ほおずきの花

きゅも

第三話 お友達

 さあついた。ここがフロス学園。今日から私が通う学校。校門の前で立ち止まり、縦にも横にも、大きく広がった校舎を見て少し震える。こんなすごいところでちゃんとやっていけるだろうか。周りに馴染めるだろうか。そんな不安が頭をよぎる。だが、それら全てを振り払い、
(大丈夫、昨日不安はないように準備したんだから!)
自分を励ますように頬を叩く。
一歩踏み出すともうそこは学園の中。周りには、たくさんの生徒がいて、紅い髪の男の子や、白い髪の女の子。緑の瞳の男の子に、青い瞳の女の子。本当にいろいろな種類の花たちが集まっている。

学園の敷地に入ると、そこはもう別の世界のように感じられた。
でもそんなことを考えている暇はない。玄関へと足早に向かう。
玄関には、数人の教師がたっていた。彼らにも挨拶を済ませ、下駄箱に靴を置く。

C組の教室に向かうと机は半分ほど埋まっていた。
友達作りをするうえでファーストコンタクトは重要。自分の席を確認して、そちらに向かう。隣は男の子。紅い髪と緑の瞳を持った寡黙そうな男の子だった。髪の色や瞳の色、そして、誰もが足を止めて見惚れてしまうであろう美しい風貌から彼が薔薇族であることはすぐにわかった。薔薇族は数ある花の中でも特に美しいとされている花だ。
「こんにちは!名前を聞いてもいいですか?」
彼はこちらを向くと
「初めまして。僕はカーディだよ。」
と返してくれた。感じも良く、優しそうなしゃべり方だ。
「君はなんて言うの?」
ミスだ。相手に名前をきくときはまず自分が名乗らないと失礼だ。
「あっ!ごめんなさい。ほうです!ほう!ほうずき族のほうです。」
「そうなんだ。よろしくね、ほうさん。」
入学してうまく人と付き合えるか不安だったが、優しそうな彼とはなんとかやっていけそうだ。

コメント

コメントを書く

「学園」の人気作品

書籍化作品