【書籍化】王宮を追放された聖女ですが、実は本物の悪女は妹だと気づいてももう遅い 私は価値を認めてくれる公爵と幸せになります【コミカライズ】
エピローグ ~『幸せなスローライフ』~
エピローグ『幸せなスローライフ』
クラリスの誘拐事件から半年近くが経過した。再び平穏な日々を取り戻したクラリスは、開墾地で農作物に囲まれていた。
「今年の野菜も素晴らしい出来栄えですね」
クラリスの回復魔法によって、元は瘴気の湧く汚れた土地が作物を育てることのできる肥えた農地へと浄化された。
霜の浮かんだトマトを見つめながら、因縁深い人たちのことを思い出す。
妹のリーシャは相変わらず社交界の花として持て囃されていた。悪女との噂が流れても、外見の美しさと、男を手玉に取る手練手管が、悪評のハンデを覆したそうだ。
最近はお気に入りの男たちに貢がせ、贅沢三昧とのことだ。彼女らしい充足した日々を過ごしているとのことだ。
父親であるバーレンはアルトに敗れたことで気が抜けたとのことだ。上昇志向をなくした彼は、無気力に領地経営を続けているが、余計なことをしなくなったおかげで、皮肉にも評判が改善しているとのことだ。
元婚約者であり、宿敵だったハラルドは馬鹿王子の異名を払拭するほどの頑張りをみせているそうだ。クラリスを惚れさせると、政務に力を入れる彼は、王国の宝とまで評されるようになった。
そんな彼の元には他国からお見合いの話が数え切れぬほど届いているそうだが、すべて断っているそうだ。クラリス一筋を貫き、一週間に一度は贈り物と恋文が送られてくる。
「ハラルド様も本質は良い人なのです」
自分勝手で、子供のように感情的だが、それは純粋だからこそ周囲からの影響を受けやすいだけなのだ。
しっかりと自分の意思を持てるようになれば、素晴らしい王子になる。
「だってアルト様と兄弟なのですから」
視線の先、手を振る黒髪黒目の美丈夫へと駆け寄る。色とりどりの花に囲まれて、手を振る彼の隣に立つと、そっと手を握る。
「綺麗な花畑ですね」
「瘴気の湧く汚れた沼地だったとは信じられないな……」
アルトの瞳に過去を想起するような感情が浮かぶ。彼もまた沼地と同じように醜い容貌だった。それをクラリスに救われ、花畑のように美しい姿へと変貌したのだ。
「君は私を変えてくれた。いや、私だけではない。領地で暮らす人々を救ってくれたのだ。君が……いや、君こそが私の聖女だったのだ」
「ふふふ、救われたのは私も同じです。婚約を破棄されて、行き場のなかった私に救いの手を差し伸べてくれました。アルト様には、本当に感謝しているのですよ」
「私たちは似た者同士だな」
「ですね♪」
花に囲まれた彼らは、互いの価値を認め合うように手をギュッと握りしめる。悪女だと宮廷を追放された聖女は価値を認めてくれる公爵と共に、これからも幸せなスローライフを過ごすのだった。
クラリスの誘拐事件から半年近くが経過した。再び平穏な日々を取り戻したクラリスは、開墾地で農作物に囲まれていた。
「今年の野菜も素晴らしい出来栄えですね」
クラリスの回復魔法によって、元は瘴気の湧く汚れた土地が作物を育てることのできる肥えた農地へと浄化された。
霜の浮かんだトマトを見つめながら、因縁深い人たちのことを思い出す。
妹のリーシャは相変わらず社交界の花として持て囃されていた。悪女との噂が流れても、外見の美しさと、男を手玉に取る手練手管が、悪評のハンデを覆したそうだ。
最近はお気に入りの男たちに貢がせ、贅沢三昧とのことだ。彼女らしい充足した日々を過ごしているとのことだ。
父親であるバーレンはアルトに敗れたことで気が抜けたとのことだ。上昇志向をなくした彼は、無気力に領地経営を続けているが、余計なことをしなくなったおかげで、皮肉にも評判が改善しているとのことだ。
元婚約者であり、宿敵だったハラルドは馬鹿王子の異名を払拭するほどの頑張りをみせているそうだ。クラリスを惚れさせると、政務に力を入れる彼は、王国の宝とまで評されるようになった。
そんな彼の元には他国からお見合いの話が数え切れぬほど届いているそうだが、すべて断っているそうだ。クラリス一筋を貫き、一週間に一度は贈り物と恋文が送られてくる。
「ハラルド様も本質は良い人なのです」
自分勝手で、子供のように感情的だが、それは純粋だからこそ周囲からの影響を受けやすいだけなのだ。
しっかりと自分の意思を持てるようになれば、素晴らしい王子になる。
「だってアルト様と兄弟なのですから」
視線の先、手を振る黒髪黒目の美丈夫へと駆け寄る。色とりどりの花に囲まれて、手を振る彼の隣に立つと、そっと手を握る。
「綺麗な花畑ですね」
「瘴気の湧く汚れた沼地だったとは信じられないな……」
アルトの瞳に過去を想起するような感情が浮かぶ。彼もまた沼地と同じように醜い容貌だった。それをクラリスに救われ、花畑のように美しい姿へと変貌したのだ。
「君は私を変えてくれた。いや、私だけではない。領地で暮らす人々を救ってくれたのだ。君が……いや、君こそが私の聖女だったのだ」
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