誇り高い義妹が悪役令嬢呼ばわりされて国外追放となった、俺が黙っているとでも思ったのか、糞王太子。
第21話:無邪気なお願い
「マリア王太女殿下、よくおいでくださいました。
孤児も職員も、殿下においでいただき感激しております」
「何も気にする事はありませんよ、孤児院長。
公国の王太女として当然の事をしているだけです。
何か困っている事はありませんか。
公国の予算にも限りがあるので、全てを叶えて差し上げる事はできませんが、わたくしにできる事なら、何でもして差し上げます。
だから、遠慮せずに、なんでも相談してください」
「有り難き幸せでございます、マリア王太女殿下。
欲を言えば限りはありませんが、王国にいた頃と比べれば天国のようで、どうしてもやっていただかなければいけない事はありません。
子供達は飢える事なく毎日三度の食事をする事ができています。
貴族様のように、専門の先生に学問や武術を学ぶことができます。
優秀な成績を収めれば、差別されることなく役人として採用していただけます。
これ以上欲深い要求をして、天罰を受ける訳には参りません」
「そう言っていただけると、公王家の者としてうれしく思います。
ですがその全てはエドアルドお義兄様が成し遂げられた事です。
私も何かお手伝いしたいのですが、何も要求がないというのは困りましたね」
「王太女殿下、僕はお願いがあるよ」
「マルコ、失礼な事を口にしてはいけません」
「いえ、いいのですよ、気にしないでください、孤児院長。
貴男はマルコというのね」
「うん、そうだよ、僕はマルコっていうんだ。
赤ちゃんの時に孤児院の前に捨てられていたんだって。
だからマルコていう名前も、エドアルド様がつけてくれたんだ」
「そう、マルコの名前はエドアルドお義兄様が付けられたの、よかったわね」
「うん、名前のあった子や、他の人が名前を付けた子に羨ましいって言われるよ」
「そう、そうなのね、それで、マルコのお願いを教えてくれるかしら」
「あのね、孤児院のみんなが不安に思っている事があるんだ」
「いけません、マルコ、もう止めなさい、エドアルド殿下に怒られますよ」
「止めてはいけません、孤児院長。
孤児達が不安に思う事を放置しておくわけにはいけません。
マルコ、わたくしはエドアルド様の義妹だから、何を話しても大丈夫よ。
エドアルド様がマルコを怒る事はないわ。
だから、孤児院のみんなが不安に思っている事を教えてちょうだい」
「あのね、あのね、みんな、エドアルド様が他所の国に行っちゃうのが不安なんだ。
先生達が陰で言っているのを聞いちゃったんだ。
エドアルド様が他所の国にお婿さんに行っちゃうかもしれないって。
そんな事になったら、孤児院を護ってくれる人がいなくなるかもしれないって。
お姉ちゃん、エドアルド様にお願いしてよ。
僕達を置いて他の国に行かないようにお願いしてよ。
お願いだよ、お姉ちゃん」
孤児も職員も、殿下においでいただき感激しております」
「何も気にする事はありませんよ、孤児院長。
公国の王太女として当然の事をしているだけです。
何か困っている事はありませんか。
公国の予算にも限りがあるので、全てを叶えて差し上げる事はできませんが、わたくしにできる事なら、何でもして差し上げます。
だから、遠慮せずに、なんでも相談してください」
「有り難き幸せでございます、マリア王太女殿下。
欲を言えば限りはありませんが、王国にいた頃と比べれば天国のようで、どうしてもやっていただかなければいけない事はありません。
子供達は飢える事なく毎日三度の食事をする事ができています。
貴族様のように、専門の先生に学問や武術を学ぶことができます。
優秀な成績を収めれば、差別されることなく役人として採用していただけます。
これ以上欲深い要求をして、天罰を受ける訳には参りません」
「そう言っていただけると、公王家の者としてうれしく思います。
ですがその全てはエドアルドお義兄様が成し遂げられた事です。
私も何かお手伝いしたいのですが、何も要求がないというのは困りましたね」
「王太女殿下、僕はお願いがあるよ」
「マルコ、失礼な事を口にしてはいけません」
「いえ、いいのですよ、気にしないでください、孤児院長。
貴男はマルコというのね」
「うん、そうだよ、僕はマルコっていうんだ。
赤ちゃんの時に孤児院の前に捨てられていたんだって。
だからマルコていう名前も、エドアルド様がつけてくれたんだ」
「そう、マルコの名前はエドアルドお義兄様が付けられたの、よかったわね」
「うん、名前のあった子や、他の人が名前を付けた子に羨ましいって言われるよ」
「そう、そうなのね、それで、マルコのお願いを教えてくれるかしら」
「あのね、孤児院のみんなが不安に思っている事があるんだ」
「いけません、マルコ、もう止めなさい、エドアルド殿下に怒られますよ」
「止めてはいけません、孤児院長。
孤児達が不安に思う事を放置しておくわけにはいけません。
マルコ、わたくしはエドアルド様の義妹だから、何を話しても大丈夫よ。
エドアルド様がマルコを怒る事はないわ。
だから、孤児院のみんなが不安に思っている事を教えてちょうだい」
「あのね、あのね、みんな、エドアルド様が他所の国に行っちゃうのが不安なんだ。
先生達が陰で言っているのを聞いちゃったんだ。
エドアルド様が他所の国にお婿さんに行っちゃうかもしれないって。
そんな事になったら、孤児院を護ってくれる人がいなくなるかもしれないって。
お姉ちゃん、エドアルド様にお願いしてよ。
僕達を置いて他の国に行かないようにお願いしてよ。
お願いだよ、お姉ちゃん」
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