転機に気付け!風に乗れ!

風乃音羽

第1話 心が揺れた


私の人生で、覚えてる限りの最初の転機は、10代の時に行った、初めての海外ドイツへの旅行でした。
その当時、ドイツのダンスをやっていて、先生とともに公演旅行に行きました。
フランクフルト空港に着き、私たちがホームステイをする予定のダンス仲間たちが迎えに来てくれました。

宿泊先へ向かう車中から、ケルン大聖堂を見たときの衝撃は言葉では言い表せません。
巨大!
建物全体に施された彫刻!
美しい!
荘厳!

夜だったこともありライトアップされたその姿は圧倒的で、初めて見る、体験するときの電撃派を脳内に感じました。

心が揺れたんです。

その後の10日間、ドイツ人とのコミュニケーション、ダンスを通じての文化交流、各家庭での生活、お店や街並み、空気、全てが私にとっての刺激でした。
あっという間に過ぎた10日間でしたが、私の中に新しい芽が顔を出したのを鮮烈に覚えています。

私は京都で生まれ育ち、それなりに満足し、面白い人生を楽しんでいると思っていました。
そんな時、一つの新しい国に触れただけで、いろんな感覚や思いが芽生えたことが衝撃的でした。

もっと知りたい!
体験したい!
世界を見たい!

好奇心が溢れ出しました。

そして、思い出したのです。
わたしは、ある程度の英語でのコミュニケーションは問題ないくらいの英会話力があり、大学も英文科を選んでました。
その英語を真剣に勉強し出したきっかけは、中一の時の一つの出逢いでした。
超短期留学で、メリッサという女の子がアメリカからやって来て、私のクラスになり、隣の席になったのです。
その彼女と仲良くなって、家族の写真を見せてもらいました。
当時の留学生だから、そこそこ裕福な家庭のお嬢さんだったのでしょう。
その写真の中の家族はキラキラしていました。
大きな家を背景に芝生のお庭のプールサイドでバーベキューをしている写真。
そんな家や、自宅庭でのバーベキューパーティーなんて見たこともないし本当に憧れました。
まだ子どものわたしは、いつかアメリカに行きたいから英語は話せるようになりたい、と単純に思いました。
両親に頼んで英会話スクールに通うようになりました。
英語でコミュニケーションをとれるぐらいまでの上達が早かったのは、
「アメリカにいつか行くんだ!」
と決めていたからだと思います。

それが、メリッサのファミリーの写真の中の豊かさへの憧れ、
初めて見たシーンへの憧れから生まれた最初の人生の目標だったのかもしれません。

to be continued...

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