捨てられおっさんと邪神様の異世界開拓生活~スローライフと村造り、時々ぎっくり腰~
精霊との契約って?
「今日は随分時間かかってるですね?」
「あー、ちょっと聞きたい事あるんだよ」
「なんです?」
他の全員をまるっと無視でユータに纏わりつくセージュだが、その分ユータの言う事はよく聞く。
雄太の頭に座ったセージュに、雄太は今聞いたばかりの事を問いかける。
「なんか、セージュとの契約で魔力が繋がってるって聞いたんだけど」
「ですよ? 具体的には、私からユータへの一方的な流出になるですかね」
「え?」
「なっ」
セージュの説明に、雄太だけではなくコロナまでが声をあげる。
「そ、そんな精霊契約など聞いたことが……」
「私を木っ端精霊と同じにされては困るですよ。契約相手から魔力貰わないと力を振るえない雑魚と違って、私は魔力に溢れてるです。ユータを染めるくらいの余裕はあるのですよ?」
そう言うと、セージュはフェルフェトゥを睨みつける。
「そこの邪神の邪魔さえなきゃ、もっと染められるですのに……」
言われたフェルフェトゥはすまし顔だが、雄太はケンカになる前にと口を挟む。
「あー、えーと。染まるとどうなるんだ?」
「精霊との親和性が高くなるです。具体的に言うと、精霊術を上手く使えるようになるですね」
「精霊術……」
それも知らないな、と雄太は呟く。
なにしろ、普通の魔法でさえ雄太はよく知らないのだ。
「精霊術は、契約した精霊の力を振るう能力なのです。たとえば火の精霊と契約したなら、位階にもよりますけど魔法とは違う火の技を使えるのです」
たとえば火からの護りの術「ファイアガード」などは有名な精霊術だ。
魔法で火を振るうよりも応用範囲が広く、それ故に魔具の作成も精霊術士の多いエルフの方が他の人間よりも先んじていたりする。
「ふーん。ならセージュと契約した俺だったら、どんな事が出来るんだ?」
「んー……」
そこでセージュは考えるように「そうですねえ……」と呟く。
「ユータ次第ですけど、望めば何でもできると思うですよ?」
「へ?」
「私は特定の属性を持ってないです。だから、ユータが好きな属性で染めて振るえばいいです」
雄太がコロナへ振り向くと、コロナは「聞いたことがない」と首を横に振る。
当然だ。精霊は自然の中にあり、その属性を持っているから精霊なのであって、属性の無い精霊など聞いたことも無い。
「えーと……」
「私は凄い精霊なのですよ?」
「な、なるほど?」
コロナの反応を見る限り、どうにもそういう事らしいと雄太は納得する。
「で、さ。魔具の作成とかはセージュが得意って聞いたんだけど」
「何が欲しいです?」
「あ、いや。俺が作りたいなって」
アッサリと何が欲しいか聞いてくる辺り、本当に得意なのだろう。
しかし、セージュに作ってもらったのでは……売れるかもしれないが、意味が無い。
これは雄太が作る事で初めて意味があるのだ。
「それなら教えるですよ。今からやるです?」
「え、あ、いや。神殿の建設もあるし……その合間に、かな?」
「む。魔具の作成はそんな簡単じゃないですよ?」
「それは分かるけど、途中で投げ出すのは良くないしさ」
雄太が諭すように言うと、セージュはアッサリと「仕方ないですねえ」と折れる。
「私はいい女ですから、ユータの我儘を許してあげるです」
「あー、うん。ありがとう?」
「もっと言っていいのですよ?」
胸を張るセージュをそのままに、雄太は残ったパンを咀嚼する。
「まあ、とりあえず。先々の目標も決まってきた……ってところかな?」
「私も何か考えてみよう。見習い鍛冶師ではあるが、出来る事はあるはずだ」
「ああ、頼むよ」
スープを口に流し込んだコロナが立ち上がると、何も口にしていなかったバーンシェルも立ち上がる。
「そういう事なら、鍋くらいは作れるように今から仕込んでやる」
「はい、よろしくお願いしますバーンシェル殿。では、これで失礼する。良い朝食であった」
バーンシェルの後を追って歩いていくコロナを見送り……「仲いいよな、あの二人」と雄太は呟く。
「彼女好みのモノを持っているからでしょうね」
「バーンシェル好みのモノ……?」
聞き返す雄太にフェルフェトゥは意味ありげに笑う。
バーンシェルがどんな神であったかを思い出せば雄太にも気づきそうなものだが、その辺りに頓着しない雄太が真実に気付く可能性は低いとフェルフェトゥも分かっている。
「相性がいいってことよ。それよりユータも、いつまでもそんなモノ引っ付けて遊んでちゃダメよ?」」
「ケッ、羨ましいですか邪神」
「ケンカするなってば……」
雄太は言いながら、パンとスープを流し込む。
「ごちそうさま。今日も美味かった」
「ええ、ありがとう」
食器を片付け始めたフェルフェトゥの手元をじっと見て、雄太は「そっか……」と呟く。
「あら、何か思いついたの?」
「いや。割れない食器とか地味だけどいいかなあって思ってさ」
出来るならだけど、と雄太が言えば頭の上のセージュが「近いものなら出来るですよー」と答える。
「え、出来るのか?」
「割れにくいっていう条件ならですけど。不壊なんてものになると神具ですよ?」
「うっ。そ、そいつは無理かな」
まあ、色々と考える余地はありそうだ。
そんな事を考えながら、雄太は今日の作業へと向かっていった。
「あー、ちょっと聞きたい事あるんだよ」
「なんです?」
他の全員をまるっと無視でユータに纏わりつくセージュだが、その分ユータの言う事はよく聞く。
雄太の頭に座ったセージュに、雄太は今聞いたばかりの事を問いかける。
「なんか、セージュとの契約で魔力が繋がってるって聞いたんだけど」
「ですよ? 具体的には、私からユータへの一方的な流出になるですかね」
「え?」
「なっ」
セージュの説明に、雄太だけではなくコロナまでが声をあげる。
「そ、そんな精霊契約など聞いたことが……」
「私を木っ端精霊と同じにされては困るですよ。契約相手から魔力貰わないと力を振るえない雑魚と違って、私は魔力に溢れてるです。ユータを染めるくらいの余裕はあるのですよ?」
そう言うと、セージュはフェルフェトゥを睨みつける。
「そこの邪神の邪魔さえなきゃ、もっと染められるですのに……」
言われたフェルフェトゥはすまし顔だが、雄太はケンカになる前にと口を挟む。
「あー、えーと。染まるとどうなるんだ?」
「精霊との親和性が高くなるです。具体的に言うと、精霊術を上手く使えるようになるですね」
「精霊術……」
それも知らないな、と雄太は呟く。
なにしろ、普通の魔法でさえ雄太はよく知らないのだ。
「精霊術は、契約した精霊の力を振るう能力なのです。たとえば火の精霊と契約したなら、位階にもよりますけど魔法とは違う火の技を使えるのです」
たとえば火からの護りの術「ファイアガード」などは有名な精霊術だ。
魔法で火を振るうよりも応用範囲が広く、それ故に魔具の作成も精霊術士の多いエルフの方が他の人間よりも先んじていたりする。
「ふーん。ならセージュと契約した俺だったら、どんな事が出来るんだ?」
「んー……」
そこでセージュは考えるように「そうですねえ……」と呟く。
「ユータ次第ですけど、望めば何でもできると思うですよ?」
「へ?」
「私は特定の属性を持ってないです。だから、ユータが好きな属性で染めて振るえばいいです」
雄太がコロナへ振り向くと、コロナは「聞いたことがない」と首を横に振る。
当然だ。精霊は自然の中にあり、その属性を持っているから精霊なのであって、属性の無い精霊など聞いたことも無い。
「えーと……」
「私は凄い精霊なのですよ?」
「な、なるほど?」
コロナの反応を見る限り、どうにもそういう事らしいと雄太は納得する。
「で、さ。魔具の作成とかはセージュが得意って聞いたんだけど」
「何が欲しいです?」
「あ、いや。俺が作りたいなって」
アッサリと何が欲しいか聞いてくる辺り、本当に得意なのだろう。
しかし、セージュに作ってもらったのでは……売れるかもしれないが、意味が無い。
これは雄太が作る事で初めて意味があるのだ。
「それなら教えるですよ。今からやるです?」
「え、あ、いや。神殿の建設もあるし……その合間に、かな?」
「む。魔具の作成はそんな簡単じゃないですよ?」
「それは分かるけど、途中で投げ出すのは良くないしさ」
雄太が諭すように言うと、セージュはアッサリと「仕方ないですねえ」と折れる。
「私はいい女ですから、ユータの我儘を許してあげるです」
「あー、うん。ありがとう?」
「もっと言っていいのですよ?」
胸を張るセージュをそのままに、雄太は残ったパンを咀嚼する。
「まあ、とりあえず。先々の目標も決まってきた……ってところかな?」
「私も何か考えてみよう。見習い鍛冶師ではあるが、出来る事はあるはずだ」
「ああ、頼むよ」
スープを口に流し込んだコロナが立ち上がると、何も口にしていなかったバーンシェルも立ち上がる。
「そういう事なら、鍋くらいは作れるように今から仕込んでやる」
「はい、よろしくお願いしますバーンシェル殿。では、これで失礼する。良い朝食であった」
バーンシェルの後を追って歩いていくコロナを見送り……「仲いいよな、あの二人」と雄太は呟く。
「彼女好みのモノを持っているからでしょうね」
「バーンシェル好みのモノ……?」
聞き返す雄太にフェルフェトゥは意味ありげに笑う。
バーンシェルがどんな神であったかを思い出せば雄太にも気づきそうなものだが、その辺りに頓着しない雄太が真実に気付く可能性は低いとフェルフェトゥも分かっている。
「相性がいいってことよ。それよりユータも、いつまでもそんなモノ引っ付けて遊んでちゃダメよ?」」
「ケッ、羨ましいですか邪神」
「ケンカするなってば……」
雄太は言いながら、パンとスープを流し込む。
「ごちそうさま。今日も美味かった」
「ええ、ありがとう」
食器を片付け始めたフェルフェトゥの手元をじっと見て、雄太は「そっか……」と呟く。
「あら、何か思いついたの?」
「いや。割れない食器とか地味だけどいいかなあって思ってさ」
出来るならだけど、と雄太が言えば頭の上のセージュが「近いものなら出来るですよー」と答える。
「え、出来るのか?」
「割れにくいっていう条件ならですけど。不壊なんてものになると神具ですよ?」
「うっ。そ、そいつは無理かな」
まあ、色々と考える余地はありそうだ。
そんな事を考えながら、雄太は今日の作業へと向かっていった。
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