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捨てられおっさんと邪神様の異世界開拓生活~スローライフと村造り、時々ぎっくり腰~

天野ハザマ

楽しい警備計画

「何か、あてがあるのか?」
「精霊呼ぶですよ」

 精霊。つまりセージュの仲間ということだが……確か、才能が無ければ見えなかったはずだと雄太は思い出す。

「でも、それって居ても悪人に分かんなかったら意味がないんじゃないか?」
「真っ二つになったり燃えカスになったりすれば嫌でも分かると思うですよ?」
「え、怖っ……何する気なんだよ……」

 あからさまに引いた雄太に何が悪いのかとセージュは疑問符を浮かべるが、この辺りは雄太以外の人間をセージュがどうでもいいと思っている証拠でもあったりする。

「神殿でそういう流血沙汰とかはダメだろ」
「燃やしたら血は出ないですよ?」
「無しで。殺さない方向で何かないのか?」
「むー」

 セージュは不満そうだが、やがてバーンシェルをじっと見る。

「なんだよ?」
「邪神の力を借りるのは癪ですけど、ユータの為なら力貸すですよね?」
「回りくどいっつーの。何が要るんだ」
「全身鎧と武器です」
「ああ……?」

 バーンシェルは顎に手をあてて何度か撫でると、「あー」と納得したように頷く。

「リビングアーマー作ろうってのか?」
「なっ……セージュ様、それは禁呪です!」
 
 慌てるコロナに、セージュはつまらなそうな顔を向ける。

「あんなガラクタと一緒にするなです。武具精霊を呼ぶですよ」
「武具精霊……?」

 聞き返す雄太に、セージュは自慢げに胸を逸らす。

「ですよ! 武具に宿るプライドばっかり高い馬鹿ですけど、こういう場所にはピッタリの精霊です! ま、私の足元にも及ばないですけどね!」
「えー……と?」

 説明を求めるように雄太がフェルフェトゥに視線を向ければ、フェルフェトゥは仕方なさそうに肩をすくめる。

「いわゆるエレメンタルアーマーね。三千年位前くらいなら、まだ居た気がするわ」

 エレメンタルアーマー。
 精霊の宿りし鎧であり、身体を持たない精霊が鎧を身体とする事で実体化する現象でもある。
 人間に特に友好的な武具精霊と呼ばれる精霊がこの現象を引き起こすが、鎧の中の身体をも「作って」いる為に普通に人間の中に混ざって旅している事もあったという。

「へえ……でも、なんで居なくなったんだ?」
「さあ?」
「知らないです」

 フェルフェトゥとセージュは2人とも知らないという反応を見せるが、まあ恐らくは何かがあったのだろうと雄太は納得する。

「でも、それなら探すの大変なんじゃないか? そのエレメンタルアーマーとかってのも今は居ないんだろ?」
「エレメンタルアーマーは居ないかもですけど、武具精霊はいるですよ?」
「そうなのか?」
「です。ちょっと時間は貰うですけど、風の精霊に伝えて世界中を探すです。2日もあれば見つかると思うですよ?」
「そっか。じゃあそれについてはセージュと……バーンシェルに任せる」

 お任せです、と言うセージュとめんどくせえなあ、と言うバーンシェルのテンションの差が大きいが、どちらも異存はないらしい。

「じゃあ、それについては解決か」
「解決の方法が凄まじいがな……」

 三千年前に居たとされる精霊の顕現の形を再現するなど、普通は選択肢には入れない。
 それをアッサリと受け入れてしまう雄太はかなりの大物ではないかとコロナは思うのだが、気にしたら負けだと自分を納得させる。

「しかし、神殿か。まさか俺達が神殿を建てられるとは思ってなかったなあ」
「そう、ね……」

 ガンダインの言葉にベルフラットは頷くと、雄太の腕に自分の腕を絡めて寄り添う。

「本当にありがとう、ユータ」
「いや、いつもお世話になってるのは俺だしな。少しでも返せたなら嬉しいよ」

 邪神であるフェルフェトゥ達は信仰が無く、それ故に神殿もない。
 雄太の手によって神殿が建てられたという事実は衝撃的な事でもあり……恐らくは、耳聡い神にはすぐに伝わるだろう。
 そこからどう発展するかは分からないが、セージュの精霊への呼びかけも含め、この神殿建設は一つの契機となるだろうとガンダインは考えていた。

「面白くなりそうだな……」
「そうか?」
「ああ。ユータ、お前もコロナから戦闘用の身体の動かし方を多少学んどいた方がいいかもしれねえぜ?」

 ガンダインがそう言って笑うと、ベルフラットが雄太の腕を掴む力を強くする。

「……ユータに何かする不届き者がいるなら……すぐに『居なく』なるわ……」
「くっくっく! 怖ぇ怖ぇ。まあ、念のためってやつさ。ユータだって女に守られて良しなんてタマじゃあねえだろ?」
「あー……まあ、な」

 雄太だって、フェルフェトゥやベルフラット、バーンシェル達の方が格段に強いなどという事は分かっている。
 分かっているが、何かあった時に「助けて」と逃げるような情けない男でいたくないというのも正直なところではあるのだ。

「確かに、ユータ殿は戦士として立てるほどの身体能力はあるな……」

 体力でいえば、コロナよりもあるのは実証済だ。身体の使い方さえ覚えればすぐに上達するだろうとコロナも考えていた。

「えーと……じゃあ、暇な時に頼めるか? 俺も建設の方が一段落ついたしさ」
「うむ、承知した。合間をみて稽古をすることにしよう」
「そんな事、しなくてもいいのに……」
「ユータも男ってことだろ」
「ふふふ、そういうのも新鮮でいいわね」

 見透かすような邪神三人娘から視線を逸らすと「よろしく」と雄太はコロナに答えるのだった。

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