話題のラノベや投稿小説を無料で読むならノベルバ

水月のショートショート詰め合わせ

水月

目、舌、鼻、耳の麒麟巡り


聳孤―ショウコ―目

まずは、クリスタルの海に飛び込もう。水晶の丸いゲートを、光と一緒に通り抜けて。虚像と実像が曖昧になる反射の海を潜行する。海底についても、潜っていくんだ。

底の底では地下鉄が走っている。地下鉄に掴まって、一気に上昇してごらん。振り落とされないように、気を付けて。

炎駒―エンク―舌

一面の花の蕾畑に、まず驚かされるだろう。蕾は決して開かない。美味しい電気信号を送ることに忙しいのだ。蕾たちは毎日、美味という満足の花を咲かせる。

そして、蕾たちを乗せた大地は波のように自在に動き、言葉の音を作る。ベルトコンベアのように、必要な荷物を喉の滝に送り込む。

トランポリンのような大地で跳ねて遊んだら、恐れず滝壺に落ちていくんだ。滝壺のホームから地下鉄に乗れば、帰れるから。

索冥―サクメイ―鼻

ヒューヒューという音を立てて、身体の奥の風船に空気を送る洞窟。暗い洞窟だけど、辺り一面に絨毯が敷いてあるから、転んでも平気だ。

勇気を出して進めば、頭上から紐状のランプがたくさん吊るされている場所がある。そこで少し休憩。時々強く光るそのランプは、君を安心させるだろう。

そして、さらに奥に進めば、蝶々型の小さい穴と出会う。そこが終点の目印。後は大きな滑り台で一気に降りていくだけだ。あの滝壺の地下鉄のホームまで。

甪端―ロクタン―耳

最後は大きなラッパの管を通っていこう。匍匐前進ほふくぜんしんで細い管を進めば、巨大な太鼓が出迎えてくれる。その太鼓は音を鳴らさない。回収した音をひたすら脳に伝えているんだ。

陽気な太鼓に見送られながら、さらに奥に進もう。

奥の部屋で会えるのは、大きな大きな巻貝だ。巻貝は太鼓が送ってくる音の震えを、小さな電気信号に変えている。その信号は地下鉄に乗って上がっていく。

君も、その地下鉄に乗せてもらうといい。

これで、僕たち麒麟4兄弟のヒューマンツアーは終わり。

帰ってきたら、感想を聞かせてほしい。

そして、君の素晴らしい目と鼻、舌と耳を大切にね。

「水月のショートショート詰め合わせ」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「SF」の人気作品

コメント

コメントを書く