捨てられおっさんと邪神様の異世界開拓生活~スローライフと村造り、時々ぎっくり腰~
帰ってきたアラサークエスト4
巨大ニワトリでの旅は、思った以上に順調だった。
雄鶏に雄太が乗り、その後ろにフェルフェトゥが……そして雄太の肩の上にはセージュ。
セージュは重さが無いに等しいが、とにかく3人を乗せても雄鶏はかなりの速度で荒野を走る。
その後ろを雌鶏が追走し、いつの間に混ざったのかヒヨコが数匹併走している。
「良かったわね、ユータ。卵は貰えそうよ?」
「有精卵と無精卵産み分けてくれるかな……」
「コケッ」
単純に鳴き声なのか承諾なのか分からない声を雌鶏があげるが、どっちなのかは本当に不明だ。
「しかし楽だなあ……」
「あら、それならユータは走るかしら?」
「それは嫌だな」
そんな事を話しているうちに、雄太達は村へと帰り着く。
「うおっ!? なんだあ、そのデケェニワトリは……お前等、豆取りに行ったんじゃねえのかよ!?」
「ん? ああ、それなら取って来たけど」
ニワトリとの契約後に何のドラマもなく大豆は見つけたのだが、ニワトリのせいで喜びが薄れた感は否めない。
「お帰りなさい、ユータ……大きなニワトリね」
「ああ、ただいまベルフラット。あとバーンシェルも。これ大豆」
「麦畑も出来てるわ……」
雄太から大豆を受け取ったベルフラットはそのまま畑のある区画へと歩いていくが、バーンシェルはニワトリが気になったのか雄鶏の目の前へと歩いていく。
「中々いい面構えしてやがんな」
「焼かないでくれよ?」
「焼かねえよ」
ニワトリから降りた雄太達は荷物を家の中へと入れるが、ふとニワトリへと振り返る。
「しかし、このサイズだと予想以上に餌食べるよな……?」
「問題ないんじゃないかしら」
「なんでだ?」
余裕そうな表情で言うフェルフェトゥに雄太が問いかけると、フェルフェトゥは「だってこのニワトリ、魔獣になってるもの」と答える。
「魔獣だかなんだか知らないけど、生きてるなら餌食べるだろ?」
「魔獣ってのはね、ユータ。半精霊みたいなものよ? 食事は周囲の魔力吸収に変わってるし、何か食べるとしても少量よ」
「そう、なのか?」
「一緒にされるのは不本意ですけど、間違ってはいないですね」
ムスッとした顔でセージュはそう答え、補足する。
「生き物が魔力の濃い環境で魔獣化するのは珍しい現象ではないのです。元々の魔力受け入れ可能容量が大きい上に、成長の余地がありますから。豊富な魔力環境に適応すべく、そういう風に変わるのですね」
ハイエルフとかは分類としては魔獣ですよ、と言うセージュに雄太は「えっ」と声をあげる。
「いや、エルフって……一応人類だろ?」
「人類だって獣の一つに違いないじゃないですか」
「そりゃそうかもしれないけどさ」
精霊からするとそういう認識なのか……と雄太は今更ながらに認識の差を感じるが、なるほどと思う部分も確かにある。
だがまあ、たぶんここだけの話にしておいた方がいいだろうとは思う。
魔獣扱いされて喜ぶ人間は居ないはずだ。
「あれ? となると魔王とかってのはアレは何なんだ? 魔獣とかは魔王の配下的なイメージあったんだけど」
「よくある勘違いっぽいですけど、魔王っていうのは魔族を統括する王であって魔獣とは別ですよ?」
「んん?」
「ついでに言うと魔獣とモンスターも別物です」
魔王、魔族、魔獣、モンスター。頭がこんがらがってきた雄太の背中を、フェルフェトゥが叩く。
「人間と人参。同じ「人」がついていても、全然違うでしょう?」
「え、そういう認識でいいのか?」
「その程度の話って事よ」
なんとなく納得できたようなできないような不思議な気分になりつつも、雄太はニワトリ達に向き直る。
「まあ、餌の問題はそれならいいとして……小屋とか必要なのかな。いや、必要だよな。雨避けとかいるだろうし」
雄太が想像しているのは馬小屋だ。
ああいう類の、ニワトリ達が好きに出入り出来るものを作っておけばとりあえず問題はないだろう。
「まあ、石材足りないから切り出しに行かないといけないけど……な」
「コケッ」
雄鶏と雌鶏、そしてヒヨコが3匹。これから大きくなることや今後増えるかもしれない事を考えると拡張性のある形が望ましいだろうか。
「……いや、そろそろ村の境界線主張する壁か柵も作った方がいいんだろうけど……」
とりあえず低めの石の壁でも作っておけば問題はないだろうか。
そうなると、更に石材が足りない。
ニワトリ達の事を考えると、少しでも早めに作業を始めておいた方が問題がないだろう。
雄太はコツコツと指で腕を叩き……家の中から出てきたフェルフェトゥへと声をかける。
「フェルフェトゥ! ちょっと山行ってくる!」
「ええ、気をつけてね」
「セージュはニワトリ達の相手頼めるか?」
「それは構わないですけど……」
「コケッ」
よろしく頼む、とでも言いたげにセージュへと首を伸ばしてくる雄鶏にセージュは「きゃあっ」と声をあげて飛び退く。
「お前等もいい子にな……えーと……うん、お前はあれだ。名前はジョニーってとこで。雌鶏の方はキャシーな」
ちなみに、名前に特に意味はない。それっぽい名前をチョイスしてきただけだ。
ヒヨコ達についてはまた後日でいいだろうと。そんな事を考えながら雄太は山へと出発し……太陽がすっかり沈んだ後に、石材と共にフェルフェトゥに回収されて帰ってくるのだった。
雄鶏に雄太が乗り、その後ろにフェルフェトゥが……そして雄太の肩の上にはセージュ。
セージュは重さが無いに等しいが、とにかく3人を乗せても雄鶏はかなりの速度で荒野を走る。
その後ろを雌鶏が追走し、いつの間に混ざったのかヒヨコが数匹併走している。
「良かったわね、ユータ。卵は貰えそうよ?」
「有精卵と無精卵産み分けてくれるかな……」
「コケッ」
単純に鳴き声なのか承諾なのか分からない声を雌鶏があげるが、どっちなのかは本当に不明だ。
「しかし楽だなあ……」
「あら、それならユータは走るかしら?」
「それは嫌だな」
そんな事を話しているうちに、雄太達は村へと帰り着く。
「うおっ!? なんだあ、そのデケェニワトリは……お前等、豆取りに行ったんじゃねえのかよ!?」
「ん? ああ、それなら取って来たけど」
ニワトリとの契約後に何のドラマもなく大豆は見つけたのだが、ニワトリのせいで喜びが薄れた感は否めない。
「お帰りなさい、ユータ……大きなニワトリね」
「ああ、ただいまベルフラット。あとバーンシェルも。これ大豆」
「麦畑も出来てるわ……」
雄太から大豆を受け取ったベルフラットはそのまま畑のある区画へと歩いていくが、バーンシェルはニワトリが気になったのか雄鶏の目の前へと歩いていく。
「中々いい面構えしてやがんな」
「焼かないでくれよ?」
「焼かねえよ」
ニワトリから降りた雄太達は荷物を家の中へと入れるが、ふとニワトリへと振り返る。
「しかし、このサイズだと予想以上に餌食べるよな……?」
「問題ないんじゃないかしら」
「なんでだ?」
余裕そうな表情で言うフェルフェトゥに雄太が問いかけると、フェルフェトゥは「だってこのニワトリ、魔獣になってるもの」と答える。
「魔獣だかなんだか知らないけど、生きてるなら餌食べるだろ?」
「魔獣ってのはね、ユータ。半精霊みたいなものよ? 食事は周囲の魔力吸収に変わってるし、何か食べるとしても少量よ」
「そう、なのか?」
「一緒にされるのは不本意ですけど、間違ってはいないですね」
ムスッとした顔でセージュはそう答え、補足する。
「生き物が魔力の濃い環境で魔獣化するのは珍しい現象ではないのです。元々の魔力受け入れ可能容量が大きい上に、成長の余地がありますから。豊富な魔力環境に適応すべく、そういう風に変わるのですね」
ハイエルフとかは分類としては魔獣ですよ、と言うセージュに雄太は「えっ」と声をあげる。
「いや、エルフって……一応人類だろ?」
「人類だって獣の一つに違いないじゃないですか」
「そりゃそうかもしれないけどさ」
精霊からするとそういう認識なのか……と雄太は今更ながらに認識の差を感じるが、なるほどと思う部分も確かにある。
だがまあ、たぶんここだけの話にしておいた方がいいだろうとは思う。
魔獣扱いされて喜ぶ人間は居ないはずだ。
「あれ? となると魔王とかってのはアレは何なんだ? 魔獣とかは魔王の配下的なイメージあったんだけど」
「よくある勘違いっぽいですけど、魔王っていうのは魔族を統括する王であって魔獣とは別ですよ?」
「んん?」
「ついでに言うと魔獣とモンスターも別物です」
魔王、魔族、魔獣、モンスター。頭がこんがらがってきた雄太の背中を、フェルフェトゥが叩く。
「人間と人参。同じ「人」がついていても、全然違うでしょう?」
「え、そういう認識でいいのか?」
「その程度の話って事よ」
なんとなく納得できたようなできないような不思議な気分になりつつも、雄太はニワトリ達に向き直る。
「まあ、餌の問題はそれならいいとして……小屋とか必要なのかな。いや、必要だよな。雨避けとかいるだろうし」
雄太が想像しているのは馬小屋だ。
ああいう類の、ニワトリ達が好きに出入り出来るものを作っておけばとりあえず問題はないだろう。
「まあ、石材足りないから切り出しに行かないといけないけど……な」
「コケッ」
雄鶏と雌鶏、そしてヒヨコが3匹。これから大きくなることや今後増えるかもしれない事を考えると拡張性のある形が望ましいだろうか。
「……いや、そろそろ村の境界線主張する壁か柵も作った方がいいんだろうけど……」
とりあえず低めの石の壁でも作っておけば問題はないだろうか。
そうなると、更に石材が足りない。
ニワトリ達の事を考えると、少しでも早めに作業を始めておいた方が問題がないだろう。
雄太はコツコツと指で腕を叩き……家の中から出てきたフェルフェトゥへと声をかける。
「フェルフェトゥ! ちょっと山行ってくる!」
「ええ、気をつけてね」
「セージュはニワトリ達の相手頼めるか?」
「それは構わないですけど……」
「コケッ」
よろしく頼む、とでも言いたげにセージュへと首を伸ばしてくる雄鶏にセージュは「きゃあっ」と声をあげて飛び退く。
「お前等もいい子にな……えーと……うん、お前はあれだ。名前はジョニーってとこで。雌鶏の方はキャシーな」
ちなみに、名前に特に意味はない。それっぽい名前をチョイスしてきただけだ。
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