ハズレスキル【魔物生産】は倒した魔物を無限に作り出せて勝手に成長するチートスキルでした!〜友達だった男にパーティー追放されたけど女だらけの騎士団に雇われたのでストレスフリーなスライム無双を始めます!〜
8話 生まれて初めての王都にやってきました
ガタゴトと長い時間を馬車に揺られ、俺たちはアルトリア王国の王都――ベルセルグに到着した。
俺は王都からそれなりに離れた村に住んでいたし、冒険者時代も来たことがなかったため、今回が初めてということになる。
だが、大したことはなかった。
王都に暮らしている住民の衣服も俺が普段着ている物と左程変わらないし、街並みだってどこかで見た景色だ。
沢山の人が行き交い、沢山の出店が開かれていてとても活気が溢れている大通りも。
明らかに浮浪者だと分かるお爺さんや痩せ細っている子どもがいる路地裏も。
俺は知っている。今までそのような街を見てきた。
結局はどこの街にも貧富の差はあるってことか。
想像し得ない風景を期待していたから、少し残念な気分になった。
しかし、それでも王城は圧倒的な存在感を誇っていた。
特に異様なのはあの高さ。天にまで迫りそうな勢いで伸びている。正直、度肝を抜かれた。
流石はこの国のトップが住まう建物だ。これだけでどれだけの権威があるのかが少しは窺えるというもの。
まあ俺は王族だからといって、変に畏まることはしない。その方が不自然で失礼だと思うからだ。
だから俺は自然体のまま接しようと思う。
とはいえこれはあくまでも自論で、敬語を使えと言われれば慣れない敬語で話すつもりだ。
というのは置いておいて、どうやら俺のことを勇者だと抜かしやがったシャルロッテという人物はアルトリア王国の第二王女らしく、王城で待機しているらしい。
つまり俺はこれから王城に足を踏み入れる……のだと今の今まで思っていたのだが。
「なぁ、アナベル。ここってどこなんだ? 早く王城に向かった方がいいんじゃないのか?」
俺たちは今、王城とは全く関係のない建物にいる。
さっき変に畏まることはしないとか言ってた俺が言うのもおかしな話だが、待たせるのはマズイんじゃないか?
しかし、そう思っているのは俺だけらしい。アナベルとノエルは焦っているようには見えなかった。
もしかしてシャルロッテという王女は、王族なのに偉そうにしてないのか?
冒険者時代に貴族と会ったことがあるけど、かなり横暴でぶん殴りたくなるぐらいだったのに……。
そう思っていると、さっきの質問にアナベルではなくノエルが答えてくれた。
「ここは私たち――アルトリア騎士団に与えられている宿舎。……と言ってもここは旧・宿舎で、私たち十二番隊しか使っていませんけどね。アルトさんをここに連れて来た理由ですが、寝間着から正装に着替えてもらうためです」
ふむ。なるほど。確かに王女に会うのなら、流石にパジャマのままというのはいけないか。
まあ、俺が寝間着のままなのは無理矢理連れ出したこいつらのせいだけどな。
つまり、こいつらが悪い。
というのはさておき、ここは騎士団の宿舎なのか。
旧・宿舎と言っていたけど掃除が行き届いてるのか、綺麗だな。わざわざ移動する理由が見当たらない。
何かそうしなければならない理由でもあったのだろうか……。
まあどうでもいいか。俺には関係ないし。
そんなことよりも。
「正装かぁ。俺、一度着たことあるけど似合わなすぎて笑われたんだよなぁ」
「そうなんですか? 確かにアルトさんは着るというより、着られそうな感じではありますけど、笑われるほどではないと思いますよ」
「え? もしかして俺のこと馬鹿にしてる?」
「していませんよ?」
いーや、絶対馬鹿にしてるね。平然を装っていても、どうせ心のうちでは笑ってるに違いない。
まあカインほどではないだろうけどな。
あいつは笑いすぎて転げ回っていた。
あのときは正直ドン引きした。
どんだけ笑ってんだよって。
そんな嫌な記憶を思い出していると。
「着いたぞ。この部屋にキミの正装を用意しているから着替えてくるといい」
立ち止まったアナベルが言ってきた。
「分かった」
俺はそう返事をして、更衣室だと思われる部屋のドアを開けた。
すると、その中にはアナベルとノエルの同僚と思われる女騎士がいて、俺を品定めするために近づいてくる。
そして、彼女たちはこのようなことを言ってくるのだった。
「ほう? 君がシャルロッテ様が言っていたという勇者か。……ふむ。想像していたより、遥かに頼りない」
「え~、そうかな? カレン的には可愛かったからOK! 特にその寝癖がキュートで好みかな!」
「わ、私も優しそうな男の人でいいと思います……」
俺は王都からそれなりに離れた村に住んでいたし、冒険者時代も来たことがなかったため、今回が初めてということになる。
だが、大したことはなかった。
王都に暮らしている住民の衣服も俺が普段着ている物と左程変わらないし、街並みだってどこかで見た景色だ。
沢山の人が行き交い、沢山の出店が開かれていてとても活気が溢れている大通りも。
明らかに浮浪者だと分かるお爺さんや痩せ細っている子どもがいる路地裏も。
俺は知っている。今までそのような街を見てきた。
結局はどこの街にも貧富の差はあるってことか。
想像し得ない風景を期待していたから、少し残念な気分になった。
しかし、それでも王城は圧倒的な存在感を誇っていた。
特に異様なのはあの高さ。天にまで迫りそうな勢いで伸びている。正直、度肝を抜かれた。
流石はこの国のトップが住まう建物だ。これだけでどれだけの権威があるのかが少しは窺えるというもの。
まあ俺は王族だからといって、変に畏まることはしない。その方が不自然で失礼だと思うからだ。
だから俺は自然体のまま接しようと思う。
とはいえこれはあくまでも自論で、敬語を使えと言われれば慣れない敬語で話すつもりだ。
というのは置いておいて、どうやら俺のことを勇者だと抜かしやがったシャルロッテという人物はアルトリア王国の第二王女らしく、王城で待機しているらしい。
つまり俺はこれから王城に足を踏み入れる……のだと今の今まで思っていたのだが。
「なぁ、アナベル。ここってどこなんだ? 早く王城に向かった方がいいんじゃないのか?」
俺たちは今、王城とは全く関係のない建物にいる。
さっき変に畏まることはしないとか言ってた俺が言うのもおかしな話だが、待たせるのはマズイんじゃないか?
しかし、そう思っているのは俺だけらしい。アナベルとノエルは焦っているようには見えなかった。
もしかしてシャルロッテという王女は、王族なのに偉そうにしてないのか?
冒険者時代に貴族と会ったことがあるけど、かなり横暴でぶん殴りたくなるぐらいだったのに……。
そう思っていると、さっきの質問にアナベルではなくノエルが答えてくれた。
「ここは私たち――アルトリア騎士団に与えられている宿舎。……と言ってもここは旧・宿舎で、私たち十二番隊しか使っていませんけどね。アルトさんをここに連れて来た理由ですが、寝間着から正装に着替えてもらうためです」
ふむ。なるほど。確かに王女に会うのなら、流石にパジャマのままというのはいけないか。
まあ、俺が寝間着のままなのは無理矢理連れ出したこいつらのせいだけどな。
つまり、こいつらが悪い。
というのはさておき、ここは騎士団の宿舎なのか。
旧・宿舎と言っていたけど掃除が行き届いてるのか、綺麗だな。わざわざ移動する理由が見当たらない。
何かそうしなければならない理由でもあったのだろうか……。
まあどうでもいいか。俺には関係ないし。
そんなことよりも。
「正装かぁ。俺、一度着たことあるけど似合わなすぎて笑われたんだよなぁ」
「そうなんですか? 確かにアルトさんは着るというより、着られそうな感じではありますけど、笑われるほどではないと思いますよ」
「え? もしかして俺のこと馬鹿にしてる?」
「していませんよ?」
いーや、絶対馬鹿にしてるね。平然を装っていても、どうせ心のうちでは笑ってるに違いない。
まあカインほどではないだろうけどな。
あいつは笑いすぎて転げ回っていた。
あのときは正直ドン引きした。
どんだけ笑ってんだよって。
そんな嫌な記憶を思い出していると。
「着いたぞ。この部屋にキミの正装を用意しているから着替えてくるといい」
立ち止まったアナベルが言ってきた。
「分かった」
俺はそう返事をして、更衣室だと思われる部屋のドアを開けた。
すると、その中にはアナベルとノエルの同僚と思われる女騎士がいて、俺を品定めするために近づいてくる。
そして、彼女たちはこのようなことを言ってくるのだった。
「ほう? 君がシャルロッテ様が言っていたという勇者か。……ふむ。想像していたより、遥かに頼りない」
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