捨てられおっさんと邪神様の異世界開拓生活~スローライフと村造り、時々ぎっくり腰~
ただいま魔具開発中4
「ちなみにだな、こいつは魔法の基本なんだが。違う属性の魔法を同時に起動すると合成魔法ってもんになるんだよ」
「俺、魔法の基本なんか知らねえよ……」
「おう、フェルフェトゥにでも教えてもらえ」
言いながら雄太は冷房と暖房を別々の魔具に入れて溜息をつく。
「けど、そうなるとこの魔具って。こうやって別々にしてもさっきみたいになる可能性があるんじゃないか?」
「そう使えばな。だがまあ、こうして別々の魔具になってる以上は意図的にそうしなきゃ大丈夫だ」
「ふーん?」
頷きながら、雄太は暖房(仮)と冷房(仮)の魔具を完成させていく。
「よし、それならこれでどうだ」
「おう。冷房起動、暖房起動」
バーンシェルが2つの魔具を起動させると、今度は互いが干渉しあう事無く暖かい風と冷たい風を吹き出し始める。
「ん、今度は良さそうだな」
「だな。冷房停止、暖房停止」
2つの魔具を停止させ、バーンシェルは先程よりも幾分か優しめに雄太を叩く。
「よかったな、これで冷房と暖房とやらは完成か?」
「ああ、正式名称は……まあ、暖房器と冷房器ってとこか?」
「いいんじゃね?」
そんな会話をしていると、フェルフェトゥがタイミングよく顔を出す。
「調子はどうかしら?」
「お、フェルフェトゥ。丁度いいな。今暖房器と冷房器が完成したとこだぞ」
「あら、そうなの。ふふ、タイミング良かったわね」
「よく言うぜ……」
テメエ、さっき来ただろうが……とバーンシェルが呟くが、フェルフェトゥのパチンと手を叩く音に掻き消される。
「それじゃ、私にも見せてくれる?」
「ああ。暖房起動」
雄太が暖房を起動させると暖かい風が吹き出し、フェルフェトゥはふむふむと頷く。
「出力を結構絞ったのね」
「ああ、バーンシェルの助言が無いとちょっとヤバかったけどな」
苦笑する雄太に、フェルフェトゥもクスクスと笑う。
「失敗も経験よ。とにかく、上手く起動してるようね。それで? これは貴族用かしら?」
「ん? いや、普通の家でも使えるようにしようと思ったんだが」
「だとすると、ミスリルはちょっと高いわね。これは貴族用にして、鉄くらいにしといたほうがいいんじゃないかしら?」
言われて、雄太は「そういえば……」と呟く。
すっかり忘れかけていたが、ミスリルは貴重な金属なのだ。
コロナが大事そうに抱えている剣も確かミスリル製であったはずだ。
「……ちなみにこのミスリル製だと、やっぱり庶民には手が出ないのか?」
「身の丈を超えた家宝ってとこね」
「うぐっ……」
雄太はチラリとバーンシェルを見ながら「頼めるか……?」と問いかける。
「いいぜ。つーか、今コロナが作ってるはずだ」
コロナがこの場に来ていない理由を知らされ、雄太は思わずその場にヘナヘナと座り込む。
「……掌の上かよ……」
「ハハハ! ま、気にすんなよ。むしろ喜べ。な?」
「そうよ、ユータ。貴方のやりたい事を察してサポートしてくれる。素敵じゃない」
「そう聞くと凄い恵まれてるな……」
バーンシェルとフェルフェトゥに慰められ、雄太は気を持ち直す。
確かに二人の言う通りだ。
段取りが悪いよりも、良いほうがいいに決まっている。
出来ればその辺りも全部自分で手配できた方がいいのは間違いないが、そこは追々……といったところだろう。
「ま、とにかく冷房と暖房は出来たんだ。なら次に挑戦しなきゃな!」
「それもいいんだけどよ、ユータ」
「ん?」
「流石にあのままだと、ちっとダサいぜ。飾りつけていいよな?」
言われて雄太は小さな円筒を見て「あー……」と呻く。
「そこまで意識がいってなかったな……」
「ま、その辺は任せとけ。コロナの勉強にもなる」
「すっかり師匠面しちゃってるわねえ」
「ほっとけ」
ケッと言いながらフェルフェトゥから視線を逸らすバーンシェルだが、仲良くやっているなら良い事だろうと雄太は思う。
「で、ユータは次は何を作るのかしら?」
「んー……そうだな。冷蔵庫作ろうと思うんだが」
ミスリウム村だと収穫物がフェルフェトゥやベルフラットの力を思う存分浴びているせいで防腐剤要らずという凄まじい物に仕上がってしまっているが、通常の食べ物はそうではない。
放っておけば悪くなったり腐ったりするし、冷温保存した方がいいものは山のようにある。
「まあ、魔具じゃなくてもどうにかなるんだろうけど」
雄太が思い浮かべるのは、氷を上に入れて冷やすタイプの昔の冷蔵庫だ。
昭和時代を描いた映画か何かで見た記憶があるのだが……。
「あ、でもそういうのを下手に作ると仕事奪ったりするのか? それはちょっとな」
別に雄太は産業革命を起こしたいわけではない。
冷蔵庫を頭の中から消し去ると、「あってもなくてもいい」ものを考え始める。
「うーん……ルームランプくらいならアリな気もするな……?」
「好きなだけ悩むといいわよ」
「だな」
フェルフェトゥとバーンシェルはそんな事を言って、ああでもないこうでもないと冷房や暖房につける装飾について話し始める。
何はともあれ、雄太作成の最初の魔具の完成である。
「俺、魔法の基本なんか知らねえよ……」
「おう、フェルフェトゥにでも教えてもらえ」
言いながら雄太は冷房と暖房を別々の魔具に入れて溜息をつく。
「けど、そうなるとこの魔具って。こうやって別々にしてもさっきみたいになる可能性があるんじゃないか?」
「そう使えばな。だがまあ、こうして別々の魔具になってる以上は意図的にそうしなきゃ大丈夫だ」
「ふーん?」
頷きながら、雄太は暖房(仮)と冷房(仮)の魔具を完成させていく。
「よし、それならこれでどうだ」
「おう。冷房起動、暖房起動」
バーンシェルが2つの魔具を起動させると、今度は互いが干渉しあう事無く暖かい風と冷たい風を吹き出し始める。
「ん、今度は良さそうだな」
「だな。冷房停止、暖房停止」
2つの魔具を停止させ、バーンシェルは先程よりも幾分か優しめに雄太を叩く。
「よかったな、これで冷房と暖房とやらは完成か?」
「ああ、正式名称は……まあ、暖房器と冷房器ってとこか?」
「いいんじゃね?」
そんな会話をしていると、フェルフェトゥがタイミングよく顔を出す。
「調子はどうかしら?」
「お、フェルフェトゥ。丁度いいな。今暖房器と冷房器が完成したとこだぞ」
「あら、そうなの。ふふ、タイミング良かったわね」
「よく言うぜ……」
テメエ、さっき来ただろうが……とバーンシェルが呟くが、フェルフェトゥのパチンと手を叩く音に掻き消される。
「それじゃ、私にも見せてくれる?」
「ああ。暖房起動」
雄太が暖房を起動させると暖かい風が吹き出し、フェルフェトゥはふむふむと頷く。
「出力を結構絞ったのね」
「ああ、バーンシェルの助言が無いとちょっとヤバかったけどな」
苦笑する雄太に、フェルフェトゥもクスクスと笑う。
「失敗も経験よ。とにかく、上手く起動してるようね。それで? これは貴族用かしら?」
「ん? いや、普通の家でも使えるようにしようと思ったんだが」
「だとすると、ミスリルはちょっと高いわね。これは貴族用にして、鉄くらいにしといたほうがいいんじゃないかしら?」
言われて、雄太は「そういえば……」と呟く。
すっかり忘れかけていたが、ミスリルは貴重な金属なのだ。
コロナが大事そうに抱えている剣も確かミスリル製であったはずだ。
「……ちなみにこのミスリル製だと、やっぱり庶民には手が出ないのか?」
「身の丈を超えた家宝ってとこね」
「うぐっ……」
雄太はチラリとバーンシェルを見ながら「頼めるか……?」と問いかける。
「いいぜ。つーか、今コロナが作ってるはずだ」
コロナがこの場に来ていない理由を知らされ、雄太は思わずその場にヘナヘナと座り込む。
「……掌の上かよ……」
「ハハハ! ま、気にすんなよ。むしろ喜べ。な?」
「そうよ、ユータ。貴方のやりたい事を察してサポートしてくれる。素敵じゃない」
「そう聞くと凄い恵まれてるな……」
バーンシェルとフェルフェトゥに慰められ、雄太は気を持ち直す。
確かに二人の言う通りだ。
段取りが悪いよりも、良いほうがいいに決まっている。
出来ればその辺りも全部自分で手配できた方がいいのは間違いないが、そこは追々……といったところだろう。
「ま、とにかく冷房と暖房は出来たんだ。なら次に挑戦しなきゃな!」
「それもいいんだけどよ、ユータ」
「ん?」
「流石にあのままだと、ちっとダサいぜ。飾りつけていいよな?」
言われて雄太は小さな円筒を見て「あー……」と呻く。
「そこまで意識がいってなかったな……」
「ま、その辺は任せとけ。コロナの勉強にもなる」
「すっかり師匠面しちゃってるわねえ」
「ほっとけ」
ケッと言いながらフェルフェトゥから視線を逸らすバーンシェルだが、仲良くやっているなら良い事だろうと雄太は思う。
「で、ユータは次は何を作るのかしら?」
「んー……そうだな。冷蔵庫作ろうと思うんだが」
ミスリウム村だと収穫物がフェルフェトゥやベルフラットの力を思う存分浴びているせいで防腐剤要らずという凄まじい物に仕上がってしまっているが、通常の食べ物はそうではない。
放っておけば悪くなったり腐ったりするし、冷温保存した方がいいものは山のようにある。
「まあ、魔具じゃなくてもどうにかなるんだろうけど」
雄太が思い浮かべるのは、氷を上に入れて冷やすタイプの昔の冷蔵庫だ。
昭和時代を描いた映画か何かで見た記憶があるのだが……。
「あ、でもそういうのを下手に作ると仕事奪ったりするのか? それはちょっとな」
別に雄太は産業革命を起こしたいわけではない。
冷蔵庫を頭の中から消し去ると、「あってもなくてもいい」ものを考え始める。
「うーん……ルームランプくらいならアリな気もするな……?」
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