9月9日11時

みゆたろ

俺と護はいつもの喫茶店で、打ち合わせをしていた。
仄かな灯りに照らされた店内で、タバコに火をつけながら。

「とりあえず、現時点での不明点はーー?」

口火を切るように、俺が言う。
彼女たち三人はなぜ死を選んだのか。

それも投身自殺と言う大勢の人に迷惑がかかる方法を選んだのか。

その理由はなんだったのか。

「この三点だ。そこを調べるには、沢口望、西島佳子、田中宏美ーー彼女らの共通点を知る必要があるな」

護も言っている。

「山梨に知り合いのジャーナリストっているか?ーー俺いないんだよ」

「それなら、弟がいるぜ?」
護が力強く頷いた。

「協力してくれるかな?」

心配だった。
俺は思わず、そう聞いていた。

「大丈夫だろう。山梨の件は敦に調べてもらおう!」

思い立ったらその時、って感じで、すぐさまケイタイを取り出すと、護は敦に電話をかける。
2コール目で敦が受話器を上げた。

「もしもし、兄さん?」

「久しぶりだな。元気か?」

「あぁ」

そして浩司と今話していた事件の概要を話し、護は敦に協力を要請する。
受話器越しの声が、不服そうに言った。

「でも、これって警察が自殺として処理してんだろ?調べるだけ無駄じゃね?」

「それがおかしいんだよ!自殺をするような原因も見つからないんだーー相手は女子高生だぞ?しかも、投身自殺なんて簡単には出来ないんだ。それなのに、、」

護が言った。

「ーーまぁ、な」

敦は小さな声で同意する。
無言の時が流れた。
すると「わかった!調べてみよう!」と協力に応じてくれた。


コメント

コメントを書く

「現代ドラマ」の人気作品

書籍化作品