風使い練成術師、防御重視は時代遅れとパーティ追放(10か月ぶり9度目)される~路頭に迷いかけたけど、最強火力をもつ魔女にスカウトされた。守備が崩壊したと言われてももう遅い。今は最高の相棒がいるので~
港町サーグレア
トラムに駆け込んで半日ほどかけて移動した。
移動先はサーグレア。海沿いの町で、アルフェリズほど大きくはないが交易とかの拠点になっている。
港に向いた入江から始まって、海近くまで張り出した丘に張り付くような都市だ。
周辺の丘や森では魔獣が出ることも多い。討伐依頼もあるだろう。
着いたときにはすでに夕刻で、海が夕焼けで真っ赤に染まっていた。
汽車から降りると、車掌に話を聞いてすぐに冒険者ギルドに向かう。今日のうちに状況を確認しておきたい。
◆
サーグレアの冒険者ギルドは港のそばのちんまりした建物だ。アルフェリズに比べると一回り小さい。中の構造はあんまり変わらないが。
受付カウンターにちょっとした交渉をするためのテーブルとイス、そして壁には依頼を張るための掲示板。
掲示板には護衛や採集だけじゃなくて討伐依頼は貼ってあった。流石にここまでは手を回せなかったらしいな。
とりあえず無駄足にならなくてよかった。
ただ、それぞれの討伐依頼の評価はさほど高くない。テレーザが舌打ちする。
今日はもう報酬の清算とかも終わった時間なんだろう。中は閑散としていて俺達しかいなかった。
4つあるカウンターも三つは誰もいなくて、一つだけ向こうには係員の女の子がいる。
訝し気にこっちを見ているその子に近づく。
「少しいいかい?」
「なんでしょう?」
「近い所に固まっている討伐依頼をまとめて受けたい。俺はこの辺の地理に疎いので選んでほしい」
「複数依頼の並行ですか?……ランクにもよりますが」
女の子が疑わし気な目で俺達を見て首を傾げる。
「俺はA3だ。アルフェリズから来た」
「Aランクですか……それでしたら」
カードを見せると女の子が驚いたような顔をして、頷いた。
掲示板を見ながら何枚かを剥がしていく。
「こんなことが可能なのだな」
「Aランクならな。少しは見直せ」
ふつうは一つの依頼が片付いたらギルドに戻って依頼の終了を認定してもらう。
が、まとめて依頼を受けて戦い続けることもできる。
連戦は消耗するし、野営する羽目になることもあるから、普通はそこまでやらないが。
勿論それが許されるのはある程度ランクが高くないといけない。経験が浅いやつが欲をかいてそんなことをやっても犠牲が出るだけだからな。
個々の依頼はそこまで討伐評価は高くないが、まとめて片付けて行けばある程度稼げるだろうし戻る時間も節約できる。
「ふむ、流石だ」
意外に素直な返事が返ってきた。
「ところでA帯の練成術師と魔法使いの二人組……あなたたちはバフォメットを倒したというパーティですか?」
依頼の紙を見ながらその子が言う。
「よく知ってるな」
「噂になってますよ。異色の編成で魔族を倒したパーティがいるんだって。こっちにも聞こえてます」
人の口に戸は立てられないっていうのもあるが。
恐らく魔族の出現情報がギルド同士で共有されているんだろうな。
「なら……この辺りはいかがでしょうか?」
何枚かの紙を見せてくれる。
ざっと討伐評価点を計算してみた。流石にバフォメットの討伐点ほどではないが、あれはイレギュラーだ。
トロールの討伐は超えている。これなら悪くはない。
「これでいい。請ける。手続きを頼む。地図もくれるとありがたい。明日から行く」
「はい」
その子がカウンターの奥に戻って書類を書き始めた。
掲示板にはまだ紙が残っている。
「ここの依頼を根こそぎかっさらうつもりで行く。連戦は大変だぞ。覚悟はいいか?」
「望むところだ」
テレーザが答えた。
移動先はサーグレア。海沿いの町で、アルフェリズほど大きくはないが交易とかの拠点になっている。
港に向いた入江から始まって、海近くまで張り出した丘に張り付くような都市だ。
周辺の丘や森では魔獣が出ることも多い。討伐依頼もあるだろう。
着いたときにはすでに夕刻で、海が夕焼けで真っ赤に染まっていた。
汽車から降りると、車掌に話を聞いてすぐに冒険者ギルドに向かう。今日のうちに状況を確認しておきたい。
◆
サーグレアの冒険者ギルドは港のそばのちんまりした建物だ。アルフェリズに比べると一回り小さい。中の構造はあんまり変わらないが。
受付カウンターにちょっとした交渉をするためのテーブルとイス、そして壁には依頼を張るための掲示板。
掲示板には護衛や採集だけじゃなくて討伐依頼は貼ってあった。流石にここまでは手を回せなかったらしいな。
とりあえず無駄足にならなくてよかった。
ただ、それぞれの討伐依頼の評価はさほど高くない。テレーザが舌打ちする。
今日はもう報酬の清算とかも終わった時間なんだろう。中は閑散としていて俺達しかいなかった。
4つあるカウンターも三つは誰もいなくて、一つだけ向こうには係員の女の子がいる。
訝し気にこっちを見ているその子に近づく。
「少しいいかい?」
「なんでしょう?」
「近い所に固まっている討伐依頼をまとめて受けたい。俺はこの辺の地理に疎いので選んでほしい」
「複数依頼の並行ですか?……ランクにもよりますが」
女の子が疑わし気な目で俺達を見て首を傾げる。
「俺はA3だ。アルフェリズから来た」
「Aランクですか……それでしたら」
カードを見せると女の子が驚いたような顔をして、頷いた。
掲示板を見ながら何枚かを剥がしていく。
「こんなことが可能なのだな」
「Aランクならな。少しは見直せ」
ふつうは一つの依頼が片付いたらギルドに戻って依頼の終了を認定してもらう。
が、まとめて依頼を受けて戦い続けることもできる。
連戦は消耗するし、野営する羽目になることもあるから、普通はそこまでやらないが。
勿論それが許されるのはある程度ランクが高くないといけない。経験が浅いやつが欲をかいてそんなことをやっても犠牲が出るだけだからな。
個々の依頼はそこまで討伐評価は高くないが、まとめて片付けて行けばある程度稼げるだろうし戻る時間も節約できる。
「ふむ、流石だ」
意外に素直な返事が返ってきた。
「ところでA帯の練成術師と魔法使いの二人組……あなたたちはバフォメットを倒したというパーティですか?」
依頼の紙を見ながらその子が言う。
「よく知ってるな」
「噂になってますよ。異色の編成で魔族を倒したパーティがいるんだって。こっちにも聞こえてます」
人の口に戸は立てられないっていうのもあるが。
恐らく魔族の出現情報がギルド同士で共有されているんだろうな。
「なら……この辺りはいかがでしょうか?」
何枚かの紙を見せてくれる。
ざっと討伐評価点を計算してみた。流石にバフォメットの討伐点ほどではないが、あれはイレギュラーだ。
トロールの討伐は超えている。これなら悪くはない。
「これでいい。請ける。手続きを頼む。地図もくれるとありがたい。明日から行く」
「はい」
その子がカウンターの奥に戻って書類を書き始めた。
掲示板にはまだ紙が残っている。
「ここの依頼を根こそぎかっさらうつもりで行く。連戦は大変だぞ。覚悟はいいか?」
「望むところだ」
テレーザが答えた。
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