その通りなのだが……」
「オレ様に考えがある」

 そう話に加わってきたのはオルガだ。まさか、話し合いに参加してくるとは思わなかった。

 さっきまで興奮していたのが嘘みたいだ。

「ほう? 言ってみてくれ」
「アルトリア騎士団・一番隊の副隊長――ラインハルト。相手が聖獣なら間違いなく奴は動く」
「ラインハルトか。確かに彼に協力してもらえるなら心強いとは思うが……。快く協力してくれるだろうか?」
「さあな」

 ……誰? ラインハルトって。

 アナベルとオルガの様子を見る限り、実力者のようだが……。後、名前からして男だな。

 ……そういや初めてだ。今まで女騎士にしか会ったことがなかった。

「それでミスト。今回の襲撃で注意しないといけないことはそのほかにないのか?」
「ない……と思う」
「珍しいな。ミストが断言しないなんて」
「ボクにだって知り得ない情報もあるんだ」
「そうか。……ならアナベル、早く王都に戻ろう。時間が惜しい」

 ミストから聞き出せる情報はこれ以上ないみたいだ。
 それなら早く帰って準備をした方がいいと、俺はアナベル提案した。

 ミストの情報ではもう66時間しか残されてない。
 つまり、三日も残されていないってことになる。

「ああ、そうだな」

 アナベルは冒険者ギルドから出る。
 ノエルやオルガたちもその後ろに続く。

「じゃあ、またなミスト」
「……うん」
「あ、そうだ。お前にこれを預けておく」
「スライム……?」
「もし俺たちが帰った後で新しい情報を手に入れたら、スライムを使って俺に情報を伝えてくれ。じゃあな!」

 そう最後に詰め込んで、俺は冒険者ギルドから出た。

 さあこれから忙しくなるぞ。王都に戻ったら修行だ。
 まだ未完成のあの技を早く完成させないと……!
 

「ハズレスキル【魔物生産】は倒した魔物を無限に作り出せて勝手に成長するチートスキルでした!〜友達だった男にパーティー追放されたけど女だらけの騎士団に雇われたのでストレスフリーなスライム無双を始めます!〜」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

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