誇り高い義妹が悪役令嬢呼ばわりされて国外追放となった、俺が黙っているとでも思ったのか、糞王太子。
第66話:初夜
「エドアルド、何を緊張されておられるのですか。
幾人もの貴婦人を相手に浮名を流しておられたではありませんか。
練達の大人の男性として、王太女殿下を導いて差し上げないといけませんよ」
幾ら長年仕えて来て親しいとはいえ、緊張して心臓が口から出そうになっている主人に足して、言っていい事と悪い事がある。
思わず怒声をあげそうになったが、必死でこらえる。
初夜の緊張のあまり、普段絶対にやらない侍女に対する八つ当たりなど、絶対にやれる事ではない。
それでも、恨みがましい視線だけはどうしようもなかった。
だがそれがまた侍女達には面白いようで、堪え切れずに笑みを浮かべる奴がいる。
それも一人二人ではなく、侍女の半数にあたる二〇人ほどが笑みを浮かべている。
確かに多くの貴婦人とベッドを共にしたが、全て主家のためだった。
相手も自家の為に俺とベットを共にしたのだ。
互いに男女に魅力を感じていたわけではない。
少なくとも俺はそうだし、相手もどうだったと思う、多分。
貴族が家を護るため繁栄させるため、情報を持った者と寝るのは普通の事だ。
潔癖ゆえにやらない者も極稀にいるが、むしろ変わり者と思われるくらいだ。
だから、そう言う経験があっても、心から愛する人とベットを共にするのは初めてなのだ。
それで緊張するなという方が無理だろう。
しかも、情報収集と根本的に違うのが、王侯貴族の正式な夜の作法だ。
家を継ぐ正室との営みは、血の継承が絶対条件だ。
いや、それは認知する心算の側室や愛妾との営みも同じ条件となる。
当主とその相手が共謀して、血の継承のない子供が生まれる事を絶対に許さない。
どちらかが騙して、血の継承のない子供を産ませる事も絶対に許さない。
両家から見届け人が出て、ちゃんと地の継承が行われたか確かめるのだ。
だから正式な夫婦であろうと、思いが高まったからと野合はゆるされないのだ。
今回は、建前だけとはいえ、王家と公王家の血の継承となる。
騎士家や下級貴族家とはわけが違うのだ。
王家と公王家の下には、長年仕えてくれた譜代の貴族や騎士だけではなく、属国にしたアヴァール可汗国や、討伐して組み入れた貴族家や騎士家があるのだ。
ほんの些細な事があっても、謀叛の言いがかりに使われてしまう。
思い上がっているわけではないが、俺が生きている間は何があろうと抑え込める。
だが、マリアお嬢様と俺の子供の代になったら、何が起こるか分からない。
そうでなければ、こんな恥ずかしく情けない事を受け入れたりはしない。
両家から正見届け人が一人ずつ、副身届け人が二人ずつ、合計六人を前にして血の継承を行わなければいけないなんて、どんな周知プレーだ。
前世と今生を併せても、こんな恥ずかしい事はない。
このような羞恥の場で、マリアお嬢様に愛の言葉を囁けと言うのか。
それに、六人もの熟練侍女の前で、好きな愛し方ができるものか。
俺はAV男優じゃないんだぞ。
幾人もの貴婦人を相手に浮名を流しておられたではありませんか。
練達の大人の男性として、王太女殿下を導いて差し上げないといけませんよ」
幾ら長年仕えて来て親しいとはいえ、緊張して心臓が口から出そうになっている主人に足して、言っていい事と悪い事がある。
思わず怒声をあげそうになったが、必死でこらえる。
初夜の緊張のあまり、普段絶対にやらない侍女に対する八つ当たりなど、絶対にやれる事ではない。
それでも、恨みがましい視線だけはどうしようもなかった。
だがそれがまた侍女達には面白いようで、堪え切れずに笑みを浮かべる奴がいる。
それも一人二人ではなく、侍女の半数にあたる二〇人ほどが笑みを浮かべている。
確かに多くの貴婦人とベッドを共にしたが、全て主家のためだった。
相手も自家の為に俺とベットを共にしたのだ。
互いに男女に魅力を感じていたわけではない。
少なくとも俺はそうだし、相手もどうだったと思う、多分。
貴族が家を護るため繁栄させるため、情報を持った者と寝るのは普通の事だ。
潔癖ゆえにやらない者も極稀にいるが、むしろ変わり者と思われるくらいだ。
だから、そう言う経験があっても、心から愛する人とベットを共にするのは初めてなのだ。
それで緊張するなという方が無理だろう。
しかも、情報収集と根本的に違うのが、王侯貴族の正式な夜の作法だ。
家を継ぐ正室との営みは、血の継承が絶対条件だ。
いや、それは認知する心算の側室や愛妾との営みも同じ条件となる。
当主とその相手が共謀して、血の継承のない子供が生まれる事を絶対に許さない。
どちらかが騙して、血の継承のない子供を産ませる事も絶対に許さない。
両家から見届け人が出て、ちゃんと地の継承が行われたか確かめるのだ。
だから正式な夫婦であろうと、思いが高まったからと野合はゆるされないのだ。
今回は、建前だけとはいえ、王家と公王家の血の継承となる。
騎士家や下級貴族家とはわけが違うのだ。
王家と公王家の下には、長年仕えてくれた譜代の貴族や騎士だけではなく、属国にしたアヴァール可汗国や、討伐して組み入れた貴族家や騎士家があるのだ。
ほんの些細な事があっても、謀叛の言いがかりに使われてしまう。
思い上がっているわけではないが、俺が生きている間は何があろうと抑え込める。
だが、マリアお嬢様と俺の子供の代になったら、何が起こるか分からない。
そうでなければ、こんな恥ずかしく情けない事を受け入れたりはしない。
両家から正見届け人が一人ずつ、副身届け人が二人ずつ、合計六人を前にして血の継承を行わなければいけないなんて、どんな周知プレーだ。
前世と今生を併せても、こんな恥ずかしい事はない。
このような羞恥の場で、マリアお嬢様に愛の言葉を囁けと言うのか。
それに、六人もの熟練侍女の前で、好きな愛し方ができるものか。
俺はAV男優じゃないんだぞ。
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