ハズレスキル【魔物生産】は倒した魔物を無限に作り出せて勝手に成長するチートスキルでした!〜友達だった男にパーティー追放されたけど女だらけの騎士団に雇われたのでストレスフリーなスライム無双を始めます!〜

霜月琥珀

13話 女騎士との決闘が始まりました その2

 いや、違う――ッ! これは……! 錯覚だ。

 実際には気迫で炎を押し返されているだけだった。
 
 何なんだ、この技は!

 スライムが守ってくれていたからよかったものの、生身だったら吹き飛ばされて終わっていた。

 ……ヤバいな。正直言うと甘く見ていた。

 序列十位の強者とはいえ、これで決着だと思っていたが……その名は伊達じゃないってことらしい。

 俺はスライムで防御するのをやめて、四匹一組で攻撃するよう命令する。

 ……さて、ここからどうしようか。

 魔力はまだ八割程度残っているが……。
 さっきの攻撃より高いダメージを出すなら、もう接近する以外にない。

 なら。

「オルガ! お前ヤバいよ! それでも女か!」
「ハッ! 戦いに男か女かなど関係はない。それにオレ様は女であることなど捨てているッ!」
「確かにな。女でも強い奴は沢山いる。だが、お前は女だ。お前がどう思っていようとそれは覆らない! 俺がお前に勝って、それを証明してやる!」
「やれるものならやってみやがれ!」

 ……まずは第一段階をクリア。

 スライムたちのお陰で座標を掌握する時間を稼げた。
 というか、動き回りながら俺と会話するってどれだけ余裕なんだ。息なんか全く切らしていなかった。

 こんなヤバい奴、どうすれば倒せるのか。
 一応、最終手段の前準備を終わらせたが……。
 しかし、これを使えば俺は魔力欠乏症でぶっ倒れてしまう。

 だから、次の攻撃で何とか仕留めたいところだ。
 そのためには何とかしてオルガに近づきたい。

 だが、ただ近づけばいいってわけじゃない。

 俺は一発でも攻撃を喰らえばダウンしてしまうから、無傷でオルガの懐に入る必要があるだろう。
 そして次に、オルガの弱点に正確かつ高威力の攻撃を叩き込まなければならない。

 俺的には後者の方が難しい。

 あの技は少しでも体勢が悪いと威力が半減してしまううえに、攻撃範囲が拳ほどしかない。
 その狭い攻撃範囲で、弱点をつけるのかどうか……。

 まあ、悩んでいても仕方がない。

 俺は攻撃の前準備として手のひらにスライムを作る。
 これは防御には使わない。接近する側に回ったら、スライムでの防御はどのみち間に合わないだろうからな。

 ……よし、やるか。

 俺は覚悟を決めて、オルガに近づく。

「ハッ! その様子を見るに、何かを仕掛けてくる気満々だなッ!」
「あぁ。でないと、わざわざ近づきはしない。これで決着をつける気だ」
「つまり次の攻撃がお前の最大威力の攻撃ってわけか――ッ! 受けて立つ。かかってこい、アルトッ!」
「行くぞオルガ! これで終わりだ!」

 そう意気込み、俺はオルガに最接近する。

 だが、このままではカウンターを喰らって終わるだろう。

 だから俺はオルガに攻撃し続けてくれているスライムと感覚を共有し、初級火属性魔法――ファイアボールで牽制し、その隙を突く。

「――魔力纏い!」
「なっ――身体強化だとッ!?」

 どうやらオルガは俺が身体を強化をしてくるとは思ってなかったらしい。
 まあそれもそうだろう。身体強化魔法が使えるなら、初めから使ってくると思ってもおかしくないからな。

 だが、そのお陰でオルガの懐に入ることができた。
 しかも体勢もそれなりにいい。足に力も入るし、腕も振り切れる。

「これで終わりだ! 喰らいやがれ!」

 ――ファイア・インパクト。

 これが俺の出せる最強の攻撃。
 初級の火属性魔法――ファイアボールを最大出力で発動させ、ゼロ距離で相手の腹部に叩き込む技だ。

 ただでさえ高威力なのに、今の俺は身体を強化している。威力は申し分ないと思う。

 ゆえに生身だと俺にも反動がきてしまう諸刃の剣。
 だからこそ俺は手のひらにスライムを作っておいた。
 これで俺に跳ね返ってくる衝撃や熱を打ち消す――または緩和してくれるだろう。

「――――ッ?」

 俺は……これで決着だと思った。

 だが。

「効いたぜアルト……。やっぱりお前は最高だ――ッ!」

 オルガはピンピンしていた。まともに食らったはずなのになんでッ!
 わずかに火傷の後はあるが、大したダメージにはなっていないらしい。

 俺は動揺を隠せなかった。

「くっ……!」

 ならもうこれしかない!

 俺は最終手段のトリガーを引いた。

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