風使い練成術師、防御重視は時代遅れとパーティ追放(10か月ぶり9度目)される~路頭に迷いかけたけど、最強火力をもつ魔女にスカウトされた。守備が崩壊したと言われてももう遅い。今は最高の相棒がいるので~
その魔族の能力
そいつが命令するように声を上げる。
オーグルとトロールが一糸乱れぬ動きで近くに転がっている岩や木を持ち上げた。
「やべぇぞ!」
「下がれ!風司の71番【数多の侵略を退けた十層の城壁のごとく、風よ立て】」
ノルベルドとフルーレが下がる。
全員が岩だのなんだのを投げてくるが、俺の風の壁がそれを逸らした。
重たげな音を立てて岩だの木だのがその辺に転がる。
ノルベルトが何か言いたげに俺を見た。
一応今は俺がパーティの指揮官だ。戦い方を決めなくちゃいけない。
とにかく奥のあのよくわからん奴を倒さないとダメだろうな。
「テレーザ、魔法を頼む。ノルベルト、オーグルたちを抑えられるか?」
「任せてください」
「おうよ!」
テレーザが詠唱に入った。
ノルベルトとフルーレが答えてくれる。
二人でやっているときとやることは同じだ。時間を稼ぎ魔法で仕留める。人数が増えている分やりやすいのは助かるな。
「援護します【ここは幽世8階層、槌を振るうは鎧鍛冶。黒き甲冑身に纏い、武威を示すは戦人】」
ラファエラが詠唱を終えて杖で地面を突く。白い光が二人にまといついた。防壁か。
ノルベルトとフルーレが切り込む。
フルーレがトロールのウォーハンマーをかいくぐって、剣が一閃した。
胸を裂いて、そのまま鮮やかな手並みで返す刀が腹を切り裂く。
オーグルの傷から血しぶきが噴き出した。
「やるな!」
ノルベルトが感心したように叫ぶ。
接敵するまでの怯えたような感じはまったくない。見事な戦い方だ
フルーレが軽く会釈する。
「この調子でいくぜぇ」
「いや……まて!」
致命傷かと思ったが、バフォメットのときのように見る見るうちに傷がふさがっていった。
慌ててフルーレが足を止める。
「これは?」
「これならどうだよ、オラァ!」
斜めに振り下ろされたノルベルトの長柄斧が腕ごとトロールの首を切り飛ばした。
胴体だけのトロールがよろめいて下がる。
死んだかと思ったが、首から噴き出した血がスライムのように伸びた。
そのまま空中にとんだ首と胴体がまたつながる。
「なんだこりゃあ!!」
何事もなかったかのように、首を落とされたトロールが棍棒を振り下ろした。
ノルベルトが慌てて一歩飛びのく。
後ろにいる奴がウォーハンマーで地面を叩くとオーグルとトロールが笠に掛かったように踏み込んできた。
「どういうことだよ!」
「死なないのか?」
ノルベルトとフルーレの剣と斧がオーグルとトロールを剣がなぎ倒すが……傷がバフォメットと戦った時のように治っていく。
俺も風を飛ばす。風がオーグルたちを切り裂くが……切った端から傷が埋まっていく。
痛みを感じないかのようにそいつらが踏み込んできた
「おい、やべぇぞ」
ノルベルトが焦った口調で言う。
バフォメット並みの物理攻撃に耐性があるなら魔法じゃないと対抗できないぞ。
オーグルとトロールが棍棒とウォーハンマーを振り回す。
ノルベルトとフルーレがそれを打ち払った。
「テレーザ、魔法を……」
後ろを見てそういうと、テレーザが分かってると言いたげに頷いた。
本当は後ろの奴を仕留めたいが、そんなことは言っていられない。
「もう少し時間を稼いでくれ」
「もう終わった『ここは最果て北端の城郭、此の地にて炎の燃ゆるは禁じられし行い。全ては凍てつき永久に眠るべし、其は王命なり』術式解放!」
テレーザの詠唱が終わると同時に、白い吹雪が舞ってトロールたちを包み込んだ。
前に使った奴か。
視界が真っ白に染まって肌を裂くような冷気が押し寄せてくる。思わず目を閉じた。
睫毛の霜を払って目を開ける。
迫っていたオーグルとトロールがさながら氷の壁のように凍り付いていた。
◆
「これは……すごいですね」
フルーレが感心したように言う。
ラファエラが何か吐き捨てるように言ったが聞こえなかった。
前もトロールを一撃で倒した魔法だ。流石にこれなら死んだだろう。
フルーレがほっとしたようにため息をついた。
「じゃあ次はあいつだな」
ノルベルトが言う。
棍棒を振り上げたままで凍り付いたオーグルの向こうでは、巨人のような魔族がまだ健在だ。
ノルベルト達が武器を構え直す。
「მოდით წავიდეთ ბრძოლა」
踏み込むより前に、奥の奴が声をあげた。
同時に軋み音が響く。何が起きたかと思ったが、白い氷に大きく亀裂が入っていた。
「まさか!」
氷の彫像のようになったオーグルたちがまた動いた。
白い氷が砕ける。
「マジかよ」
ノルベルトが長柄斧を構えて防御の姿勢を取る。
氷の破片を撒き散らして、トロールたちが氷の壁から飛び出してきた。
オーグルとトロールが一糸乱れぬ動きで近くに転がっている岩や木を持ち上げた。
「やべぇぞ!」
「下がれ!風司の71番【数多の侵略を退けた十層の城壁のごとく、風よ立て】」
ノルベルドとフルーレが下がる。
全員が岩だのなんだのを投げてくるが、俺の風の壁がそれを逸らした。
重たげな音を立てて岩だの木だのがその辺に転がる。
ノルベルトが何か言いたげに俺を見た。
一応今は俺がパーティの指揮官だ。戦い方を決めなくちゃいけない。
とにかく奥のあのよくわからん奴を倒さないとダメだろうな。
「テレーザ、魔法を頼む。ノルベルト、オーグルたちを抑えられるか?」
「任せてください」
「おうよ!」
テレーザが詠唱に入った。
ノルベルトとフルーレが答えてくれる。
二人でやっているときとやることは同じだ。時間を稼ぎ魔法で仕留める。人数が増えている分やりやすいのは助かるな。
「援護します【ここは幽世8階層、槌を振るうは鎧鍛冶。黒き甲冑身に纏い、武威を示すは戦人】」
ラファエラが詠唱を終えて杖で地面を突く。白い光が二人にまといついた。防壁か。
ノルベルトとフルーレが切り込む。
フルーレがトロールのウォーハンマーをかいくぐって、剣が一閃した。
胸を裂いて、そのまま鮮やかな手並みで返す刀が腹を切り裂く。
オーグルの傷から血しぶきが噴き出した。
「やるな!」
ノルベルトが感心したように叫ぶ。
接敵するまでの怯えたような感じはまったくない。見事な戦い方だ
フルーレが軽く会釈する。
「この調子でいくぜぇ」
「いや……まて!」
致命傷かと思ったが、バフォメットのときのように見る見るうちに傷がふさがっていった。
慌ててフルーレが足を止める。
「これは?」
「これならどうだよ、オラァ!」
斜めに振り下ろされたノルベルトの長柄斧が腕ごとトロールの首を切り飛ばした。
胴体だけのトロールがよろめいて下がる。
死んだかと思ったが、首から噴き出した血がスライムのように伸びた。
そのまま空中にとんだ首と胴体がまたつながる。
「なんだこりゃあ!!」
何事もなかったかのように、首を落とされたトロールが棍棒を振り下ろした。
ノルベルトが慌てて一歩飛びのく。
後ろにいる奴がウォーハンマーで地面を叩くとオーグルとトロールが笠に掛かったように踏み込んできた。
「どういうことだよ!」
「死なないのか?」
ノルベルトとフルーレの剣と斧がオーグルとトロールを剣がなぎ倒すが……傷がバフォメットと戦った時のように治っていく。
俺も風を飛ばす。風がオーグルたちを切り裂くが……切った端から傷が埋まっていく。
痛みを感じないかのようにそいつらが踏み込んできた
「おい、やべぇぞ」
ノルベルトが焦った口調で言う。
バフォメット並みの物理攻撃に耐性があるなら魔法じゃないと対抗できないぞ。
オーグルとトロールが棍棒とウォーハンマーを振り回す。
ノルベルトとフルーレがそれを打ち払った。
「テレーザ、魔法を……」
後ろを見てそういうと、テレーザが分かってると言いたげに頷いた。
本当は後ろの奴を仕留めたいが、そんなことは言っていられない。
「もう少し時間を稼いでくれ」
「もう終わった『ここは最果て北端の城郭、此の地にて炎の燃ゆるは禁じられし行い。全ては凍てつき永久に眠るべし、其は王命なり』術式解放!」
テレーザの詠唱が終わると同時に、白い吹雪が舞ってトロールたちを包み込んだ。
前に使った奴か。
視界が真っ白に染まって肌を裂くような冷気が押し寄せてくる。思わず目を閉じた。
睫毛の霜を払って目を開ける。
迫っていたオーグルとトロールがさながら氷の壁のように凍り付いていた。
◆
「これは……すごいですね」
フルーレが感心したように言う。
ラファエラが何か吐き捨てるように言ったが聞こえなかった。
前もトロールを一撃で倒した魔法だ。流石にこれなら死んだだろう。
フルーレがほっとしたようにため息をついた。
「じゃあ次はあいつだな」
ノルベルトが言う。
棍棒を振り上げたままで凍り付いたオーグルの向こうでは、巨人のような魔族がまだ健在だ。
ノルベルト達が武器を構え直す。
「მოდით წავიდეთ ბრძოლა」
踏み込むより前に、奥の奴が声をあげた。
同時に軋み音が響く。何が起きたかと思ったが、白い氷に大きく亀裂が入っていた。
「まさか!」
氷の彫像のようになったオーグルたちがまた動いた。
白い氷が砕ける。
「マジかよ」
ノルベルトが長柄斧を構えて防御の姿勢を取る。
氷の破片を撒き散らして、トロールたちが氷の壁から飛び出してきた。
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