元豚王子VS悪役令嬢

黒月白華

第90話 結婚式当日…主役は俺達だよな?2

俺は馬車に乗り挙式を挙げる大聖堂へと向かった。クラウディアも向かっている頃かなぁ…。もうちょっとしたら俺の可愛い花嫁が見れるのか…。挨拶とかどうでもいいから早くクラウディアのウェディングドレス姿見たいかも!!
ドレスのデザインだが、実はちょっとだけ俺の前世知識をフル活用してデザイナー(仕立て屋)とクラウディアを交えて相談したらデザイナーが

「何という斬新な!!こんなっ…フリルを大きくふんわりとさせるなんて!!」
と感動していた。そう…何故かこの世界…従来のものは普通のシンプルな細いスラっとしたものが多くてあまりフリルをフワリとさせたりするのが無かった。何て残念な!と思って口出したら意見が通り盛り上がったのだ。それから細かいとこはクラウディアに任せたきりだった。

「殿下!着きましたよ!」
とフェリクスが馬車のドアを開けて大聖堂に到着する。
大司教と挨拶を交わし本日はよろしく頼むと言うと手を擦りながら

「お任せください!殿下!良い結婚式になるよう頑張りますので!」
と言う。それからローマンとハクちゃんがやってきた。

「おお!ローマン!介添え人よろしくな!」

「ああ!ジーク任せろ!……お前自分に精神安定の力のあれかけた方が絶対いいぞ?」
と自分の時を思い出すようにローマンは言う。

「まぁ鼻血出したくないしな」
と言うとハクちゃんは

「我はクラウディアのところに先に行っておるぞ!ローマンまたの」
と一旦夫婦は別れた。

「そう言えばシーラちゃんは連れて来なかったんだな」
とローマンの娘のシーラちゃんのことを言うと

「うん、まぁ…まだ赤ん坊だからな。ドラグーの乳母たちに任せてきたよ」
そこへレーナとテオドールくんにコンちゃんもやってきた。

「ジークヴァルト様おめでとうございます!」
レーナは珍しく丁寧に挨拶した。

「レーナ!コンちゃん!テオドールくん!ありがとう!」

「言っておきますが殿下…我が姉を裏切り浮気をしたら斬り殺しますこと夢夢お忘れなく!」
と睨まれた!やっぱり怖いよ!!

「ジークヴァルトよ、我からも祝いをやろう!」
といつもの湿った宝珠を差し出すので

「要らない」
と言っておいた。

その時魔法陣が現れて明日香とカミルが手を繋ぎ転移してきた。

「ジークヴァルト殿下!おめでとうございます!」

「…おめでとう…披露宴まだ?ご飯…」
ぐうっっと明日香の腹が鳴る。

「あはは…明日香…式の時は腹鳴らないようにしとけよ?」
と言うとお腹をさすり…

「わ、私…無理かも…カミル様…私もう死ぬかも…」
いやお前不死身だろうがっ!!

「大丈夫ですか?アスカ様!!僕がお弁当作ってきたのでこっそり食べて下さい!!」
キラキラと2人の空間が輝き出す!

「カミル様!…私の為にこんなお弁当を!!」

「アスカ様の為なら!!早起きして作った甲斐がありますっ!」
おい、何だよこいつら。主役を差し置いて!2人の世界作ってるよ!後、式の時に早弁する奴なんて見たこともねーよ!恥ずかしいからやめろよ!!ていうかやめてくれ!!

すると今度は

「相変わらず騒がしいな!」

「兄上…殿下におめでとうの一つも言えないのですか!?殿下この度はおめでとうございます!我が国を救ってくれたこと本当にありがとうございます!クラウディア様とお幸せになってくださいね!」
とアルデン国の黒髪兄弟王子が現れる。ニコラウスは婚約者のカミラにガッチリ捕まっていて

「ダメですよニコラウス様…今日は大人しくしてくださらないと…私にお仕置きしてもらいますからね?」
と言われてニコラウスは綺麗な顔を曇らせた。

「そんなっ…カミラを縛って●●するなんていくらなんでも酷すぎないか?」

「大丈夫です!ニコラウス様!その方が私興奮するので!殿下も…クラウディア様を躾けたくなりましたらご相談下さいね?」

「遠慮する」
人の結婚式で何変態プレイの相談してんだよ!

「殿下それでエリーゼさんはどこに?日に日に可愛らしくもあり、だが少し大人へと登る彼女の成長日記をつけなくてはなりません!」
とロリコン腹黒リヒャルト王子がエリーゼちゃんを探している!
ローマンと俺は声を揃えて

「「お前に可愛いエリーゼはやらんからなっ!!」」
と言った!

それから各国の重鎮や招待客に挨拶回りをしてようやくクラウディアのドレス姿を確認しに行った。

クラウディアの待機室の前に行くと精神安定の力をもう一度かけ深く深呼吸する。

「ジーク…大丈夫か?まぁ俺の時は何とか持ち堪えたし大丈夫だよ!何とかなるって!」
と親指を立てるローマン。
その持論は何だ?

ノックしてどうぞと声がして俺はゆっくりと扉を開けると中から眩い光…いや、俺にだけ見える謎のエフェクトが一瞬見えて俺はバタンと扉を一回閉めた。

「おい!俺ん時と同じことしてんじゃねぇよ!」

「だってローマン!ヤバイぞ!精神安定の力かけてんのにチラ見しただけでヤバイ!花嫁の威力がこれ程までとは思っていなかった!」
舐めてたわ!花嫁!
既に戦いは始まっている…か。
そうだな!この扉の向こうにラスボスがいる!どちらが倒れるか倒れないか!?

「おいジーク…さっさと開けろよもう…」

「い、いざ!勝負だ!!」

「何のだよっ!!?」
とローマンのツッコミと共に再び扉を開けると俺にだけ見えるエフェクトを纏ったこの世のものとは思えない恐ろしくも綺麗な花嫁様がそこにいた。赤い髪は纏め上げられてはいるが少しだけ垂れて白い花が髪に飾られティアラを被り
純白のフリルがふんわりとしたドレスを着た俺の花嫁。気絶しそうだ!破壊力が半端ない!

これまでのクラウディアもいつも可愛いかったが今日は特別に宇宙一と言っていいくらい綺麗で可愛くてもう褒める所が有り過ぎて逆に怖い!

「………」

「ジークヴァルト様?」
薄化粧をして美しい唇がキラリと光り赤色の瞳と目が合い石化しそうになり、俺はつい後ろを向いた!!

「ええっ!?何やってんだジーク!?」

「やめろ!見たら倒れる!」
ローマンは慌てて

「いや、お前どんだけだよ!!つか精神安定力効いてねぇのかよ!?」

「何とか鼻血を抑え込むので俺の奇跡の力は手一杯だ!」
するとクラウディアが

「ハクチャーン様…ローマン様…しばらく2人きりに」
と言い、ローマンは俺の肩をポンと叩きハクちゃんと出て行く。クラウディアと思わず2人になり心臓がドクドクする。

死を意識した!花嫁見て死ぬかもしれない!

「いつまで後ろを向いているのです!?ジーク!これから式なのに!」

「ううっディア!あんまり君が眩しくて今世紀史上最高に綺麗過ぎるから…見たら気絶するぞ!?」

「いえ…それでは式に行けないでしょう!慣れてください!恥をかくのは嫌です」
と髪の毛が伸びてぐるりとこちらを向かされる。

「ぎゃあ!め、目が!目があああ!!」
エフェクトラッシュ攻撃!!

「もうっジークったら!…ってジークも素敵!あああ…ジークカッコいい!!」

「くっ!ディアの方がとんでもねぇよ!俺なんて大したことない雑魚モンスターだよっ!!」
クラウディアと俺は赤くなり瞳が絡み合う。

「…本当に綺麗だ…俺、生きてて良かった!出会えて良かった!結婚できて良かった!」
クラウディアも赤くなり

「…私も今のジークとお会いできて良かったです…こんな日が私に来るなんて!嬉しくて死にそうです!ジーク!」

「ディア!!」
とキスしそうになりフェリクスがバーンと入ってきて

「はいはい、そこまでですー!熱熱逮捕…いえ、式のお時間ですよ!殿下続きはまた後でお願いします!」
とフェリクスに引きづられて行った俺だった。

コメント

コメントを書く

「恋愛」の人気作品

書籍化作品