水月のショートショート詰め合わせ

水月suigetu

アルノ・ヴェルデの言葉

モニター一面のターコイズブルーに、深い息を吐く。厄介なエラー表示。そろそろ新しい機材が必要だ。ヘッドフォンやゴーグルを外して、席を立つ。

エレベーターに乗って、展示スペースに降りた。



丸いソファに座って、私をぐるりと囲むように並ぶ奇妙な岩石を眺める。この古代言語研究所の創設者の趣味らしい。特に石に興味はないが、こうしていると何となく心が休まるのだ。

ぼうっとしていると、左端の緑っぽい岩が一瞬、光ったような気がした。照明のせいか、眼精疲労のせいだろう。そう思いながらも岩の方に近づく。

重なる幾何学模様。見事な緑のグラデーション。イタリアの、とても貴重な大理石らしい。なぜ、今までよく見ておかなかったのかと後悔するほど、綺麗だ。

一瞬、またスライスされている大理石が光った。無数に走る天然の幾何学模様の線が淡く光っている。同時に、微かな音が聞こえた。目を閉じて、音に集中する。人の声、のようだ。



「僕たちの言葉では嘘がつけない」

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