誇り高い義妹が悪役令嬢呼ばわりされて国外追放となった、俺が黙っているとでも思ったのか、糞王太子。

克全

第20話:不平不満

「つまらん、つまらなさ過ぎるぞ、エドアルド殿下。
 何故フランク王国は戦争にせずに賠償金を払うという。
 何故エドアルド殿下は交渉に応じる。
 問答無用で攻め込めばいいではないか、俺が先方を務めるぞ」

「アウフィディウス・ロマリオ王家とローマ帝国を相手に開戦しているのだ。
 フランク王国とまで開戦するわけにはいかんよ」

「王家など、エドアルド殿下がその気になればい何時でも滅ぼせるではないか。
 ローマ帝国など、海にいるうちに全滅させられるのだろう。
 フランク王国との戦いくらい、俺にやらせてくれてもいいではないか」

「ソニア夫人やグレタ夫人から説明されていないのか」

「エドアルド殿下に聞けと言われた」

 頭の中まで筋肉のカルロに説明するのが面倒だったのか。
 それとも、何を言っても、どう説明しても、カルロが理解できなかったのか。
 いや、二人では断言できない事があったからだな。
 俺の優先順位次第で変わる方針までは、あの二人でも予測できないからな。
 カルロとウディネ伯爵は、数少ないどうしても味方に引き留めないといけない人材だから、ここは面倒でもちゃんと説明して納得してもらおう。

「戦わないと言っている訳ではない。
 戦う順番があるから、しばらく待てと言っているだけだ」

「クッククククク、戦わせてくれると断言するのだな。
 何時だ、いつ戦わせてくれるのだ、エドアルド殿下」

「王家は国王と王太子を殺し合わせて、生き残った方を滅ぼす。
 マリアお嬢様をあれほど苦しめ恥をかかせたのだ、楽には殺さない。
 親子夫婦で骨肉の争いをさせた後でぶち殺してやる。
 もし陰で繋がって時間稼ぎをするようなら、直ぐに攻め滅ぼす。
 それまで訓練しながら待っていろ」

「ではフランク王国とはいつ戦わせてくれるのだ」

「フランク王国では分王国どうしてで骨肉の争いをしている。
 姉を殺されたアウストラシア分王国のブルンヒルド王母が、ネウストリア分王国のキルペリク1世を増悪している。
 キルペリク1世はフランク王国の統一王になろうとして、常にアウストラシア分王国に攻撃を仕掛けている。
 今回マリアお嬢様に不埒なマネをしようとしたのは、キルペリク1世が最初の王妃との間にもうけた子で、母国では現王妃に命を狙われていたのだ。
 公国の戦力を手に入れて、現王妃と異母弟達を皆殺しにしたかったのだ」

「エドアルド殿下、俺に細かい説明をしてくれても分からんぞ。
 俺が知りたいのは何時戦えるかだけだ」

「半年だ、半年も待てば、王家との戦いもローマ帝国との戦いも決着がつく。
 王家を滅ぼしたら、プロヴァンスからアキテーヌ、アキテーヌからネウストリアに攻め込むから、それまでは訓練をしていろ」

「つまらん、訓練だけではつまらんぞ、エドアルド殿下。
 剣の相手をしてくれ、エドアルド殿下が訓練の相手をしてくれるのなら、ぞくぞくする訓練ができる」

「分かった、俺も適度な訓練は必要だからな。
 政務の合間でよければ相手してやる」

フランク王国
 アウストラシア分王国
  シギベルト1世
  ブルンヒルド:王母・西ゴート王国第3王女
   クロドシンド
   キルデベルト2世:第2代アウストラシア分王国王
   テウデリク:
   シギベルト:
 ブルグント分王国
  グントラム
   キルデベルト2世:養嗣子
 ネウストリア分王国
  キルペリク1世
  アウドヴェラ:最初の王妃
   メロヴィク:フレデグンドの刺客に殺される
   ダゴベルト:
   カリベルト:
  ガルスヴィント:西ゴート王国第2王女、夫に謀殺される
  フレデグンド:夫と共謀してガルスヴィントを謀殺
   クローヴィス
   テウデバル
   クロタール

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