魔女伝〜天才魔女ヨキのリアルはちゃめちゃ人生

風乃音羽

第10話 魔女学校と色々な専門分野

ヨキのカードリーディングは、口コミで受ける人が少しずつ増えている。
お客様も、ヨキも、リーディングが終わると、とてもスッキリとした、明るい笑顔になる。
ヨキは、リーディングの回数を重ねるごとにどんどんパワーアップしていく。
一年前、末期癌だったなんて、誰も信じないだろう。

あと、二拠点として選んだカフェの方からも、アポイントが入りだした。


第二拠点に選んだカフェは、隣の県で、車で1時間のところにある。
向かう途中、ヨキは、何気ない日常会話の延長線で、こんなことをポロッと言った。

「わたし、ボストンの魔女学校出てる、認定魔女なのよね。実は、、、、
ボストンの近くのセーラムって、ウィッチタウンって呼ばれてるの。
昔、めちゃくちゃ魔女狩りが行われた場所。
それで、その償いとして、魔女が保護されてる、大切にされてる町なの。
で、魔女学校が、いくつもあるのよね。」

音羽は、次々明らかにされる、ヨキの秘密が、おかしすぎて、笑うしかなかった。
「ちょっとー、、もう、面白すぎる、、、魔女学校って、いつの話?」

ヨキも照れたように笑いながら、説明してくれた。
「アメリカの大学で、教育実習中。午前中しか、ないから、午後から、行ってたの。
専攻は、カード。とオプションコースでダウジング。
ライセンスも取れるんだよ。魔女の。
国認定か、州認定か、何かそんな感じのマジなライセンス。」

「やっぱり、カードなんだ。好きね。ふふふふふっ、、、
ダウジングは、あれよね?ペンダントみたいなのを垂らして、ユラユラするやつよね。
他にどんな専門があるの?」

「あー、魔女語喋る人とかいたよ。そういう人は、呪文とか専攻。
あとは、サイキックとかね。
まずは、みんな、全体的に色々学ぶの。
宇宙の流れやルール。
運命の輪のこと。
天体のこと。もう、これはめちゃくちゃ奥深くて難しかったな。
そして、あとは、各自、専門分野をしっかり学ぶ。」

「ハリーポッターの世界ね。まるで。」音羽は感心して聞いていた。

それにしてもヨキの人生って、本当に、類稀なる人生だ。
音羽は、自分自身も波瀾万丈な人生だったし、色々な経験をして来た。
けれど、レベルが違う振り幅の人生経験があるヨキの幼き頃からの話を、これからインタビューしていこうと、この日、決めた。

カフェに着いた。
その日、3人のアポイントが入っていた。
3名のお客様は、皆、ものすごくスッキリとした顔で出てきて、とても良かった。
今日来て良かった。と帰っていった。

ところが、ヨキは、かなり元気が無い。はっきり言って、調子悪そうだ。
食欲もないと言う。
どうしたことか、と音羽は、身体の心配をした。
でも、身体の問題ではなかった。

「わたし、出来ないことが一つあるの。
言うの忘れてた。
霊とか、死者とか、この世的でない存在の話は出来ない。
というか、それも、もちろん分かるし、リーディング出来るんだけど、それは、わたしには許可がおりてなくて、これを語ると、例えばパワーストーンのブレスレットが弾け飛んだり、何か持ってるものが壊れたり、ものすごく身体がキツくなったりするの。
トウコさんは、その許可がおりてるから、すごいのよ。
管轄外なのよね。わたしは。

でも、今日のお客様の一人が、ご主人を亡くされてて、、、、
どうしても、ご主人が、今どういう風に自分をあの世から思ってくれてるのか、知りたい!っていう一点張りで。
しかも、そこにご主人、来てるのわかったから、、、、
その想いの強さを感じたから、見てあげたくて、覚悟して、カードを切った。
ご本人は、感動されて号泣されて、わたしも、共感して泣いちゃって。
でも、やっぱり、やってはダメだったみたい。
めちゃくちゃしんどい!
しばらく寝るね。」

そのまま、約3時間、ヨキは車の中で眠り続けた。

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