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捨てられおっさんと邪神様の異世界開拓生活~スローライフと村造り、時々ぎっくり腰~

天野ハザマ

続アラサークエスト6

 世界樹の森を進んでいくと、日が暮れ始めてきたのか辺りが暗くなってくる。
 流石にこのデコボコした場所ではジョニーに乗ってダッシュするというのも難しい為、仕方がないのだが……。

「……なんかその辺に小さいオジサンが見えてきた気がする……」

 筋トレマニアのシャベルの効果で雄太から「疲れ」という概念は消えているが、そんな疲れた人みたいな事を雄太がポツリと口にする。
 小さいオジサン。町で口にすれば「何だコイツ」という目で見られそうな発言だが、雄太の視界には先程からチラホラと「小さいオジサン」が見えていたのだ。

 身長は、およそ30センチ程度。
 茶色の布の服と靴。
 頭には先の折れた三角帽が乗っていて、シャベルを背負っているのが見える。
 そして、苦み走った中年顔ともじゃもじゃの髭。
 これだけ揃ったモノを「小さいオジサン」と呼ばずして何と呼ぶのか。
 その小さいオジサンは、先程から雄太の横をテコテコと歩いているのだ。

「なんだオメエ、やっぱり見えてんのか」
「話しかけてきた気がする……」
「気がするんじゃなくて話しかけてんだよ」

 そう言いながら小さいオジサンは舌打ちするが、セージュに睨まれてサッと視線を逸らす。

「何かと思えば、ノウムなのです。お前、こんなところで何してるですか」
「なんだって良いだろ。俺っちは土のあるとこなら何処でも行くわな」

 なんだか早速仲が悪そうな様子に、雄太は「まあまあ」と仲裁する。

「ノーム? ってことは、この小さいオジサンは土の精霊ってことか?」

 ノームなら雄太も地球のゲームとかで聞いたことがある。
 火のイフリート、水のウンディーネ、風のシルフィード、土のノーム。
 有名な精霊だ。

「ノームじゃなくてノウムなのです。土の木っ端精霊なのですよ」
「チッ、言ってくれるぜ」
「事実なのです」

 ノームじゃなくてノウム。微妙なイントネーションの違いに異世界を感じながらも、雄太はふむふむと頷く。

「てことは、大精霊とか上級精霊とかがいたりするのか?」
「ノームの上の位階なら、ガイアスというのが居るですよ」

 光の精霊であればパラスと、それを統べるアウロラ。
 闇の精霊であればシャドウと、それを統べるダルク。
 火の精霊ならサラマンドと、それを統べるメギドラ。
 水の精霊ならアクアルと、それを統べるウンディーネ。
 風の精霊ならヒュールと、それを統べるシルフィド。
 そして土の精霊であればノウムと、それを統べるガイアス。

 いわゆる大精霊と呼ばれるものは各一体ずつしか居ないが不変というわけでもなく、何度か代替わりもしているのだとセージュは雄太に説明する。

「へえー……なるほどな。それで言うとセージュは大精霊なのか?」
「世界樹の精霊はその枠にゃ含まねえ。特殊だからな」

 ノウムがそんな事を言って、雄太がふむと納得したように頷く。

「特殊、特殊かあ。なんか特別感あっていいな」
「私は唯一無二なのですよ。特に下位精霊とかもいないのです」
「へえー……」

 自慢げなセージュにそう返しながら、雄太はノウムへと視線を向ける。

「で、ノウムは何か用なのか? さっきからついてきてるみたいだけど」
「特に用はねえよ。ただ世界樹の精霊なんぞ頭に乗っけてるし、ひょっとすると「見える」奴なんじゃねえかと思ってよ」
「ユータは見えるどころか触れるのです!」
「ハッ、そりゃ凄ぇ。それで神まで一緒にいるのか」

 言いながらノウムは髭を擦るが、何かに納得したように何度か頷いてみせる。

「なるほどなあ、そんな奴が出たのか……」
「ユータはあげないですよ?」
「別に世界樹の精霊と取り合う気はねえよ」

 そう言うと、ノウムは雄太達とは違う方向へ足を進め始める。

「だがまあ、なんか納得した」
「え、何がだ?」

 思わせぶりな台詞に雄太が思わずそう聞くと、ノウムは振り返ってニヤリと笑う。

「どうにも最近、不毛の地のはずのヴァルヘイムの土が微妙に変わった気配がするってことでな。ガイアスが気にしてらしたんだが……世界樹の精霊が絡んでるなら納得だ」
「そ、それはどうかなー」

 それはセージュじゃなくてフェルフェトゥやベルフラットのせいだと思うけどな、という台詞を雄太は呑み込んだ。
 ひょっとするとノウムの言う通りにセージュの力が絡んでいる可能性も否定できなかったからだ。

「ま、俺っちは報告もしなきゃいけないんで、これで失礼する。じゃあな」
「あ、ああ。また」

 手を振って去っていくノウムに雄太も手を振るが……ふと不安になって、頭の上のセージュに「なあ……」と話しかける。

「今のって、まさか……そのうちガイアスとかいうのが家に来るって話じゃないよな?」
「可能性はゼロじゃないと思うのですよ。何度か私に「どうして何もしない」と文句言いに来た事あったです」
「そっか……」

 土の大精霊ガイアス。どんな相手か分からないが、普通の性格だといいなあ……と。
 雄太はそんな儚い事を考えてしまう。

「とにかく、完全に日が沈む前にもっと進もうか。あとどのくらいなんだ?」
「ん? もう着くですよ?」

 そうセージュが返した、その直後。
 雄太達の前には……今まで見たどれよりも巨大な木が、聳え立っていた。

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