捨てられおっさんと邪神様の異世界開拓生活~スローライフと村造り、時々ぎっくり腰~
武具精霊
噂をすれば影、という。
噂をしているとまさかの御本人登場とか、そんな感じの意味だっただろうかと雄太は思い出す。
今回でいえば、昨日の昼にそんな話をしていたなあ……などと雄太は思い出す。
「ユータ、ユータ!」
自分の腹の上でジャンプするセージュに気付き、雄太はぼうっとする頭を振りながら目を覚ます。
両脇で寝ていたフェルフェトゥとベルフラットも同時に目覚め、不機嫌そうに身体を起こす。
ちなみにだが、爛れた関係などでは断じてない。健全に一緒に寝ているだけである。
特にベルフラット相手に関してはそれを強く主張したいと雄太は思っている。
「どうしたんだよ、セージュ。朝にはまだ早いぞ?」
「武具精霊を見つけたですよ!」
「武具精霊って……ああ、うん。アレか」
「ですよ!」
「ならバーンシェルの所に持っていきなさいよ……」
欠伸をしながらフェルフェトゥはセージュを睨むが、そんなセージュはフェルフェトゥを睨み返す。
「フン、この喜びをユータに一番に伝えたいという乙女心が分からねーなら黙ってるのですよ」
「そんなもの、ジョニーの餌にもならないわ……さ、ユータ。寝なさい。まだ時間はあるわよ」
「あ、こら! ユータを唆すんじゃねーのです!」
セージュがフェルフェトゥを威嚇するが、雄太も今ばかりはフェルフェトゥに完全同意であった。
「あー……セージュ。その武具精霊っていうのは今此処に?」
「この家には入れないからほら、其処に居るのですよ」
言われて窓の方を向けば、そこには確かに羽の生えた小人のような精霊……と思われる何者か達がじっと覗き込んできていた。
「あー、えっと。どうも。ユータ・ミスリウムです。どうぞよろしく」
そう言って頭を下げると、雄太は再び布団に潜り込んで。
朝に再び目を覚ますと、元の姿に戻ったセージュが雄太の上……正確には布団の上に、不貞腐れたような顔で乗っかっていた。
「……えーと……おはよう?」
「おはようございます、ユータ。邪神共はとっくに目が覚めてどっか行きましたよ」
「ああ、うん。で、なんで元に戻ってるんだ……?」
「嫌がらせです。もっと喜んでくれると思ったのに、私は深く傷つきました」
雄太は「あー……」と呟くと、布団の中から手を伸ばしてセージュの頭を撫でる。
「えっと、頑張ってくれて嬉しいよ。ありがとう。昨日は疲れて眠かったからさ……その、ごめんな?」
そう言うと、セージュはじっと布団の上から雄太を見つめてくる。
「本当にそう思ってますか?」
「ああ、思ってる。昨日だって寝る前だったら真摯に対応したさ」
「……」
セージュは雄太の顔を覗き込み……やがて、ニコリと笑う。
「でしたら、許してあげます」
そう言うと、ポンッと音を立ててセージュは省エネモードも戻って部屋の中を飛ぶ。
「だったらほら、早く起きるのです! 武具精霊共も待ってるですよ!」
「え、待ってるって……あれからずっとか!?」
「え? まさか。エルウッドに世話任せたのですよ」
「だ、だよなあ……」
窓の所に武具精霊達が居ないのを見てホッとした雄太だが、今ので完全に目が覚めてしまった。
「あー、じゃあ……とりあえず会いに行くか」
「なのです!」
言いながら雄太は着替え、セージュを頭に乗せて神樹エルウッドの元へ歩いていく。
すると其処には疲れ切った様子のエルウッドと、神樹をじっと見つめる鋏丸と黒姫……そして、その上に乗って遊んでいる小さな精霊達の姿があった。
「全員集合なのです!」
「はーい!」
セージュの声に応え、小さな精霊達がワラワラと集まってくる。
その数は、全部で20。随分と集まったものだと雄太はその数に驚く。
「これが全部……武具精霊なのか?」
「なのです」
「なのですー!」
セージュの真似をして精霊達が叫ぶが、その様子はまるで小さな子供のようだ。
こんな精霊達が警備兵代わりになるのだろうか、と雄太は少し不安になってしまう。
そういう仕事には向かないんじゃないか、と。そう思ってしまったのだ。
「なあ、セージュ」
「それでは全員、省エネモード解除なのです!」
セージュの号令と同時に、精霊達は音を立てて20代程の男女の姿に変わっていく。
どの精霊も先程の騒がしい子供のような面影はなく、まるで軍人のような服を纏った華麗な紳士淑女達であった。
「セージュ様。省エネモード解除完了致しました!」
先頭に立っていた精霊がそう告げ、他の精霊達は誰に言われるでもなく綺麗に整列完了していた。
「よし、ではお前等の主になるユータに挨拶するのです!」
「ハッ! 全員、ユータ様に敬礼!」
ザッ、と。音を立て綺麗な敬礼をした精霊達に「ああ、こりゃ軍人だ」と雄太は口の端をヒクつかせる。
先程の様子が嘘であるかのようにキビキビと行動している。これがエレメンタルアーマーとかいう姿になったのなら、それは頼りになるだろう。
「それではユータ様。微力ではございますが、我等の加護をお受け取りください」
「え、あ、ああ。ありがとう」
身体に何かが入り込んでくる感覚を味わいながら雄太がそう答えると、精霊達は二ッと笑う。
「見える方とお会いできたこと、嬉しく思います。我等、貴方とこの村を守ると誓いましょう」
「……ん。俺からも頼むよ。よろしくな」
噂をしているとまさかの御本人登場とか、そんな感じの意味だっただろうかと雄太は思い出す。
今回でいえば、昨日の昼にそんな話をしていたなあ……などと雄太は思い出す。
「ユータ、ユータ!」
自分の腹の上でジャンプするセージュに気付き、雄太はぼうっとする頭を振りながら目を覚ます。
両脇で寝ていたフェルフェトゥとベルフラットも同時に目覚め、不機嫌そうに身体を起こす。
ちなみにだが、爛れた関係などでは断じてない。健全に一緒に寝ているだけである。
特にベルフラット相手に関してはそれを強く主張したいと雄太は思っている。
「どうしたんだよ、セージュ。朝にはまだ早いぞ?」
「武具精霊を見つけたですよ!」
「武具精霊って……ああ、うん。アレか」
「ですよ!」
「ならバーンシェルの所に持っていきなさいよ……」
欠伸をしながらフェルフェトゥはセージュを睨むが、そんなセージュはフェルフェトゥを睨み返す。
「フン、この喜びをユータに一番に伝えたいという乙女心が分からねーなら黙ってるのですよ」
「そんなもの、ジョニーの餌にもならないわ……さ、ユータ。寝なさい。まだ時間はあるわよ」
「あ、こら! ユータを唆すんじゃねーのです!」
セージュがフェルフェトゥを威嚇するが、雄太も今ばかりはフェルフェトゥに完全同意であった。
「あー……セージュ。その武具精霊っていうのは今此処に?」
「この家には入れないからほら、其処に居るのですよ」
言われて窓の方を向けば、そこには確かに羽の生えた小人のような精霊……と思われる何者か達がじっと覗き込んできていた。
「あー、えっと。どうも。ユータ・ミスリウムです。どうぞよろしく」
そう言って頭を下げると、雄太は再び布団に潜り込んで。
朝に再び目を覚ますと、元の姿に戻ったセージュが雄太の上……正確には布団の上に、不貞腐れたような顔で乗っかっていた。
「……えーと……おはよう?」
「おはようございます、ユータ。邪神共はとっくに目が覚めてどっか行きましたよ」
「ああ、うん。で、なんで元に戻ってるんだ……?」
「嫌がらせです。もっと喜んでくれると思ったのに、私は深く傷つきました」
雄太は「あー……」と呟くと、布団の中から手を伸ばしてセージュの頭を撫でる。
「えっと、頑張ってくれて嬉しいよ。ありがとう。昨日は疲れて眠かったからさ……その、ごめんな?」
そう言うと、セージュはじっと布団の上から雄太を見つめてくる。
「本当にそう思ってますか?」
「ああ、思ってる。昨日だって寝る前だったら真摯に対応したさ」
「……」
セージュは雄太の顔を覗き込み……やがて、ニコリと笑う。
「でしたら、許してあげます」
そう言うと、ポンッと音を立ててセージュは省エネモードも戻って部屋の中を飛ぶ。
「だったらほら、早く起きるのです! 武具精霊共も待ってるですよ!」
「え、待ってるって……あれからずっとか!?」
「え? まさか。エルウッドに世話任せたのですよ」
「だ、だよなあ……」
窓の所に武具精霊達が居ないのを見てホッとした雄太だが、今ので完全に目が覚めてしまった。
「あー、じゃあ……とりあえず会いに行くか」
「なのです!」
言いながら雄太は着替え、セージュを頭に乗せて神樹エルウッドの元へ歩いていく。
すると其処には疲れ切った様子のエルウッドと、神樹をじっと見つめる鋏丸と黒姫……そして、その上に乗って遊んでいる小さな精霊達の姿があった。
「全員集合なのです!」
「はーい!」
セージュの声に応え、小さな精霊達がワラワラと集まってくる。
その数は、全部で20。随分と集まったものだと雄太はその数に驚く。
「これが全部……武具精霊なのか?」
「なのです」
「なのですー!」
セージュの真似をして精霊達が叫ぶが、その様子はまるで小さな子供のようだ。
こんな精霊達が警備兵代わりになるのだろうか、と雄太は少し不安になってしまう。
そういう仕事には向かないんじゃないか、と。そう思ってしまったのだ。
「なあ、セージュ」
「それでは全員、省エネモード解除なのです!」
セージュの号令と同時に、精霊達は音を立てて20代程の男女の姿に変わっていく。
どの精霊も先程の騒がしい子供のような面影はなく、まるで軍人のような服を纏った華麗な紳士淑女達であった。
「セージュ様。省エネモード解除完了致しました!」
先頭に立っていた精霊がそう告げ、他の精霊達は誰に言われるでもなく綺麗に整列完了していた。
「よし、ではお前等の主になるユータに挨拶するのです!」
「ハッ! 全員、ユータ様に敬礼!」
ザッ、と。音を立て綺麗な敬礼をした精霊達に「ああ、こりゃ軍人だ」と雄太は口の端をヒクつかせる。
先程の様子が嘘であるかのようにキビキビと行動している。これがエレメンタルアーマーとかいう姿になったのなら、それは頼りになるだろう。
「それではユータ様。微力ではございますが、我等の加護をお受け取りください」
「え、あ、ああ。ありがとう」
身体に何かが入り込んでくる感覚を味わいながら雄太がそう答えると、精霊達は二ッと笑う。
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