僕は御茶ノ水勤務のサラリーマン。新宿で転職の話をしたら、渋谷で探索者をすることになった。(書籍版・普通のリーマン、異世界渋谷でジョブチェンジ)
会談の後
とりあえず会談は終わった。ソヴェンスキの使者たちは早々に引き上げていったらしい。
話し合いが終わったらもう用はないとばかりに、ガルフブルグ側も撤収の準備に入っているようで、あちこちから馬の嘶きとハンマーで何かを叩くような音と兵士たちの掛け声が聞こえてきていた
天幕から出てセリエたちの所にいくと、心配そうに駆け寄ってきたセリエとユーカが駆け寄ってきた。
でもいきさつを話すと、二人が安心したようにため息をついた。
「心配かけたね」
「いえ……どこまでもお供するつもりでしたけど……」
セリエがそう言ってうつむく。
あの国に連行されていたらそばにいるどころじゃなかったのは間違いない。
ユーカが甘えるように抱き着いてきたから頭をなでてあげる。
「でもさ……意外な展開よね」
「それは同感」
最初に想像していたのとは全然違う展開だったけど、どういうことだったんだろう。
「ところで、あの雰囲気、気づいた?」
「そりゃあね、気づかないわけないでしょ」
都笠さんが答えてくれる。
あのルノアール公が答える前の緊張感というかバスキア公が漂わせた雰囲気は一触即発に近いものがあった。
何も起きなかったけど……ルノアール公の答え次第では何が起きたのやら。
「しかし、前評判とは別人よね……影武者とかだったりして」
正直言ってそのくらいにイメージとは違った。
最初はちょっと頼りなげだったけど、話しているうちに別人かって思うくらいに雄弁になったし。
そうかもね、と言いかけたところで……
「いえ、そんなことはありませんよ」
不意に柔らかい声が割って入ってきた。
◆
声の方から歩いてきたのはルノアール公だった。
都笠さんがやっちゃったという顔で視線を逸らすけど、ルノアール公が気にした様子も無く軽く会釈してくれた。
「初めまして、竜殺しカザマスミトさん、それにツカサスズさん。私はルノアール家当主。オーギュスト・ヴェルレイ・ルノアールです」
さっきの交渉の場の毅然とした感じとは裏腹に物腰柔らかって感じの喋り方だ。ただ、髭はやっぱりいまいちにあってないな。
でも最初に見たときに頼りない感じは今はしない。頼るに値せぬ、という評とはやっぱり印象が違うな。
後ろにはマントを着た茶髪の女の人と、これまたきれいな刺繍を施した白いローブを着た背の低い子供が付き従っている。
「早く会いたいと思っていたんですが。こんな風に遅くなったことをお詫びします。サヴォア家のは我が旗下だというのにね」
「はじめまして、風戸澄人です」
サヴォア家はルノアール家の旗下だから、この場合は親会社の社長とかそういう感じの位置関係になるんだろうか。
「先に言いますが、私は貴方たちにもサヴォア家にも干渉をする気はありません。
あなたたちはもはや4大公家ではなくガルフブルグに使える騎士だ。わが家が独占していいものではない」
静かな口調でルノアール公が言う。
サヴォア家を介して僕等を旗下にしようとしている、とダナエ姫が言っていた気がするけど、そんなつもりもないのか。
この点もやっぱり最初に思っていたのと違うな。
後ろにいる女の人が何かルノアール公に囁いて、ルノアール公が頷いた。
「それと、紹介させてください。この人たちは……」
その言葉を遮るように、金属的な音が不意に響いた。
◆
この音は聞いたことがある。目黒の駅前で聞いたあの警告音。
ルノアール公が戸惑ったように周りを見回す。
「……解放。風戸君、注意して」
都笠さんの手にサブマシンガンが握られていた。
「駐屯地に引っかかった……何か来るわ」
「周りはガルフブルグの兵士がいるんじゃないの?間違いとかじゃない?」
都笠さんが首を振る……はっきり否定するってことは違うんだろうな。
周りを見回す。天幕や灌木に木立、隠れる場所には事欠かない。
「交渉に失敗したから、帰る前に刺客を差し向けてくるってことかな」
「かもね……」
「セリエ、ユーカ、警戒を。誰か来るかも」
「はい、ご主人様」
「なんだい?」
今は撤収準備ってことであちこちで作業しているけど、ここはガルフブルグの兵士たちもまだたくさんいる。
常識的に考えればここで仕掛けてくるなんて無茶もいい所だ。
ただ、都笠さんを連れ去った時のこともある。あいつらに関してはそこまでやるはずないとか思わない方がいい。
良くいえば大胆、悪く言えば手段を択ばない連中なのはよくわかっている。
セリエとユーカがそれぞれスロット武器を抜く。
物々しい雰囲気にルノアール公が不安げな顔をした。
都笠さんが銃を片手に周囲を睨む。
一瞬静かになったけど。
その静けさを破るように遠くから叫び声と、固いものがぶつかり合う音……剣と剣がぶつかる音が聞こえた
◆
その音が合図だったかのように、灌木の茂みの中から6人の男が飛び出してきた。
それぞれ迷彩のような緑色のマントを羽織っている。
「あんたらに警告はしないわ!」
都笠さんのサブマシンガンが軽い音を立てて火を噴いた。
でもそれぞれが左右に飛ぶようにして動く。やっぱり銃の特性をこいつらは知っているのか。
1人が弾を受けて倒れた。あと5人。
「セリエ!防御を……」
と言ってはみたものの、この状況で誰にかけてもらうべきか。でも迷っている暇はない。
「僕にかけて!僕が前に出る」
「はい、ご主人様【彼の者の身にまとう鎧は金剛の如く、仇なす刃を退けるものなり。斯く成せ】」
僕の体にいつもの青白い光がまといつく。
銃を避けるように全員が散開している。その中の一人が猛然と走ってきた。速い。
いい加減見飽きてきた双剣が片手に握られている。司教憲兵か。
「ユーカ、援護して!」
「うん、お兄ちゃん!【燃えちゃえ!】」
炎が立て続けに空中で燃え上がる。
兵士たちが足を止めてそれを避けたところで、逃げ道を塞ぐように炎の壁が立ち上がった。一人が炎に包まれる。
あと4人。双剣持ちが一人とあと三人はミハエルと同じようなサーベルを持っている。こいつらは普通の兵士か。
でも、ルノアール公やその付き人がいる。僕一人で4人相手に防ぐのは難しい。
……防御が間に合うか
「セリエ、ユーカに防御を……ユーカ、前に」
「オーギュスト様、気を付けてね!」
言い終わるより早く、ルノアール公の後ろに控えていた人がマントを脱ぎ棄てた。
黒いタイトな水着のような衣装になって一瞬でユーカの前に割り込む。
「お嬢ちゃんは下がってなさい!花鳥!」
「分かってる!【たゆたう光よ、見えざる鎧となって僕たちに加護を。プロテクション・オール】」
男の子が唱えると、一瞬で全員に光がまといついた。防御だ。
全員にかかるなんて初めて見たぞ。
しかし、この人は誰なのか……ルノアール公の護衛なのか。
自分で前に出て来たってことは戦えるんだろうけど……横に目をやる。
「大丈夫よ、足を引っ張りはしないわ」
察したようにその人が言う。
右手を覆う西洋の鎧のような籠手をいつの間にか着けていた。これがスロット武器か。
「かかってきなさい!」
よく通る声でその人が挑発するかのように叫んだ。兵士の三人がその人に向かって行って、司教憲兵はまっすぐ僕に向かってきていた。
恨みを買っているな。
その人が一歩踏み込む。1人目の兵士がサーベルを振り上げた。
僕の眼から見ても遅くないサーベルを右手で振り払う。
「【Blow away!】」
気合の声とともに右ストレートが叩きこまれた。
赤い光が瞬く。衝撃音がして兵士の体が綺麗に吹っ飛んだ。
前に見たことがあるし食らったことがある……衝打か。
もう一人の兵士が切りかかろうとするタイミングに合わせて、右手を上げる。
衝打を警戒したのか、兵士の動きが一瞬止まった。
隙をついてローキックが兵士の足をとらえる。苦悶の声をあげてそいつがよろめいて下がった。
下がったところで、都笠さんの銃が火を噴く。
肩と膝を正確に銃弾が捉えて兵士が地面に崩れ落ちた。
「死ね!」
感心してる場合じゃない。
司教憲兵が双剣を振り回してきた。
何度か戦って分かったけど、この武器は避けると連続攻撃で主導権を握られる。止めるか、弾くかだ。
双剣を受け止める。火花が散った。
司教憲兵が踏みとどまってもう一度剣を振ってくる。銃剣と剣がぶつかり合った。
手ごわいけど……ヴェロニカほどの速さは無い。十分に目で追える。
それに、あいつのような氷のような薄ら寒さも感じない。
「【時よ、足を休めて、僕の友達にのみ恩恵を与えよ!スロウ・オール!】」
後ろから詠唱が聞こえて、赤い光が司教憲兵を包んだ。手足に重りをつけられたように動きが鈍る。
何が起きたかわからないって顔をして一歩下がろうとした。
こっちも何が起きたのかわからないけど……チャンスなのは間違いない。
銃剣で双剣を払った。血がパッとしぶいて剣が地面に転がる。
返す刀で銃床でそのまま顎を薙ぎ払った。
何かが砕けるようないやな感触が伝わってきて司教憲兵が地面に倒れ伏す。
「やあっ!」
横で気合の声が上がって、女の人の膝が兵士のみぞおちに突き刺さった。
動きが止まったところで、ダンスのように一回転して肘撃ちが命中する。
また格ゲーのヒットエフェクトのように赤い光が散って兵士の体が軽々と吹き飛んだ。
都笠さんが狙いをつけるけど……そのまま動かなくなった。打ち所が悪かったらしい。
全員倒したのを見て、隣の女の人が大きくため息をついた。
話し合いが終わったらもう用はないとばかりに、ガルフブルグ側も撤収の準備に入っているようで、あちこちから馬の嘶きとハンマーで何かを叩くような音と兵士たちの掛け声が聞こえてきていた
天幕から出てセリエたちの所にいくと、心配そうに駆け寄ってきたセリエとユーカが駆け寄ってきた。
でもいきさつを話すと、二人が安心したようにため息をついた。
「心配かけたね」
「いえ……どこまでもお供するつもりでしたけど……」
セリエがそう言ってうつむく。
あの国に連行されていたらそばにいるどころじゃなかったのは間違いない。
ユーカが甘えるように抱き着いてきたから頭をなでてあげる。
「でもさ……意外な展開よね」
「それは同感」
最初に想像していたのとは全然違う展開だったけど、どういうことだったんだろう。
「ところで、あの雰囲気、気づいた?」
「そりゃあね、気づかないわけないでしょ」
都笠さんが答えてくれる。
あのルノアール公が答える前の緊張感というかバスキア公が漂わせた雰囲気は一触即発に近いものがあった。
何も起きなかったけど……ルノアール公の答え次第では何が起きたのやら。
「しかし、前評判とは別人よね……影武者とかだったりして」
正直言ってそのくらいにイメージとは違った。
最初はちょっと頼りなげだったけど、話しているうちに別人かって思うくらいに雄弁になったし。
そうかもね、と言いかけたところで……
「いえ、そんなことはありませんよ」
不意に柔らかい声が割って入ってきた。
◆
声の方から歩いてきたのはルノアール公だった。
都笠さんがやっちゃったという顔で視線を逸らすけど、ルノアール公が気にした様子も無く軽く会釈してくれた。
「初めまして、竜殺しカザマスミトさん、それにツカサスズさん。私はルノアール家当主。オーギュスト・ヴェルレイ・ルノアールです」
さっきの交渉の場の毅然とした感じとは裏腹に物腰柔らかって感じの喋り方だ。ただ、髭はやっぱりいまいちにあってないな。
でも最初に見たときに頼りない感じは今はしない。頼るに値せぬ、という評とはやっぱり印象が違うな。
後ろにはマントを着た茶髪の女の人と、これまたきれいな刺繍を施した白いローブを着た背の低い子供が付き従っている。
「早く会いたいと思っていたんですが。こんな風に遅くなったことをお詫びします。サヴォア家のは我が旗下だというのにね」
「はじめまして、風戸澄人です」
サヴォア家はルノアール家の旗下だから、この場合は親会社の社長とかそういう感じの位置関係になるんだろうか。
「先に言いますが、私は貴方たちにもサヴォア家にも干渉をする気はありません。
あなたたちはもはや4大公家ではなくガルフブルグに使える騎士だ。わが家が独占していいものではない」
静かな口調でルノアール公が言う。
サヴォア家を介して僕等を旗下にしようとしている、とダナエ姫が言っていた気がするけど、そんなつもりもないのか。
この点もやっぱり最初に思っていたのと違うな。
後ろにいる女の人が何かルノアール公に囁いて、ルノアール公が頷いた。
「それと、紹介させてください。この人たちは……」
その言葉を遮るように、金属的な音が不意に響いた。
◆
この音は聞いたことがある。目黒の駅前で聞いたあの警告音。
ルノアール公が戸惑ったように周りを見回す。
「……解放。風戸君、注意して」
都笠さんの手にサブマシンガンが握られていた。
「駐屯地に引っかかった……何か来るわ」
「周りはガルフブルグの兵士がいるんじゃないの?間違いとかじゃない?」
都笠さんが首を振る……はっきり否定するってことは違うんだろうな。
周りを見回す。天幕や灌木に木立、隠れる場所には事欠かない。
「交渉に失敗したから、帰る前に刺客を差し向けてくるってことかな」
「かもね……」
「セリエ、ユーカ、警戒を。誰か来るかも」
「はい、ご主人様」
「なんだい?」
今は撤収準備ってことであちこちで作業しているけど、ここはガルフブルグの兵士たちもまだたくさんいる。
常識的に考えればここで仕掛けてくるなんて無茶もいい所だ。
ただ、都笠さんを連れ去った時のこともある。あいつらに関してはそこまでやるはずないとか思わない方がいい。
良くいえば大胆、悪く言えば手段を択ばない連中なのはよくわかっている。
セリエとユーカがそれぞれスロット武器を抜く。
物々しい雰囲気にルノアール公が不安げな顔をした。
都笠さんが銃を片手に周囲を睨む。
一瞬静かになったけど。
その静けさを破るように遠くから叫び声と、固いものがぶつかり合う音……剣と剣がぶつかる音が聞こえた
◆
その音が合図だったかのように、灌木の茂みの中から6人の男が飛び出してきた。
それぞれ迷彩のような緑色のマントを羽織っている。
「あんたらに警告はしないわ!」
都笠さんのサブマシンガンが軽い音を立てて火を噴いた。
でもそれぞれが左右に飛ぶようにして動く。やっぱり銃の特性をこいつらは知っているのか。
1人が弾を受けて倒れた。あと5人。
「セリエ!防御を……」
と言ってはみたものの、この状況で誰にかけてもらうべきか。でも迷っている暇はない。
「僕にかけて!僕が前に出る」
「はい、ご主人様【彼の者の身にまとう鎧は金剛の如く、仇なす刃を退けるものなり。斯く成せ】」
僕の体にいつもの青白い光がまといつく。
銃を避けるように全員が散開している。その中の一人が猛然と走ってきた。速い。
いい加減見飽きてきた双剣が片手に握られている。司教憲兵か。
「ユーカ、援護して!」
「うん、お兄ちゃん!【燃えちゃえ!】」
炎が立て続けに空中で燃え上がる。
兵士たちが足を止めてそれを避けたところで、逃げ道を塞ぐように炎の壁が立ち上がった。一人が炎に包まれる。
あと4人。双剣持ちが一人とあと三人はミハエルと同じようなサーベルを持っている。こいつらは普通の兵士か。
でも、ルノアール公やその付き人がいる。僕一人で4人相手に防ぐのは難しい。
……防御が間に合うか
「セリエ、ユーカに防御を……ユーカ、前に」
「オーギュスト様、気を付けてね!」
言い終わるより早く、ルノアール公の後ろに控えていた人がマントを脱ぎ棄てた。
黒いタイトな水着のような衣装になって一瞬でユーカの前に割り込む。
「お嬢ちゃんは下がってなさい!花鳥!」
「分かってる!【たゆたう光よ、見えざる鎧となって僕たちに加護を。プロテクション・オール】」
男の子が唱えると、一瞬で全員に光がまといついた。防御だ。
全員にかかるなんて初めて見たぞ。
しかし、この人は誰なのか……ルノアール公の護衛なのか。
自分で前に出て来たってことは戦えるんだろうけど……横に目をやる。
「大丈夫よ、足を引っ張りはしないわ」
察したようにその人が言う。
右手を覆う西洋の鎧のような籠手をいつの間にか着けていた。これがスロット武器か。
「かかってきなさい!」
よく通る声でその人が挑発するかのように叫んだ。兵士の三人がその人に向かって行って、司教憲兵はまっすぐ僕に向かってきていた。
恨みを買っているな。
その人が一歩踏み込む。1人目の兵士がサーベルを振り上げた。
僕の眼から見ても遅くないサーベルを右手で振り払う。
「【Blow away!】」
気合の声とともに右ストレートが叩きこまれた。
赤い光が瞬く。衝撃音がして兵士の体が綺麗に吹っ飛んだ。
前に見たことがあるし食らったことがある……衝打か。
もう一人の兵士が切りかかろうとするタイミングに合わせて、右手を上げる。
衝打を警戒したのか、兵士の動きが一瞬止まった。
隙をついてローキックが兵士の足をとらえる。苦悶の声をあげてそいつがよろめいて下がった。
下がったところで、都笠さんの銃が火を噴く。
肩と膝を正確に銃弾が捉えて兵士が地面に崩れ落ちた。
「死ね!」
感心してる場合じゃない。
司教憲兵が双剣を振り回してきた。
何度か戦って分かったけど、この武器は避けると連続攻撃で主導権を握られる。止めるか、弾くかだ。
双剣を受け止める。火花が散った。
司教憲兵が踏みとどまってもう一度剣を振ってくる。銃剣と剣がぶつかり合った。
手ごわいけど……ヴェロニカほどの速さは無い。十分に目で追える。
それに、あいつのような氷のような薄ら寒さも感じない。
「【時よ、足を休めて、僕の友達にのみ恩恵を与えよ!スロウ・オール!】」
後ろから詠唱が聞こえて、赤い光が司教憲兵を包んだ。手足に重りをつけられたように動きが鈍る。
何が起きたかわからないって顔をして一歩下がろうとした。
こっちも何が起きたのかわからないけど……チャンスなのは間違いない。
銃剣で双剣を払った。血がパッとしぶいて剣が地面に転がる。
返す刀で銃床でそのまま顎を薙ぎ払った。
何かが砕けるようないやな感触が伝わってきて司教憲兵が地面に倒れ伏す。
「やあっ!」
横で気合の声が上がって、女の人の膝が兵士のみぞおちに突き刺さった。
動きが止まったところで、ダンスのように一回転して肘撃ちが命中する。
また格ゲーのヒットエフェクトのように赤い光が散って兵士の体が軽々と吹き飛んだ。
都笠さんが狙いをつけるけど……そのまま動かなくなった。打ち所が悪かったらしい。
全員倒したのを見て、隣の女の人が大きくため息をついた。
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