捨てられおっさんと邪神様の異世界開拓生活~スローライフと村造り、時々ぎっくり腰~
新しい仲間(認めねえのです)
神樹エルウッドの精霊であるらしい青年は省エネモードのセージュに蹴り倒されて踏みつけられている。
体格で跳ね返そうなのに出来ていない所を見ると、セージュが相当本気でやっているだろう事が垣間見える。
「オラオラ、死ねです!」
「い、嫌です! 僕はこの世界に自分の仲間を広げ神の信仰をぐはあ!」
「やっぱりですか、この精霊の面汚し!」
「おいおいセージュ、そのくらいで……」
ジャンプして踏みつけるという見た目だけは……いや、魔力を噴出しながら踏みつける様子は全く可愛らしくはないのだが、とにかく見た目だけは可愛らしく見える攻撃をしているセージュを雄太は近づいてなだめる。
「止めないでほしいのです! このアホをブッ殺すのは精霊の正義なのです!」
「止めるのだ、そこの人間! 僕には神の愛を世界に広める使命がふっ!?」
「寒気のする台詞を吐くんじゃねーです!」
「あー……」
なるほど、どうやら神樹エルウッドの精霊は精霊でありながら相当に「神」寄りらしいが……それが精霊たるセージュには気に入らないのだろう。
種族の問題となると、どうにも仲裁の言葉が雄太には思いつかない。
「ユータの木だからと遠慮してれば! こんなアホが宿る前に説得して切り倒しておくべきだったです!」
「ぐ、ごほうっ!? 神の愛を知らぬは愚かですよ! 私の話を聞けば貴女もたちまち」
「うっせえです!」
強烈な蹴りが入って神樹エルウッドの精霊はガクリと気絶してしまうが……そこにトドメを刺そうとするセージュを、雄太は両手で包み込むようにして捕まえる。
「あー……とりあえずそのくらいで。な? これ以上は本当に死んじゃいそうだし」
「あら、余裕はありそうだったわよ?」
「フェルフェトゥはごめん、ちょっと黙っててくれ」
手の中でジタバタと暴れるセージュを逃がさないようにしながら、雄太はなんと説得したものかと悩む。
「えーと、ほら。この村では皆仲良くって話、しただろ?」
「したですけど」
「だよな。だから、彼とも仲良くして欲しいんだけど……」
雄太がそう聞くと、セージュは見るからに不満そうな顔をする。
「ユータがそれを望むなら尊重するですけど。あのバカがバカやったら制裁するくらいはいいですよね?」
「ん? んん……」
「でないと、ストレス溜まり過ぎたら私……何するかわかんねーのです」
完全に据わった目をしているセージュに雄太は「そんなに嫌いなのか……」と冷汗を流す。
フェルフェトゥ達にだってこれ程の拒否反応は示していなかったのに、どれ程嫌いなのだろうか?
「えーと……殺したりしたら駄目だぞ? 軽く怒る程度で……」
「分かったのです」
頷くセージュに雄太はほっと息を吐きながらセージュを話すが、その瞬間にセージュは神樹エルウッドの精霊のところへと飛んでいく。
「おら、起きろです」
「ぐほうっ!?」
ぶん殴って起こすという過激な方法をとったセージュに雄太は思わず「あっ」と声をあげるが、セージュはそれに笑顔で返してくる。
「いつまでも寝てるとか失礼なので起こしたです」
「精霊ってのはね、嫌いな相手には概ねあんな感じよ? ユータ」
「え、怖……」
二面性とでもいうのだろうか。ゴミを見る目で神樹エルウッドの精霊を見ているセージュは、いつものセージュとは性格が真逆になったかのようだが……省エネモードでこれなら、元の姿に戻ったら一体どうなってしまうのか。
それとも元の姿だと、もう少し自制が聞いてマイルドになるのだろうか。
それを試してみる勇気は、雄太にはない。
とにかくエルウッドの精霊を起こしたセージュはそのまま雄太の頭の上へと戻ってくる。
そして起こされたエルウッドの精霊は立ち上がると、一瞬で服の汚れを消し去って一礼する。
「さて、それでは挨拶させていただこう。僕は神樹エルウッドの精霊。エルウッドでもエルでも、好きなように呼んでもらって構わない」
「あー、俺は雄太。ユータ・ミスリウムって今は名乗ってる」
「そうか。ではユータ、よくこの村の神々に尽くすように。特に僕を蘇らせ育てたベルフラット様やフェルフェトゥ様には最上級の敬意をぐふっ」
セージュの放った魔力弾に吹っ飛ばされたエルウッドに、セージュがチッと舌打ちをする。
「エルウッド。私はユータにそういうのは求めてないわ? 自然体でいいのよ」
「……フェ、フェルフェトゥ様がそう仰るなら」
起き上がったエルウッドは言いながらフェルフェトゥに頭を下げるが、それを見て雄太は疑問符を浮かべる。
「なあ、エルウッドって……確か何処かの神様が創った木なんだろ? フェルフェトゥ達に従うってのはアリなのか?」
本当なら、その創った神に忠誠を誓うものなんじゃないだろうか。
そんな事を考えた雄太にエルウッドは馬鹿にしたような笑みを浮かべ……かけて、セージュに睨まれて視線を逸らす。
「僕の宿った神樹エルウッドを蘇らせてくれたのはベルフラット様で、水を与えてくださったのはフェルフェトゥ様だ。お二人のおかげで僕は異常なほどに早く力を得て顕現した……故に、忠誠を誓うのは当然の事だ」
「そういうことらしいわ。まあ、雑用程度の役にはたつと思うわよ?」
ちょっとウザいから基本的にはベルフラットにつけているんだけどね、と。
フェルフェトゥは、とても良い笑顔でそう雄太に教えてくれる。
体格で跳ね返そうなのに出来ていない所を見ると、セージュが相当本気でやっているだろう事が垣間見える。
「オラオラ、死ねです!」
「い、嫌です! 僕はこの世界に自分の仲間を広げ神の信仰をぐはあ!」
「やっぱりですか、この精霊の面汚し!」
「おいおいセージュ、そのくらいで……」
ジャンプして踏みつけるという見た目だけは……いや、魔力を噴出しながら踏みつける様子は全く可愛らしくはないのだが、とにかく見た目だけは可愛らしく見える攻撃をしているセージュを雄太は近づいてなだめる。
「止めないでほしいのです! このアホをブッ殺すのは精霊の正義なのです!」
「止めるのだ、そこの人間! 僕には神の愛を世界に広める使命がふっ!?」
「寒気のする台詞を吐くんじゃねーです!」
「あー……」
なるほど、どうやら神樹エルウッドの精霊は精霊でありながら相当に「神」寄りらしいが……それが精霊たるセージュには気に入らないのだろう。
種族の問題となると、どうにも仲裁の言葉が雄太には思いつかない。
「ユータの木だからと遠慮してれば! こんなアホが宿る前に説得して切り倒しておくべきだったです!」
「ぐ、ごほうっ!? 神の愛を知らぬは愚かですよ! 私の話を聞けば貴女もたちまち」
「うっせえです!」
強烈な蹴りが入って神樹エルウッドの精霊はガクリと気絶してしまうが……そこにトドメを刺そうとするセージュを、雄太は両手で包み込むようにして捕まえる。
「あー……とりあえずそのくらいで。な? これ以上は本当に死んじゃいそうだし」
「あら、余裕はありそうだったわよ?」
「フェルフェトゥはごめん、ちょっと黙っててくれ」
手の中でジタバタと暴れるセージュを逃がさないようにしながら、雄太はなんと説得したものかと悩む。
「えーと、ほら。この村では皆仲良くって話、しただろ?」
「したですけど」
「だよな。だから、彼とも仲良くして欲しいんだけど……」
雄太がそう聞くと、セージュは見るからに不満そうな顔をする。
「ユータがそれを望むなら尊重するですけど。あのバカがバカやったら制裁するくらいはいいですよね?」
「ん? んん……」
「でないと、ストレス溜まり過ぎたら私……何するかわかんねーのです」
完全に据わった目をしているセージュに雄太は「そんなに嫌いなのか……」と冷汗を流す。
フェルフェトゥ達にだってこれ程の拒否反応は示していなかったのに、どれ程嫌いなのだろうか?
「えーと……殺したりしたら駄目だぞ? 軽く怒る程度で……」
「分かったのです」
頷くセージュに雄太はほっと息を吐きながらセージュを話すが、その瞬間にセージュは神樹エルウッドの精霊のところへと飛んでいく。
「おら、起きろです」
「ぐほうっ!?」
ぶん殴って起こすという過激な方法をとったセージュに雄太は思わず「あっ」と声をあげるが、セージュはそれに笑顔で返してくる。
「いつまでも寝てるとか失礼なので起こしたです」
「精霊ってのはね、嫌いな相手には概ねあんな感じよ? ユータ」
「え、怖……」
二面性とでもいうのだろうか。ゴミを見る目で神樹エルウッドの精霊を見ているセージュは、いつものセージュとは性格が真逆になったかのようだが……省エネモードでこれなら、元の姿に戻ったら一体どうなってしまうのか。
それとも元の姿だと、もう少し自制が聞いてマイルドになるのだろうか。
それを試してみる勇気は、雄太にはない。
とにかくエルウッドの精霊を起こしたセージュはそのまま雄太の頭の上へと戻ってくる。
そして起こされたエルウッドの精霊は立ち上がると、一瞬で服の汚れを消し去って一礼する。
「さて、それでは挨拶させていただこう。僕は神樹エルウッドの精霊。エルウッドでもエルでも、好きなように呼んでもらって構わない」
「あー、俺は雄太。ユータ・ミスリウムって今は名乗ってる」
「そうか。ではユータ、よくこの村の神々に尽くすように。特に僕を蘇らせ育てたベルフラット様やフェルフェトゥ様には最上級の敬意をぐふっ」
セージュの放った魔力弾に吹っ飛ばされたエルウッドに、セージュがチッと舌打ちをする。
「エルウッド。私はユータにそういうのは求めてないわ? 自然体でいいのよ」
「……フェ、フェルフェトゥ様がそう仰るなら」
起き上がったエルウッドは言いながらフェルフェトゥに頭を下げるが、それを見て雄太は疑問符を浮かべる。
「なあ、エルウッドって……確か何処かの神様が創った木なんだろ? フェルフェトゥ達に従うってのはアリなのか?」
本当なら、その創った神に忠誠を誓うものなんじゃないだろうか。
そんな事を考えた雄太にエルウッドは馬鹿にしたような笑みを浮かべ……かけて、セージュに睨まれて視線を逸らす。
「僕の宿った神樹エルウッドを蘇らせてくれたのはベルフラット様で、水を与えてくださったのはフェルフェトゥ様だ。お二人のおかげで僕は異常なほどに早く力を得て顕現した……故に、忠誠を誓うのは当然の事だ」
「そういうことらしいわ。まあ、雑用程度の役にはたつと思うわよ?」
ちょっとウザいから基本的にはベルフラットにつけているんだけどね、と。
フェルフェトゥは、とても良い笑顔でそう雄太に教えてくれる。
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